高森町(阿蘇郡)

「高森田楽の里」の古民家で愉しむ阿蘇の郷土料理と癒しスポット

取材・写真・文:

東京在住
訪問エリア:43都道府県

2021年12月29日更新

2,008view

お気に入り

写真:熊猫

熊本県阿蘇山の南側に位置する高森町には、様々な豊かな文化が今に伝わります。中でも、高森田楽は250年の歴史を持つといわれる高森町の郷土料理です。今回は、築200年の古民家がある「高森田楽の里」でいただく高森田楽と、高森町の癒しスポットをご紹介します。

この記事の目次表示

南阿蘇の奥座敷、高森町

  • のどかな高森町の様子。眼前に根子岳を望む。

広大なカルデラ火山として知られる阿蘇山は、火の国熊本のシンボル的な存在として広く知れ渡っています。その阿蘇山の南側に接する高森町は、風光明媚な自然と豊かな文化が織りなす町として、南阿蘇の奥座敷といわれています。

春は高森峠の千本桜の開花や酒蔵の蔵開き、夏は根子岳の山開きに、300年の歴史を持つ「風鎮祭」、そして秋には根子岳の紅葉、冬は高森湧水トンネルで行われる「クリスマスファンタジー」など、1年を通じて、新旧の豊かな文化を楽しむことができます。

高森田楽とは

  • 写真:熊猫築200年といわれる母屋の間口。

串に刺した豆腐に味噌をつけた素朴な料理の田楽は、室町時代から続く庶民の味です。高森町における田楽の発祥はおよそ250年前、全国を行脚して、田楽を知った村人がもたらしたといわれています。

従来の田楽が豆腐であるのに対し、高森町のそれは地元特産の里芋を用いられています。高森田楽は、農家の囲炉裏端の食物として、または作物収穫時のねぎらいの料理として伝えられてきました。

高森特産の里芋「つるの子芋」

  • 写真:熊猫阿蘇特産の「つるの子芋」に味噌をつけて食べる高森田楽。

高森田楽に用いられる里芋は「つるの子芋」と呼ばれる里芋です。芋の先端が鶴の首のような独特の形をしていることから、その名前が付いたといわれています。この芋は火山灰土壌の痩せた土地でしかつくることができません。肉質は硬く、粘り気があり、煮くずれしにくいといわれています。

近年、生産農家の減少で、「つるの子芋」の収穫が減少しているようです。このため、2019年5月時点で「つるの子芋」を用いた高森田楽は10月半ばから数か月間だけの季節限定の提供になっています。

築200年の古民家が雰囲気抜群「高森田楽の里」

  • 写真:熊猫雑木林に囲まれた高森田楽の里。

高森田楽を提供するお店は町内にいくつかありますが、その中でも雰囲気のよさでおすすめのお店が「高森田楽の里」です。母屋は築200年ともいわれる古民家を改装した広い建物。茅葺屋根に、漆喰の壁、高い天井、そして囲炉裏。どことなく懐かしい日本人の原風景を見ることができます。

また、隣接するお土産処「けやき屋」の建物は、明治時代の家屋を移築したものです。この古い建物は阿蘇出身の小結、初代佐田の海の生家ともいわれています。囲炉裏端でいただく高森田楽は、雰囲気抜群です。

  • 写真:熊猫

ヤマメや鶏肉、そして肥後の赤牛なども

  • 写真:熊猫囲炉裏でいただく高森田楽とやまめなど。

高森田楽は芋田楽ですが、「高森田楽の里」には、ヤマメやこんにゃく、豆腐、沢ガニなどが加えられたバラエティ豊かなセットメニューが用意されています。田楽の他、小麦粉で作った団子と季節の野菜、肉などを加え、醤油または味噌で味をつけた、だご汁、五穀米を炊いた、きびめしが付いた「田楽定食(1,980円)」はボリュームたっぷり。

または地鶏を炭火で焼いていただく「炭火鶏焼定食(1,980円)」や地元の牧場で放牧されて育った肥後の赤牛を加えた「あか牛の耕焼定食(3,190円)」など、セットメニューも豊富です。阿蘇の雄大な自然に素朴な人情、先人達が残した生活の知恵を感じながら、じっくり味わうのが、高森田楽の醍醐味です。※セット料金は税込み価格。

  • 写真:熊猫定食についているだご汁も熊本の郷土料理です。
高森田楽の里
高森町(阿蘇郡) / 郷土料理 / ご当地グルメ・名物料理 / ランチ
住所:熊本県阿蘇郡高森町大字高森2685-2地図で見る
Web:https://www.dengakunosato.com/index.html

高森町の癒しスポット

高森町の魅力は「高森田楽の里」だけではありません。たくさんの見どころの中から、特におすすめの癒しスポットをご紹介します。

南阿蘇鉄道

  • 南阿蘇鉄道の高森駅。

高森町の最寄り駅は、情緒あふれる南阿蘇鉄道の高森です。従来であれば、熊本市街から高森まではJR豊肥本線から南阿蘇鉄道を乗り継いで行くことができましたが、2016年に発生した熊本地震により、2019年5月時点で、両線とも一部区間で不通となっています。

南阿蘇鉄道で運行しているのは中松~高森間。わずか15分の区間ですが、小さなローカル線から南阿蘇の山々と田園風景をのんびり眺めるのも贅沢です。

  • 自然豊かな阿蘇を走行する南阿蘇鉄道。
高森駅
高森町(阿蘇郡) / 駅
住所:熊本県阿蘇郡高森町大字高森地図で見る
Web:http://www.mt-torokko.com/information/route/takamo...

高森湧水トンネル公園

  • 季節に合わせたイベントが行われる高森湧水トンネル公園。

高森駅から南に歩いて10分のところにあるのが、高森湧水トンネル公園です。元々、先に紹介した南阿蘇鉄道は旧国鉄時代に宮崎県の高千穂を結ぶ九州横断鉄道になる予定でした。しかしながらトンネルの出水事故などがあり、計画を断念。着工していた高森トンネルは高森湧水トンネル公園となりました。

トンネルの長さは2,055メートル。常時、毎分32トンの湧水量があるといわれています。トンネル内には歩道が整備されており、噴水なども設置されています。毎年7月には七夕まつり、11月中旬から12月には「クリスマスファンタジー」がトンネル内で催されます。

高森湧水トンネル公園
高森町(阿蘇郡) / 公園 / 穴場観光スポット / ドライブスポット / 子供が喜ぶ / 雨の日観光 / 夏のおすすめ観光スポット / 冬のおすすめ観光スポット / 遊び場 / 川遊び / 水遊び
住所:阿蘇郡高森町高森1034-2地図で見る
電話:0967-62-3331
Web:http://www.town.takamori.kumamoto.jp/kankomap/kank...

上色見熊野座神社

  • 上色見熊野座神社の鳥居。

近年、ひそかに注目を集めているパワースポットが、上色見熊野座(かみしきみくまのいます)神社です。苔むした260段の階段、100基を超える石灯篭が並ぶ参道はまさに異世界。いかにもご利益がありそうな雰囲気です。

神社の御神木「なぎ」は波風を鎮めること、葉の特徴として、横からはなかなかちぎることができないという理由から、縁結びや商売繁盛を祈願する縁起のよい木として崇められています。また、熊本出身の漫画家、緑川ゆきさんの短編作品『蛍火の杜へ』の舞台としても有名となり、多くの若者が訪れるようになりました。

境内を過ぎて山道を登っていくと、縦横10メートル以上の風穴があいた、穿戸岩(うげといわ)があります。この穴はその昔、健磐竜命(たけいわたつのみこと)の従者鬼八法師が蹴破ったといわれ、どんなに困難な目標でも必ず達成できる象徴として合格・必勝のご利益があると評判です。

上色見熊野座神社
高森町(阿蘇郡) / 神社 / 絶景 / インスタ映え / ドライブスポット / パワースポット / 女子旅 / 穴場観光スポット / 一人旅 / 春のおすすめ観光スポット / 夏のおすすめ観光スポット / 縁結びスポット / ツーリング
住所:熊本県阿蘇郡高森町上色見2619地図で見る
電話:0967-62-1111

次のページを読む

高森町(阿蘇郡)の旅行予約はこちら


この記事で紹介されたスポットの地図

関連するキーワード

※記事内容については、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。

あなたにオススメの記事

この記事を書いたトラベルライター

さすらいびと
「いつか、ある人にこんなことを聞かれたことがあるんだ。たとえば、こんな星空や泣けてくるような夕日を一人で見ていたとするだろ。もし愛する人がいたら、その美しさやその時の気持ちをどんなふうにつたえるかって?」
「写真を撮るか、もし絵がうまかったらキャンバスに描いてみせるか、いややっぱり言葉で伝えたらいいのかな」
「その人はこう言ったんだ。自分が変わってゆくことだって…。その夕日を見て、感動して、自分が変わってゆくことだと思うって」 星野 道夫「旅をする木」(文春文庫)より
https://blog.goo.ne.jp/kumaneko71

140円の鉄道旅「大回り乗車」で楽しむ首都圏1都3県のグルメ旅

JR各社の大都市近郊区間内の特例として、遠回りしながら目的地に行く「大回り乗車」というものがあります。初乗り料金のたった140円でぐるりと関東地方を一周すること...


140円の鉄道旅・大回り乗車で楽しむ東京〜千葉・絶品の駅そば巡り

大回り乗車をご存じでしょうか。JR各社の大都市近郊区間内の特例として、運賃上正式な乗車ルートではない路線を利用し、遠回りして目的地に行く乗車方法のことです。この...


うどんだけじゃない。高松名物「骨付鳥」は、CAも通う「蘭丸」がおすすめ

高松といえば、讃岐うどん。でも、もうひとつの名物「骨付鳥」はあまり知られていません。文字通り、鳥の骨付きもも肉を焼いたもので、スパイシーな味付けが特徴です。近年...

【福井】永平寺の修行体験 1泊2日の参籠で心を整える

旅行ガイド『ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン』において二つ星がつけられるなど、国内外から注目を集める永平寺。でも観光で訪れるだけとは、なんとももったいない。...

階段降りたら2秒でアジア。アジア食材・調味料が揃う「アメ横センタービル・地下食品街」

今、東京でも屈指の多国籍タウンになりつつある「アメ横」。今回は、色々な国の様々なエッセンスが薫る商店街の中でも、とりわけホットなスポットとして注目を集めている「...

トラベルライターインタビュー Vol.3 Emmyさん

【トラベルライターインタビューVol.3】一人旅を応援する記事を多数執筆!Emmyさんならではの人気記事執筆のコツやその原動力に迫ります