標茶町(川上郡)

北海道・自然から色の贈り物。虹別原野のクレヨン工房tuna-kai

取材・写真・文:

トラベルライター

2021年7月26日更新

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写真:トラベルライター

北海道は道東の酪農地帯、虹別原野。道から少し入った白樺並木のその先に、とびきり素敵な工房があります。クレヨン工房tuna-kaiさんで作られているのは、自然の草木や土、貝殻などから色を頂いて、ひとつひとつ手作りされたクレヨンと絵の具です。優しくて厳しい北海道の自然の下で生まれた色ってどんな色?そんな気持ちでぜひ足を延ばしてみてください。

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白樺並木の先の、とびきり素敵な工房。

tuna-kaiさんの工房は、白樺並木の先にある小さな平屋建ての建物です。ここはかつて小学校の敷地にあった青年会館だったそうです。小学校の廃校と同時に建物の取り壊しが予定されていたところを偶然にも借りることができ、地域の方と協力しながら改築し、2011年に工房をオープンさせることができたそうです。

  • 写真:トラベルライター
  • 写真:トラベルライター

車の走る道路から、エントランスの並木を50mほど入ったところにtuna-kaiさんの工房があります。道路からも小さな看板と並木の奥の建屋が見えるので、近くまで来たら注意しながら車を運転してくださいね。

  • 写真:トラベルライター工房併設のショップ。
  • 写真:トラベルライター工房併設のショップ。

工房にはショップが併設されていて、tuna-kaiさんオリジナルのクレヨンや絵の具はもちろん、店主の好みでセレクトされた作家さんの雑貨も見ることができますよ。

  • 写真:トラベルライター入り口には、お客さんがクレヨンや絵の具を使って描いて送ってくれた絵がたくさん。

tuna-kaiのクレヨンと絵の具ができるまで

えっ!植物ってこんな色なの?不思議な色の贈り物

tuna-kaiさんのクレヨンは、店主の伊藤さんがひとつひとつ手作りで作っています。色の元となる顔料をすべて草木、土、貝殻など自然のものから抽出して作っています。

  • 写真:トラベルライター顔料作り①大きな鍋でコトコト煮出す。煮込まれているのは北海道固有の植物だそうです。
  • 写真:トラベルライター顔料作り②コーヒーフィルターをポタポタ通して濾す。
  • 写真:トラベルライター顔料作り③乾燥させて粉末にする。(注:①とは違う植物の顔料です。①からはどんな色の顔料ができるのでしょうか)

時間をかけて出来上がったクレヨンと絵の具がこちら。

  • 写真:トラベルライタークルミの殻に入った絵の具と、クレヨン。お店では試し書きが出来ます。

クレヨンや絵の具には、原材料が記載されたラベルが付けられており、原材料はそのまま色の名前にもなっています。筆者が不思議に思ったことは、緑色に見える草からできる色が黄色っぽいものが多いこと。

「素材の色と、顔料になった時の色が違ったりするのも面白いところ。クレヨンにするのか、絵の具にするのかによっても色が変わるんですよ。」と店主の伊藤さん。こんな風に、「この素材は何色になるんだろう?」と日々実験をしながら自然から少しづつ色を分けてもらっているそうです。

  • 写真:トラベルライター

クレヨンは、色味や書き味も何から色をもらったかによって異なりとっても個性的です。粘度のあるクレヨンもあれば、クーピーのように固めのクレヨンもあります。発色はいずれも優しい色合い。人工的な着色料を使用しない色を見るほうが珍しい今日、このクレヨンの書き心地がとても新鮮に感じます。

  • 写真:トラベルライターどんぐり帽子に入った絵の具
  • 写真:トラベルライタークルミに入った絵の具

絵の具は、どんぐりの帽子かクルミの殻を割ったものに入っています。水を含ませた筆で絵の具の表面をなぞり、溶かして使います。表面はすぐに乾くので、水入れ用の小さなカップと筆を一本、そしてこの絵の具をポケットに入れて出掛ければ、パレット無しでもさらりと手軽にお絵かきを楽しむことができます。

自然から色をいただく理由

  • 写真:トラベルライターきれいな光が入る、tuna-kaiさんの工房。

もともと草木染を独学で学ばれていた店主の伊藤さんですが、tuna-kaiのクレヨンが生まれたきっかけは、化学物質過敏症の少年に出会ったことだそう。天然素材を使ったクレヨンなら思いっきり絵を描いてもらえると考え、製作を開始したのが始まりだったそうです。

水彩絵の具や小麦粉粘土まで、続くtuna-kaiの試み

クレヨン作りから始まったtuna-kaiさんの試みですが、先に紹介した水彩絵の具を生み出すことにも成功。そしてなんと、筆者が訪れた際には、優しい色のついた小麦粉粘土の試作も作っておられるところでした。

  • 写真:トラベルライター試作の粘土を見せて頂きました。草まんじゅうのようですが、すみれ色の粘土です。
  • 写真:トラベルライター色の不思議、ワカメから白い粘土が出来るなんて!ヨモギはほんのり良い香りがしました。
アクセスと営業時間
住所:北海道川上郡標茶町虹別原野704-3
URL:https://www.tuna-kai.com/explanation
営業時間:工房open GW~8月 am10:00~pm5:00 (火曜定休)、9月~11月上旬 am10:00~pm4:00 (月火曜定休)
※11月下旬~翌GWまでは、雪が深くなるため工房はお休みになります。 

虹別周辺・筆者おすすめの寄り道スポット

虹別周辺は酪農地帯で、一面に広がる草原やうねるような丘の景色が楽しむことができます。のんびり放牧されている牛たちのいる風景は「The北海道」そのもの。tuna-kaiさんへの訪問と併せて、ドライブで巡るおすすめスポットを紹介します。

多和平

  • 写真:トラベルライター多和平

tuna-kaiさんから一番近い展望スポット。360度ぐるりと地平線が広がり、大地の大きさを感じることができます。北海道屈指の展望スポットですが、あんまり有名ではないのが不思議です。キャンプ場としてテントを張れるスペースもあります。とてもきれいなテントサイトで、オートキャンプもおすすめです。レストハウスでの食事も◎。

多和平
標茶町(川上郡) / 牧場 / キャンプ場 / 展望・景観
住所:北海道川上郡標茶町標茶798-1地図で見る
電話:015-485-2264(標茶町観光協会)
Web:http://www.sip.or.jp/~tawa360/kankou-top.html

開陽台展望台・北19号(ミルクロード)

まぁるく見える地平線で有名な、道東屈指の展望スポットです。魅力は展望だけでなく、実は開陽台に至るまでの直線道路・北19号(ミルクロード)にあります。

こんなまっすぐな道に憧れて北海道に来る方も多いのではないでしょうか。

開陽台展望台
中標津町(標津郡) / 展望・景観 / ツーリング / 展望台
住所:北海道標津郡中標津町開陽2256-16地図で見る
電話:0153-73-3111
Web:http://www.nemuro.pref.hokkaido.lg.jp/ss/srk/kanko...
ミルクロード
中標津町(標津郡) / 自然・景勝地 / ツーリング / ドライブスポット / 絶景
住所:標津郡中標津町北19号道路地図で見る
電話:0153-73-4787(中標津町観光案内所)

摩周湖・神の子池

いわずと知られた有名な観光スポット。流れ込む川も、流れ出る川もないのに水位の変わらない不思議な湖。裏摩周にある神の子池も絶対に訪れてほしい場所です。自然の色って本当に不思議だと実感すること間違いなしです。

摩周湖
弟子屈町(川上郡) / 自然・景勝地 / 観光名所 / ツーリング / 湖
住所:北海道川上郡弟子屈町地図で見る
Web:https://www.masyuko.or.jp/introduce/mashu/
神の子池
清里町(斜里郡) / 自然・景勝地 / パワースポット / ツーリング / インスタ映え / 絶景 / 観光名所
住所:北海道斜里郡清里町地図で見る
電話:0152 - 25 - 4111(きよさと観光協会)
Web:http://www.kiyosatokankou.com/kaminokoike.html

さいごに

  • 写真:トラベルライター

あえて人工的に色を足さずに、自然のままに在る色で作られたtuna-kaiさんのクレヨンと絵の具たち。パッケージや入れ物も「なるべくこの色たちに似合うもの」をと考えて完成されたものを見ていると、このクレヨンと絵の具たちが丁寧に時間をかけて作られたものであることが伝わり、触れているだけで気持ちが穏やかになります。

自然に対して、そしてこのクレヨンや絵の具を使う人に対して、敬意と思いやりが感じられる芯の通ったtuna-kaiさんのモノづくり。優しく厳しい北海道の自然を、tuna-kaiさんの視点で感じてみるのはいかがでしょうか。

クレヨン工房tuna-kai
標茶町(川上郡) / 工場・施設見学
住所:北海道川上郡標茶町虹別原野704-3地図で見る
Web:https://www.tuna-kai.com/

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