「アムステルダム国立美術館」とデン・ハーグの「マウリッツハイス美術館」。どちらもオランダを代表する巨匠、フェルメールとレンブラントの世界的名画が堪能できます。見どころ満載の2つの美術館の必見絵画と楽しみ方をご紹介します。
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アムステルダム国立美術館があるのは?
中心地からは少し離れますが、アムステルダム中央駅からトラムで15分ほど、シンゲル運河を越えてすぐの場所に位置します。美術館から徒歩圏内には、オランダを代表するもう一人の画家、ファン・ゴッホの「ゴッホ美術館」や私立美術館などもあり、オランダ美術に触れられる一角になっています。
アムステルダム国立美術館の見どころ
建築物としての魅力
「美術館」であることを目的として建設されたヨーロッパ最初の建築物で、ミュージアム広場に建つ美術館は、まるで王宮のように圧倒的な存在感を放ちます。それでいて、美術館の中央には、サイクリングロードが設けられており、美術館を突き抜けることができるようになっているという、斬新な建物です。美術館の南側には「I amsterdam」の文字のオブジェがあり、人気のインスタポイントとなっています。
館内は、0階から3階まであり、合計4つのフロアがあります。エントランスホールはアトリウムとなっていて、光が降りそそぐ明るい空間です。ここにはインフォメーションや、ミュージアムショップ、カフェが設置されています。
名画の数々
建築家が、彼の絵を展示することを想定して設計したと言われ、今やアムステルダム国立美術館の顔とも言えるレンブラントの『夜警』は必見です。光と影の魔術師として知られる彼の絵画の中でも、この絵は集団肖像画の最高傑作で、世界三大名画の1つと讃えられています。レンブラントの絵は他にも『ユダヤの花嫁』、『織物商組合の見本調査官たち』、『聖パウロに扮した自画像』などが展示されています。
世界的にファンが多い、フェルメールの作品も見逃せません。フェルメールは生涯で約45点の絵を描いたと言われていますが、残っている作品はわずか35点ほど。そのうちの4点、『牛乳を注ぐ女』、『手紙を読む青衣の女』、『恋文』、『デルフトの小路』が展示されています。
優しく差し込む光や、ありふれた日常の、一瞬を切り取ったような、緻密な描写には、ため息が出そうです。思いきり近づいて鑑賞できるからこそ、感じられる筆のタッチなど、存分に味わっていただけます。
この美術館1階に展示されている絵画で注目を集めているのが、もう一人の巨匠ゴッホの作品『自画像』。美術館から近い場所にゴッホ美術館はありますが、押さえておきたい作品です。
名画以外にもチェックしたい必見の場所
レンブラントやフェルメール絵画と同じ2階にあるのが、ドールハウスです。最古のものは1676年製の物まであり、オランダの黄金時代の暮らしぶりがわかる女性に人気のスポットです。小さな小さな世界ではありますが、しつらえられた調度品や食器まで、緻密で精巧な世界に妄想を掻き立てられてしまいます。
もう1カ所必見の場所が、美術館の中にある、カイパース図書館です。吹き抜けを囲む壁面には、膨大な量の書籍がびっしりと並び、オランダで最も美術史の本がある図書館と言われています。まるで映画の1シーンのような、その美しさは必見です。
- アムステルダム国立美術館
- オランダ / 博物館・美術館 / 美術館
- 住所:Museumstraat 1, 1071 XX Amsterdam地図で見る
- 電話:+31 (0) 20 6621 440
- Web:https://www.rijksmuseum.nl/jp/general-information-...
マウリッツハイス美術館があるのは?
オランダの首都アムステルダムの西側に位置するデン・ハーグは、国会議事堂や総理府、各国の大使館が集まる政治の中枢地で、一帯はビネンホフ(Binnenhof/内庭)と呼ばれています。その一角にあるのがマウリッツハイス美術館です。デン・ハーグ中央駅から徒歩でも約10分の場所です。アムステルダム中央駅からは、IC(列車)で1時間ほどなので、日帰り観光も可能です。
マウリッツハイス美術館の見どころ
貴族のお屋敷
マウリッツハイス美術は、もともとオランダの貴族であったヨハン・マウリッツ家が住んでいたお屋敷。それを、王立美術館として初代国王ウィレム1世が1822年に公開したのが美術館の始まりです。ですから、カウンターやクロークがあるロビーこそ美術館らしい造りですが、展示室へ進むと貴族のお屋敷感が随所に現れ、その豪華で美しい内装にうっとりしてしまいます。
フェルメールの傑作
マウリッツハイス美術館での必見絵画は、なんと言ってもオランダの画家ヨハネス・フェルメールの『真珠の耳飾りの少女』。オランダの「モナリザ」と言われる傑作です。当時、とても高価だった鉱石ラピスラズリを使用して描かれた色はフェルメール・ブルーと呼ばれますが、この絵にもその色が使われています。スカーレット・ヨハンソン主演の映画『真珠の耳飾りの少女』をご覧になってから鑑賞すると、より楽しめると思います。
必見の絵画は他にも!
フェルメールの作品は他にも『ディアナとニンフたち』、『デルフトの眺望』が展示されています。また、レンブラントやその他の画家の見逃せない作品もあります。レンブラントの出世作とも言われる『テュルプ博士の解剖学講義』や『自画像』、ルーベンスの『聖母被昇天』がその例です。『聖母被昇天』は、アントワープのノートルダム大聖堂に展示されている『聖母被昇天』の下絵として制作されたものです。
美術館周辺も魅力的
オランダのもう1つの首都ともいわれるデン・ハーグの中心部には、13~17世紀に建てられた中世建築が揃っています。国会議事堂などの北側には、美しいホフ池があり、こちら側からみるビネンホフの建築群も重厚で美しい景観です。
- マウリッツハイス美術館
- オランダ / 美術館
- 住所:Plein 29, 2511 CS Den Haag地図で見る
- 電話:+31 70 302 3456
- Web:https://www.mauritshuis.nl/nl-nl/bezoekinformatie-...
最後に
いつもながらヨーロッパの美術館での光景は、大らかさとか、懐の大きさを感じます。世界的名画に近づけるのはもちろん、記念写真を撮ったり、絵の前で座り込んでいたり、写生していたり。そんな海外の美術館ならではの大らかさも、リアルタイムで楽しんでいただけたらと思います。