西尾市

癒しとアートの島【愛知・佐久島】を徹底解説!

取材・写真・文:

茨城在住
訪問エリア:28都道府県

2021年2月5日更新

9,513view

お気に入り

写真:あやか

愛知県西尾市は、愛知県中央部を北から南へ流れる矢作川流域の南端に位置します。抹茶の産地として、また「三河の古京都」として知られています。そんな西尾市にある有人島・佐久島が、アートの島として近年話題となっています。町おこしの一環として島全体がアート作品で溢れる佐久島は、女子旅やカップルなど若い人に大人気です。今回はその歴史やアート作品など、佐久島を徹底解説します。

この記事の目次表示

佐久島ってどんな島?

佐久島の地理

愛知県にある3つの有人島は、全て三河湾内に位置しています。その中でも佐久島は最大の島で、人口252人、面積は173ヘクタール、東京ディズニーランドの約3倍の広さを誇っています。島の80%以上が里山で、豊かな自然と昔ながらの懐かしい集落の風景が見られます。

  • 写真:あやか佐久島西港近く「日本の原風景が残る島」

信号機もコンビニもなく、ゆったりとした時間が流れる離島です。

佐久島の由来

崇神天皇の時代(紀元前1世紀)、伊勢の斎宮の郷に作彦という臣がいました。伊勢志摩の島を見回るついでに佐久島を訪れ、その景勝を気に入りなんと移り住んだのだそう。移り住んだ佐久島で、農業を始めたことから「作農」と呼ばれるようになったと伝えられています。

文献の中に初めて「佐久島」の名前が出てくるのは、藤原京の時代(7世紀後半)です。藤原宮跡から、土地の産物を献上した際の荷札に「佐久嶋」と書かれた木簡が出土したのだとか。更に8世紀の奈良時代には、平城京跡から出土した木簡に「析嶋(さくじま)」の名が見つかっています。

※木簡…古代の東アジアで墨で文字を書くために用いられた短冊状の細長い木の板のこと。

佐久島の歴史

今から2,500万年前に海中で堆積した島です。人が住むようになったのは紀元前3,000年ごろと言われています。

石垣の地層からは、縄文土器の破片や1世紀〜3世紀にかけて作られた様々な様式の弥生式土器なども多数出土しており、その歴史の古さが伺えます。江戸時代には、海を生活の場としていた海部(あまべ)族の末裔たちにより、海運業が繁栄しました。八日講(ようかこう)祭りや西の盆踊りなどは、その頃の佐久島独自の文化を今に伝える歴史ある行事なのです。

※八日講祭り…鬼に見立てた八角凧を弓矢で射ることで邪悪を祓い幸福を願う古式ゆかしい神事のこと。
※西の盆踊り…400年の伝統を誇る夏のお祭りのこと。
  • 写真:あやか佐久島

また、1954年(昭和29年)に佐久島は一色町に編入合併し、2011年(平成23年)4月には一色町は吉良町、幡豆町と共に西尾市に編入合併されました。

隅から隅まで!佐久島を遊びつくそう!

インスタ映えと話題に!アート作品を楽しむ

温暖な気候と豊かな海の幸に恵まれ、江戸時代には海運業で栄えた佐久島ですが、1947年(昭和22年)の1634人をピークに人口は減り続け、島の発展は長らく阻まれてきました。

アートを軸とした島おこしがスタートしたのは、1995年(平成7年)の国土庁(現在の国土交通省)の視察がきっかけです。それ以来、島民と行政とが手を取り合って島の産業、地域文化、自然環境、景観などを活用した、さまざまな活動を展開しています。また、小・中学校との連携によって、子どもたちが積極的に活動を担っていることも佐久島の大きな特徴です。

佐久島アートの常設展示は24点(2018年7月現在)あり、佐久島アート・ピクニックと題して、スタンプラリーを展開しています。

  • 写真:あやか佐久島アート・ピクニック スタンプラリーの用紙
  • 写真:あやか佐久島体験マップ

スタンプラリーの用紙や佐久島のマップは西港休憩所等にあるので、観光する前に取りにいきましょう。

  • 写真:あやか佐久島 西港休憩所 外観

ちなみにスタンプラリーを制覇すると、ステキな商品が貰えるのだとか。

展示されているアート作品の中で、若い女性やカップルなどに特に人気の作品や、筆者が見学した中で良かったと感じた作品を以下で紹介したいと思います。

西港休憩所
西尾市 / 休憩所
住所:愛知県西尾市一色町佐久島,西港地図で見る

「おひるねハウス」南川祐輝/2004年(2014年再制作)

石垣(しがけ)海岸にある、「おひるねハウス」は特に人気の作品です。連休などは観光客も多いため、写真を撮るために並ぶこともしばしば。

  • 写真:あやか「おひるねハウス」南川祐輝/2004年(2014年再制作)

作品の黒色は、西集落の黒真珠と言われる黒壁がモチーフとなっています。2010年公開の劇場版『名探偵コナン 天空の難破船』にも登場しており、劇中でコナンと怪盗キッドが遊びに来てくれたのだとか。インスタ映え間違いなしの作品です。

おひるねハウス
西尾市 / 女子旅 / 絶景 / インスタ映え
住所:愛知県西尾市一色町佐久島地図で見る
Web:http://www.sakushima.com/about/art/ohirune.php

「カモメの駐車場」木村崇人/2005年制作

大浦海水浴場にある作品が「カモメの駐車場」です。

  • 写真:あやか「カモメの駐車場」木村崇人/2005年制作

風の島である佐久島では、風にたくさんの呼び名があります。東風は「こち」、南風を「まぜ」などと呼ばれており、この作品は風を見るための装置なんだとか。装置にしてはとっても可愛くて、思わず写真を撮りたくなってしまう作品です。

カモメの駐車場
西尾市 / 女子旅 / インスタ映え
住所:愛知県西尾市一色町佐久島地図で見る

「イーストハウス」南川祐輝/2010年制作

大島浅橋ポケットパークにある作品が「イーストハウス」です。

  • 写真:あやか「イーストハウス」南川祐輝/2010年制作

「おひるねハウス」を制作した南川祐輝氏がこちらの作品も制作しています。東地区にある東屋なので「イーストハウス」と名付けられました。対岸に見える「おひるねハウス」とは対照的な白い箱で、階段から屋上に上がることもできます。そしてこのようにとっても長いんです。

  • 写真:あやか実はこーんなに長い「イーストハウス」

歩いてみたり、登ってみたり…。そして、覗いてみたり…。

  • 写真:あやか「イーストハウス」の中の様子

こちらもインスタ映え間違いなしな作品となっています。

イーストハウス
西尾市 / 女子旅 / 絶景 / インスタ映え
住所:愛知県西尾市一色町佐久島地図で見る

「佐久島の秘密基地/アポロ」POINT(長岡勉、田中正洋)/2013年制作

筒島手前にある作品が「佐久島の秘密基地/アポロ」です。

  • 写真:あやか「佐久島の秘密基地/アポロ」POINT(長岡勉、田中正洋)/2013年制作

木々のトンネルを抜けて渥美半島を見渡す崖の上にある建築作品で、イメージはアポロ11号の月面着陸。小さな建物ですが、たくさんの異なる風景を見ることができます。山道を抜けたところにあるので、少し歩きますが是非見に行ってほしい作品です。

佐久島の秘密基地/アポロ
西尾市 / その他スポット / インスタ映え
住所:愛知県西尾市一色町佐久島,佐久島の秘密基地地図で見る

「すわるとこプロジェクト」名城大学理工学部建築科 MIURA LAB/2008年制作

「カモメの駐車場」と同じく大浦海水浴場にある作品が「すわるとこプロジェクト」です。

  • 写真:あやか「すわるとこプロジェクト」名城大学理工学部建築科 MIURA LAB/2008年制作

座ったり、寝転がったり、のんびり景色を楽しむための作品で、他にも3ヶ所あります。残念ながら2018年8月現在修理中。

  • 写真:あやか「すわるとこプロジェクト」残念ながら修理中……

作品の修理が終わり次第、皆さんも座ったりのんびりして過ごしてみてはいかがでしょうか。

すわるとこプロジェクト
西尾市 / その他スポット
住所:愛知県西尾市一色町佐久島,すわるとこプロジェクト地図で見る

「ノンとビリーだ」松岡徹/2003年制作

フラワーロード沿いにある作品が「ノンとビリーだ」です。

  • 写真:あやか「ノンとビリーだ」松岡徹/2003年制作

こちらはのぞき箱の作品。ノンとビリーは、ヤギの名前です。ノンとビリーは実際に、フラワーロード沿いにある小屋で飼われています。

  • 写真:あやかヤギのノンとビリー

ノンとビリーにおやつをあげることも可能です。

  • 写真:あやかノンとビリーにおやつをあげることもできます!

注意事項をよく読んで、おやつをあげてみてはいかがでしょうか。

ノンとビリーだ
西尾市 / その他スポット
住所:愛知県西尾市一色町佐久島,ノンとビリーだ地図で見る
フラワーロード
西尾市 / 町・ストリート
住所:愛知県西尾市一色町佐久島,フラワーロード地図で見る

次のページを読む

西尾市の旅行予約はこちら


この記事で紹介されたスポットの地図

関連するキーワード

※記事内容については、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。

あなたにオススメの記事

同じテーマの記事


愛知デートに!カップルにおすすめのデートスポット58選

全国的に人気の名古屋港水族館や、世界一周旅行気分が味わえる野外民族博物館 リトルワールド、スケルトンの観覧車がスリリングなサンシャインサカエなど、カップルのお出...


【2024最新】日本の人気の島・離島TOP50!旅行者が行っている島ランキング

広島の宮島や沖縄の古宇利島、山口の角島をはじめとする日本の離島を、トリップノートの9万2千人を超える旅行好きトラベラー会員(2024年1月現在)が実際に行ってい...

日帰りで楽しむ!東海の女子旅おすすめスポット25選

話題の巨大複合施設「ヴィソン」やフォトジェニックな光景が見られる「モネの池」、海が見える美術館として知られる「MOA美術館」など、日帰りで楽しめる東海の女子旅に...

一人旅におすすめ!車なしで巡れる日本の離島11選

満天の星空に癒される波照間島や、アートの島として人気の犬島、可愛いうさぎに触れあえる大久野島など、車なしでも島内を散策できる、一人旅におすすめの日本の離島をご紹...

【東海】自然に癒される!景色のいいおすすめカフェ14選

天空カウンターから中央アルプスを見わたす「カフェー 清涯荘」や、隈研吾設計の店舗から海を一望できる「コエダハウス」、飛騨高山の里山散歩も楽しめる「櫟」など、自然...

この記事を書いたトラベルライター

旅する歴女
東京生まれ、東京育ち。
茨城県の県北エリア在住。

田舎暮らしをしながら、
好きなこと(文章を書く)をして、生きています。
旅と読書と人の話を聞くことが好き。

◆経歴

介護職(訪問介護員)
  ▽
歴史編さんの調査員
  ▽
地域おこし協力隊(2021年4月〜現在)

◎2017年1月〜現在:ライター
https://ayaka17blog.com/

【栃木】鬼怒川温泉エリアをのんびり観光!1泊2日モデルコース

「東京の奥座敷」といわれる鬼怒川温泉。今回この記事では、実際に筆者が体験した、鬼怒川温泉の1泊2日のモデルコースをざっくりの時間と共にご紹介します。時間がなくて...


1日で満喫できる!尾道・しまなみ海道【生口島】のおすすめ観光プラン

しまなみ海道は、広島県尾道市と愛媛県今治市を繋ぐ全長約60キロメートルに及ぶ西瀬戸自動車道の愛称です。瀬戸内海にある6つの島を9本の橋で結び、美しい景観やグルメ...


【栃木】車がなくても満喫できる!那須と宇都宮餃子を楽しむ日帰り観光プラン

東北新幹線や東北自動車道が通じており、都心からも日帰り可能な那須エリア。雄大な自然に囲まれ、夏は涼しく避暑地としても有名で、美術館や牧場など観光名所も沢山ありま...

【鬼怒川温泉】駅周辺で買える!オススメお土産5選&お土産店のご紹介

「東京の奥座敷」と呼ばれる関東有数の温泉地、鬼怒川。鬼怒川温泉駅周辺にはいくつものお土産屋さんがあります。今回この記事では、実際に筆者が購入して良かったお土産を...

世界遺産と広島グルメを半日で楽しむ!時間付きモデルコース

2つの世界遺産を持つ広島県は、中国地方有数の観光地ですね。見どころも多く時間がたっぷりないとまわることができないとお思いの方も多いでしょう。本記事では、世界遺産...

トラベルライターインタビュー Vol.3 Emmyさん

【トラベルライターインタビューVol.3】一人旅を応援する記事を多数執筆!Emmyさんならではの人気記事執筆のコツやその原動力に迫ります