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【函館市大船町】国指定史跡「大船遺跡」!竪穴住居の規模が大きく、太平洋が目の前に広がる歴史的景勝地

取材・写真・文:

トラベルライター

2018年3月2日更新

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写真:トラベルライター

大船遺跡は、太平洋に面した土地にあり、縄文時代前期後半から中期後半(紀元前3,200年~紀元前2,000年頃)で、今から5,000~4,000年前の人々の暮らしぶりを伺うことができる大規模な集落遺跡です。自分のルーツでもある縄文時代の様子を、見て・触れて、体感してみませんか?

この記事の目次表示

国指定史跡「大船遺跡」とは?

大船遺跡は、1996(平成8)年から発掘調査が開始され、なんと100軒以上の住居跡が見つかっている大集落跡のことで、2001(平成13)年に国指定史跡となった歴史的な遺産です。

場所はこちらで、函館駅から車で約70分の所にあります。

  • 写真:トラベルライター国指定史跡「大船遺跡」の看板

看板の右側に指定面積が写真とイラストで紹介されています。右上の写真には民家が写っており、対比すると、かなり広い面積だということと、小高い丘の上にあることが分かります。

  • 写真:トラベルライター国指定史跡「大船遺跡」全景

小高い丘を登ったところに、広い遺跡群が広がっています。

  • 写真:トラベルライター史跡大船遺跡管理棟前にて

そして遺跡群の横には、史跡大船遺跡管理棟が建っており、中には発掘の様子などを知ることができる多くのパネル展示があります。

では早速、遺跡群を歩いてみましょう!

竪穴式住居が復元されている大船遺跡

復元された竪穴式住居前に立つと、眼下には見渡す限りの太平洋が広がります。

史跡大船遺跡管理棟のスタッフさんによると、縄文時代は今よりも海面が高く、もっと海が近かったそうです。5,000~4,000年前の人々は、目の前には海、背後には山という絶好の立地条件で、海の幸・山の幸に恵まれた暮らしをしていたと想像してしまいます。

  • 写真:トラベルライター眼下の太平洋

この遺跡からは縄文中期の住居跡が120以上発見され、なかには長さ8~11メートル、深さ2メートル以上の非常に大きな規模のものがあります。

  • 写真:トラベルライター竪穴住居の案内板

案内板の右側の写真には、実際に人が作業している光景が写っているので、とても広くて深いことが分かります。

  • 写真:トラベルライター縄文中期の住居跡

100棟を超える竪穴建物跡から成り立つ住居域と大規模な盛土遺構があり、その周りには100基以上の墓が確認されています。盛土遺構とは、「掘り起こした土、使われなくなった道具、動物や魚などの骨を自然に帰す行為(送り)を行っていた場所」だと考えられているそうです。

余談ですが、この場所を訪れる前日は、前線通過の影響により警報が出るほどの激しい雨で、JRは運転を見合わせたり、一部の道路は通行止めになる状態でした。少し心配しながら翌日行ってみると、これらの住居跡には水が溜まっていませんし、どこも傷んでいませんでした。前述のスタッフさんに聞いてみると、遺跡を守るための対策として、土の上から薄いコーティングをし、また、雨を地中に逃がすような工夫をしているそうです。

屋外にある遺跡展示・管理の、難しさと対策の凄さを感じました!

  • 写真:トラベルライター縄文中期の住居跡2

発見された竪穴建物跡は、床を2m以上深く掘り込んだ大型の建物が特徴的で、マグロ、クジラ、オットセイ、鮭、牡蠣などの魚介類の骨やクリ、ヤマブドウ、栗、トチといった木の実などの動植物遺体が出土し、自然と共存した豊かな生活を営む当時の人々の暮らしを知ることができます。

  • 写真:トラベルライター盛土遺構

多量の遺物が出土している盛土遺構は、「捨て場」としての役割のほか、アイヌ民族の「送り」にも通じる概念が存在していたと考えられているそうです。

縄文時代中期の拠点集落

1996(平成8)年からの調査結果では、発掘した多くの竪穴建物跡や貯蔵穴、墓などの遺跡から、当時の人々の暮らしぶりや、この場所で長期間にわたり集落が営まれていたということが分かるようです。

  • 写真:トラベルライター縄文中期の住居(復元)

そして、この場所で長期間にわたり集落が営まれていたことから、当時のこの地域が、安定して生活できるだけの自然環境に恵まれていたことを示すと同時に、多量の土器や石器等の遺物が出土した盛土遺構の存在からは、活発な交易が行われた集落として栄えたことが想像できるようです。

  • 写真:トラベルライター

この頃のご近所付き合いがどのようなものであったのかなど、想像が広がります。

重なり合う建物

大船遺跡では、多くの建物が重なり合って見つかりました。同時に当時の土器も出土し、分析の結果、年代によって様々な形態や特徴が見えてくるようです。

  • 写真:トラベルライター重なり合う建物跡

特徴の一例として、建物内部には、炉や儀式が繰り返し行われたと見られる痕跡があることから、同一集団によって長期間にわたって集落が営まれていたと考えられています。

  • 写真:トラベルライター

史跡大船遺跡管理棟

  • 写真:トラベルライター史跡大船遺跡管理棟

この建物には展示館があり、多くのパネルや模型などで、大船遺跡のほか、北海道道南地域及び東北地域の遺跡群を紹介しています。

  • 写真:トラベルライター史跡大船遺跡管理棟横の石皿

管理棟のすぐ横には、木の実や肉をすりつぶす道具として使用されたと考えられている「石皿(いしざら)」の展示があり、当時の生活の一端を垣間見ることができます。

  • 写真:トラベルライター史跡大船遺跡管理棟内部の様子

管理棟内には椅子やテーブルが置かれているので、ゆっくり休憩しながら多くのパネルなどの展示を見ることができます。

  • 写真:トラベルライター史跡大船遺跡管理棟内の展示

発掘当時の模型です。遺跡群の発掘には多くの人が関わっていたことがよく分かります。

  • 写真:トラベルライター史跡大船遺跡管理棟内の展示パネル(発掘作業風景)

さらにパネルで丁寧に説明されています。

このパネルは、住居跡を発掘している様子です。住居跡は現在まで100あまり見つかっており、地中の古い地層にはまだまだ住居跡が埋まっていると考えられているそうです。

  • 写真:トラベルライター史跡大船遺跡管理棟内の展示(竪穴住居の土層断面と出土品)

中期後半になると地域の独自性が芽生えてくるようになります。石皿の出土は、食料資源に恵まれた証拠と言えると思われます。

世界文化遺産登録を目指す「北海道・北東北の縄文遺跡群」

北海道と北東北は、三内丸山遺跡をはじめとする縄文遺跡の宝庫です。北海道・青森県・岩手県・秋田県及び関係自治体は、これらの地域で出土し続けている縄文遺跡群の貴重な文化的遺産を世界文化遺産として登録されることを目指しています。

  • 写真:トラベルライター世界文化遺産を目標に!!

現地で伺った話題をひとつ

遺跡付近の森には、野良馬が100頭以上生息しており、遺跡を散策中に足跡などを発見しました。管理棟に勤務する方にお聞きしたところ、夕暮れ時には、時々馬の群れが出没するそうで、手を叩いたりして追い払うそうです。この話は、旅行のガイドブック等では決して知ることが出来ない貴重なエピソードですね♪

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