JR釜戸駅から徒歩3分で行けるクラフトビールのブリュワリー。地元愛溢れる社長と、クラフトビール界のレジェンドと呼ばれる醸造長との出会いがあり、この「カマドブリュワリー」が誕生しました。ブリュワリーには、出来立ての生ビールが飲めるビアバーも併設!工場見学もやっています。
この記事の目次表示
カマドブリュワリーがある「釜戸町」
今の日本は、どこかに旅に出れば、地元の クラフトビール に出会える時代になりました。有名なところを事前に調べて行っていくのも良いですが、「え?!こんなとこにもあるの?」というような田舎や辺鄙なところで偶然、出会うことも。
それがクラフトビールの面白さ!
日本全国的に知名度が高くなくても、みんな地元で楽しそうにビールを造っている。そして、地元の人も楽しそうに飲み場に集う。そんな場所に、旅行しながら出会えるのはワクワクしますよね。
今回、ご紹介する カマドブリュワリー も、田舎にある小さなブリュワリーの一つ。場所は、岐阜県瑞浪市釜戸町です。
「釜戸町」 と書いても、ピンとくる人は、地元民以外、ほとんどいないのではないでしょうか。でも、この辺りは、かつて 美濃焼 で名を挙げた有名な地域でもあります。だから「釜戸町」。美濃焼を焼く釜があちこちにあります。
とは言っても、少子高齢化が進み、後継が育たず、窯を〆る窯元も続々と…。JR中央線の駅、「釜戸駅」が最寄駅ですが、今は基本的には無人駅。駅前も、かなりひっそりしています。
そんな中、地元出身の若手が、地元を盛り上げようと立ち上げたのが、カマドブリュワリー なのです。
地元を愛するスタッフが立ち上げた「カマドブリュワリー」
JR釜戸駅を降りて、店などは何もない静かな住宅街を歩いて3分ほど。カマドブリュワリー は、突如現れます。
初めて来る方は「ほんとにここでビールが造られてるの?」と思うかもしれません。でも、本当にちゃんとここで、美味しいビールが造られているんです。
このブリュワりーを立ち上げたのは、代表取締役社長である 東 恵理子 さん。釜戸町の出身 です。一度は地元を離れ、様々な活動をしてきたそうです。北海道テレビ放送でディレクター、退社後は青年海外協力隊としてバングラデシュへ。コミュニティラジオ局の番組制作支援に携わりながら、バングラデシュオリジナルのラジオ体操を考え、広め、帰国後も街の魅力をいかに広めるかに尽力してきたそうです。
そんな中、「地元の釜戸を元気にしたい」と独立を考えていた時に出会ったのが、クラフトビール界のレジェンド、 丹羽 智 さんです。
クラフトビール界のレジェンド 「丹羽 智」 さんが製造責任者
東さんが「釜戸を元気にしたい」と考えていた時、問題は何を “推し” とするのか。そこで、始めたのが 美濃焼と東濃の食とビールの会。そこに参加していたのが、当時は山梨の アウトサイダーブルーイング で醸造長を務めていた、 丹羽 智 さんです。
アウトサイダーブルーイングは、今や日本の中でも有名なクラフトビール。ここに来る前も、「いわて蔵」、「West Coast Brewing(ウエストコーストブルーイング)」などで醸造長として活躍し、これらのクラフトビールたちの名を上げてくると同時に、まだクラフトビール造りを学ぶ場所が少ない日本で、多くのブリュワーを育ててきたそうです。
丹羽さんが関わったブリュワリーMAPを見ると、「ほとんど日本全国じゃないか!」と驚きです。
釜戸と同じ東濃「中津川」出身の丹羽さん
今は醸造場は閉鎖されてしまいましたが、今から20年ほど前、クラフトビールのブームの先駆けの頃、「博石館ビール」というものがありました。中津川にある「博石館」というテーマパークで造られていたビールです。
お世辞にも、博石館自体はそこまで人気が高いテーマパークではないのですが、このビールは東京に出回るほどに。筆者も東京で初めてお目にかかりました。
そのビールを造っていたのが、中津川 出身の丹羽さんです。あれから全国各地でクラフトビール醸造で活躍していましたが、ゆくゆくは生まれ故郷でビール造りをしたい、と考えていたそう。
そこで出会ったのが、カマドブリュワリーの社長、東さん。「中津川と同じ東濃の釜戸で、ビール造り、しませんか?」と。話はすぐに進み、2020年にカマドブリュワリーが誕生しました。
「クラフトビール界では有名人の丹羽さんが、新たにクラフトビールを造るですと?!」 と、クラフトビール好きな人の間で、話題に上らないはずがありません。立ち上げた当初は、醸造量がまだ足りないのもありましたが、売り切れ続出だったそうです。今は落ち着いた造りをしているのでご安心を。
醸造場に併設のビアバー「HAKOFUNE ハコフネ」
釜戸を盛り上げるべく、手掛けたのはカマドブリュワリーの設立だけではありません。併設されているビアバー「HAKOFUNE ハコフネ」で、丹羽さんが手がける造りたての生ビールが飲めます。パッと見からもわかる通り、なんと元は貨物用コンテナ! それをビアバーに変身させてしまったわけです。
飲める生ビールは、その時期によるかもしれませんが、常時6種類ほど。定番の「やっとかめエール」を始め、新作、季節もの、コラボなどいろんなものが楽しめます。
特に、定番以外のビールは、丹羽さんのセンスが光るものばかり! 丹羽さん曰く「クラフトビールの奥は深い。どれだけビールを造っても尽きない」とのこと。その時にしか飲めないビールもあるかもしれませんね。
HAKOFUNE の建物自体はとてもこぢんまりとしており、カウンター6席のみ。ですが、外には、ウッドデッキ8席、外テント4席×6程度あります。
料理も美味しいものがいっぱい
そして、カマドブリュワリーのビールと合わせて美味しい料理もたくさん!すぐに出てくるクイックメニュー、ちょっと時間はかかるけど手の込んでいるじっくりメニュー、軽食メニュー、甘いものメニューなどなど。
参考までに、筆者が注文した料理をご紹介します。
自家燻製3種盛り 1,000円(税込)。合鴨スモーク・ミックスナッツ・チーズ の3種です。桜のチップで燻しているそうです。合鴨は分厚いし、ミックスナッツもチーズもたっぷり。これだけで、ビールはどんどん進んでしまいます。
地ウインナーの盛り合わせ 2種 700円(税込)。半分にカットされているのが、地元瑞浪のブランド豚「瑞浪ボーノポーク」で、2本あるのが「奥美濃古地鶏」。瑞浪に奥美濃、どちらも地元産です。また、鶏のウインナーというのも珍しいです。どちらも味が濃厚!これもビールが進みます。
たまごサラダのバゲットサンド 600円(税込)。バゲットには、これでもか!というくらい、たっぷりのタマゴサラダ。かぶりつこうとすると、豪快にはみ出ちゃいます。このタマゴサラダがまた美味しい。これで600円でいいの?!というサンドです。
フードの持ち込みOK!
驚きなのは、HAKOFUNEの料理も美味しいのですが、フード持ち込みもOK なこと! 調理場もあるHAKOFUNE自体が小さいため、あまり多くのお客様が来店すると、フードが回らなくなってしまう、ということも考慮しているかもしれません。自分が合わせたいアテを持ち込んで、ここで出来立てのクラフトビールを飲む、というのも楽しいに違いありません。