福井
福井観光
恐竜化石の一大産地を有する豪雪地域

【福井】国宝「明通寺」は迫力の歴史と珍しい仏像が魅力

取材・写真・文:

兵庫在住
訪問エリア:45都道府県

2019年1月25日更新

6,061view

お気に入り

写真:こごみ

福井県小浜市にある国宝建造物「明通寺(みょうつうじ)」。山の中に静かに佇むこのお寺は、その古色蒼然とした迫力に圧倒されます。本堂の中にはちょっと珍しい仏さまたちが。澄んだ空気と静寂に包まれた真言寺院の魅力をご紹介します。

この記事の目次表示

806年創建の古刹「明通寺」

  • 写真:こごみ

福井県の小浜市は、京都や奈良に匹敵する何百年の歴史を持つ古刹が点在している所です。その中の一つが「明通寺」。創建したのは、平安時代の武将で初代征夷大将軍「坂上田村麻呂」です。

坂上田村麻呂は国司として若狭に赴任した折、以前戦った蝦夷の地で命を落とした人たちの冥福を祈るために、この寺を建てました。霊夢に導かれ、自ら仏像を彫り安置したと言われています。

国宝建造物の本堂と三重の塔

  • 写真:こごみ

拝観料500円を納めて境内へ。巨木に囲まれた境内は、静謐で澄んだ空気に包まれてとても気持ちいい場所です。その中に溶け込むように佇んでいる古色蒼然とした本堂と三重の塔が国宝です。現在の建造物は一度焼失し、鎌倉時代(1200年代)にそれぞれ再建されたものです。

  • 写真:こごみ
  • 写真:こごみ

均整のとれた美しい造形美の三重の塔です。梁の部分がかなり長く立派で、先端に彫刻を施しているものはとても珍しいものだとか。

本堂の中に安置されている仏像

  • 写真:こごみ
  • 写真:こごみ

本堂に入ると、僧侶の方が寺や仏像に関して詳しく説明してくれます。撮影は禁止ですが、中に安置されている仏像は三体あり、すべて重要文化財に指定されています。ご本尊は「薬師如来坐像」。そしてその両脇に立っているのが、なかなか珍しい仏像なのです。

降三世明王立像と深沙大将立像

「降三世明王立像」は、明王によくある形として邪気などを踏みつけています。しかしこの方が踏みつけているのは、なんとシバ神とその奥さん。異教とはいえ神さまを踏んづけているのは珍しいと思うのですが、これがこの「降三世明王」の特徴なのだそうです。

欲望と破壊の神とも言われ、現在と過去と未来の三世を牛耳っていると言われるシバ神。その神をも組み伏せる力を持っているということを表している姿なのだとか。

  • 写真:こごみ明通寺のパンフレットより

反対側にいるのが「深沙大将立像」という仏教の守護神です。魔を遠ざける力を持つと言われています。

その昔、旅の途中の砂漠で苦しんでいる「三蔵法師」を助けたという伝説を持つことから、「西遊記」の沙悟浄のモデルになったと言われています。片手にヘビをつかみ、お腹のあたりになぜか人の顔が。お寺の説明では、この顔は退治した鬼の顔だと言われているとおっしゃっていました。しかし別の説もあって、「深沙大将」は別の姿が子供であるということから、それが現れているのではないかというもの。とにかくよくわからないみたいです。

なかなか謎の多い神様で、ほとんどの像や絵はかなりの異形で恐ろしい形相です。こちらの像にはありませんが、首から髑髏の飾りを下げている場合もあるようです。明通寺の沙悟浄は、どちらかというとまだ穏やかな方なのかもしれません。深沙大将の像というのは、日本ではあまり作例がなくとても珍しいのだそうです。

不動明王立像

  • 写真:こごみこちらのエリア内にお不動さんがいます

本堂を出て、いったん参道にもどり順路を進んでいくと、別棟にいるのが四人目の重要文化財「不動明王立像」です。明通寺に本来いらしたお不動さんは焼失してしまったそうで、別のお寺から譲りうけたものだとか。

かわいいおみくじと巨木

  • 写真:こごみ
  • 写真:こごみ

参道の木の柵の中と灯篭に小さなダルマがたくさんいます。実はこれは明通寺のおみくじで、ダルマの中におみくじが入っているのです。表情も数種類あって、かわいいので持って帰る人がとても多いみたいですね。

  • 写真:こごみ
  • 写真:こごみ

境内にある名物「カヤの巨木」です。こちらは指定文化財ですが、これ以外にもあたりは巨木がいっぱい。筆者が訪れた際には、梅の花もつぼみをつけていました。四季を通じていろいろな植物の美しさを楽しめるのではないかと思います。

幽谷という言葉がぴったりの寺

  • 写真:こごみ境内にいたすごく立派な鯉

「幽谷」とは山深く静かな谷という意味ですが、明通寺はまさにその言葉にぴったりの場所です。創建当時は巨木もまだ少なく、開かれた場所の華やかなお寺であったようです。今は幽谷に佇む寺として、その歳月の重みをずっしりと感じさせてくれる「日本の美」と言えるでしょう。

明通寺
福井 / 寺 / 紅葉 / 穴場観光スポット
住所:福井県小浜市門前5-22地図で見る
電話:0770-57-1355
Web:http://myotsuji.jimdo.com/

次のページを読む

福井の旅行予約はこちら


福井のパッケージツアー(新幹線・飛行機付宿泊プラン)を探す

福井のホテルを探す

福井の航空券を探す

(小松空港)

福井の現地アクティビティを探す

福井のレンタカーを探す

福井の高速バスを探す

この記事で紹介されたスポットの地図

関連するキーワード

※記事内容については、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。

あなたにオススメの記事

同じテーマの記事


12月の国内おすすめ旅行先25選!冬・年末の旅行にぴったりな観光地特集

12月はイルミネーションに雪景色など、全国各地で冬ならではの絶景に出会えるシーズン。雪見温泉も格別な時期です。12月の週末や年末旅行におすすめの国内旅行先をご紹...


【2024最新】全国の人気水族館TOP37!旅行好きが行っている水族館ランキング

沖縄美ら海水族館や海遊館、八景島シーパラダイスをはじめとする全国の人気水族館を、トリップノートの9万2千人の旅行好きトラベラー会員(2024年1月現在)が実際に...

【西日本】家族旅行におすすめの観光地27選

ジンベエザメが見られる世界最大級の水族館「海遊館」や、パンダの飼育数日本一の「アドベンチャーワールド」、大迫力の観光放水が見られる「黒部ダム」など、西日本の家族...

1月の国内おすすめ旅行先33選!お正月旅行にもぴったりな観光地特集

寒さ厳しい1月は、雪や氷の絶景が全国各地で見られるシーズン。冬の夜に映えるイルミネーションイベントもまだまだ楽しめます。1月のお正月旅行や週末旅行におすすめの国...

【2023年版】全国の人気神社・お寺TOP52!旅行好きが訪れた寺社ランキング

2023年の1年間にトリップノートのトラベラー会員が登録した「行ったスポット」のデータを元に、トラベラーのみなさんが実際に訪れた国内の寺社ランキング【2023年...

この記事を書いたトラベルライター

旅と本と野球があればしあわせな毎日
興味深いものや謎に満ちたものはいろんな所に存在しています。おいしいものも食べたことないものもまだまだいっぱいある!何気ないものが思いがけない歴史を持っていたり、知らなかったことに驚いたりした時、地球って深いなあと実感する、そんな瞬間を味わいたくてあちこちうろつく日々です。
https://kogomitabi.hatenablog.com/

【岡山】映画『八つ墓村』のロケ地「満奇洞」と「笹畝坑道」めぐりはちょっと怖い

岡山には横溝正史の映画の舞台となった場所がたくさんあります。中でも有名なのが映画『八つ墓村』の洞窟「満奇洞」です。事件のお屋敷になった歴史的価値のある旧家も残さ...


【兵庫県姫路市】安富町の「かかしの里」は人とかかしがいっしょに暮らす村

四方を山に囲まれた静かな集落に、「奥播磨かかしの里」はあります。村人と見間違ってしまうくらい、かかしが山郷の風景と一体化しており、気持ちよくのんびりとしたとても...


【奈良】定番とはちょっと違う奈良みやげ9選

奈良のおみやげの定番といえば、奈良漬け、柿の葉寿司、三笠など色々と浮かびますが、今回はちょっと定番からはずれた奈良みやげを選んでご紹介。奈良公園周辺で買えるとい...

【和歌山県】みなべ町の道の駅は梅好きにはたまらないスポット!おすすめ梅みやげも

和歌山県のみなべといえば、「梅」の産地です。みなべの梅干しは全国で販売されている梅ブランド。でもみなべの梅製品は梅干しだけではないのです。お菓子、ドリンク、ジャ...

【神戸市】横尾忠則現代美術館は摩訶不思議なアート空間!カフェも楽しい

世界的にも有名な画家「横尾忠則(よこおただのり)」氏の美術館は、神戸市灘区にあります。通りを隔てて動物園と文学館が並ぶ静かな場所にありますが、外の穏やかさとは裏...

トラベルライターインタビュー Vol.3 Emmyさん

【トラベルライターインタビューVol.3】一人旅を応援する記事を多数執筆!Emmyさんならではの人気記事執筆のコツやその原動力に迫ります