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知ればもっとビールが美味しくなる! サッポロビール博物館

取材・写真・文:

トラベルライター

2018年2月27日更新

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写真:トラベルライター

サッポロビール博物館は、サッポロビールの歴史を紹介する日本でただ一つのビール博物館です。1876年(明治9年)、北海道開拓使の村橋久成や中川清兵衛が、北海道札幌市にサッポロビールの前身となる「札幌麦酒醸造所」を設立し、翌年「冷製札幌ビール」を製造。その後1887年(明治20年)、大倉喜八郎と渋沢栄一、浅野総一郎らが経営に参画し、札幌麦酒株式会社を設立したのがサッポロビール株式会社の始まりです。こちらでは、そんなサッポロビールの歴史を学んでみましょう!

この記事の目次表示

サッポロビール博物館とは

  • 写真:トラベルライター

2017年は、サッポロビールの前身である「開拓使麦酒醸造所」が札幌に開業してから140周年目に当たる年。国内初の本格的ドイツ式ビール醸造を成功させたのが、ここ札幌で創業したサッポロビールなんです。サッポロビール博物館には、これまでの歩みや生み出された財産などが展示されています。

建物右奥にそびえ立っている巨大な塔が博物館の目印です。ちなみに、サッポロビールの名前の上にある★印(星印)は、「北極星」を表す、会社のシンボルマーク。ビールの缶など、いろいろなものに使われています。

いざ!施設内へ

博物館正面入り口です。博物館は、2016年4月にリニューアルオープンしました。

見学方法は、自分で見て回る自由見学(無料)と、ガイドさんが説明してくれるプレミアムツアー(有料500円税込・試飲付き)の2種類があります。

今回は、自由見学の紹介をメインに、プレミアムツアーとの違いもご説明したいと思います。

スロープを下りて、早速自由見学スタート!

博物館は3階建てで、3階から1階に降りながら見学していきます。

  • 写真:トラベルライターサッポロビール博物館入口
  • 写真:トラベルライター博物館入口(3階)

3階博物館入口を入ると、右側にプレミアムツアー入口、左側に自由見学入口があります。

早速左側の自由見学入口から入り、スロープを下っていくと突如、巨大な煮沸釜が現れます!

  • 写真:トラベルライター博物館3階から2階へのスロープ
  • 写真:トラベルライター煮沸釜のオブジェ

そしてすぐ上の窓には、麦とホップを描いた美しいステンドグラスがはめ込まれ、スロープに優しい色合いの光が映し出されています。

  • 写真:トラベルライター麦とホップが描かれたステンドグラス

サッポロビールの歴史を知る展示パネル

さあ、この先にサッポロビール歴史物語の展示パネルが広がっています。現在のサッポロビールの礎を築いてきた開拓使の活躍やビール醸造の歴史などを主題別の12のブースに分けて紹介する展示パネルが並んでいます。

各ブースは、それぞれの主題に関連する資料やモニターに次々と映し出される当時の映像などで構成されており、サッポロビールが歩んできた軌跡を学ぶことができます。12ブースの主題は、以下のとおりです。

01. 1869年~ 開拓使のはじまり
02. 1875年~ ビール醸造人、誕生
03. 1875年~ 北海道でつくるべき!
04. 1876年~ ビール醸造所の完成
05. 1877年~ 札幌ビールの初出荷
06. 1880年~ 札幌ビールの評価高まる
07. 1886年~ 官営から民間企業へ
08. 1892年~ ビール醸造の近代化
09. 1903年~ 札幌麦酒、東京進出
10. 1956年~ サッポロビールの復活
11. 1977年~ 生ビール時代を切り拓く
12. 受け継がれるものづくり

  • 写真:トラベルライター展示パネルコーナー全景

このように1~12のブースに分かれて展示されています。番号順に見ていくことによって、普段よく飲むビールのことが深く理解できる構成になっています。

  • 写真:トラベルライター歴代醸造ビールの一例(展示物一例)

これは、ブースの展示物の一例です。このように歴代の実物展示を見られるのが大きな魅力です。

そして、この瓶をじっくり見ると、少し形が違うことがお分かりでしょうか?実はこの頃の日本では、まだガラス瓶を作ることができず、ドイツから大量のワインを輸入し、その空き瓶を使用したそうです。その結果、少し形が違う瓶が混在することになったそうです。

  • 写真:トラベルライター氷付きで輸送した札幌ビールの紹介パネル

北海道札幌でのビール造りは、豊富な伏流水、ホップやビール大麦の栽培に適した気候、低温発酵させるための氷が入手しやすいという恵まれた環境と多くの人々の努力により発展しました。

明治時代、札幌で幾度もやり直した末に完成した本場ドイツ式札幌ビールを、東京で販売するためには船で運んだそうです。この頃のビールは酵母を完全に濾過することができず、船で運んでいる間に発酵が進むため氷と一緒に運んだそうです。物流環境が今とは全く違うことが分かると同時に、当時の試行錯誤をうかがい知ることができます。

発売初期は栄養ドリンク?

東京まで運ばれたビールは、もともとビールを知っている外国人に大変好評で、エドワード・S・モースというアメリカの動物学者が「開拓使ビールの美味」と「Japan Day By Day」という本に残しているそうです。

とはいえ、多くの日本人にとってビールは馴染みのない飲み物だったため、ビール瓶のラベルには飲み方を記載し、さらに「滋養強壮に富み、胃の健康にも良い」という効能書をつけて宣伝したそうです。実際に発売当時は、酒屋さんだけでなく、なんと薬局でも栄養ドリンク的な扱いで販売されていたそうです。

  • 写真:トラベルライタービールの新聞広告と効能書

創業当時の工場を模型で

こちらは、創業当時の工場立体模型です。当時は、大日本麦酒株式会社でした。1964年(昭和39年)1月、サッポロビール株式会社に商号変更しました。

  • 写真:トラベルライター創業当時の工場立体模型

長い歴史をポスターと共に振り返る

歴史を感じさせてくれる歴代のポスターとラベルが展示されています。

  • 写真:トラベルライターサッポロアドコレクション1
  • 写真:トラベルライターサッポロアドコレクション2
  • 写真:トラベルライターサッポロビールラベルヒストリー

ミニシアターで歴史を振り返る

パネル以外に、ミニシアターでも歴史を紹介しています。座ってじっくりと見ることができるのは嬉しいですね!

  • 写真:トラベルライターミニシアターの様子

自由見学のあとは、スターホールで試飲を

1階に到着すると、テイスティングができる「スターホール」があります。

  • 写真:トラベルライター1階 スターホールのメニュー

ここでは、札幌ファクトリーの札幌開拓使麦酒醸造所で製造している「開拓使麦酒(未濾過)」を飲むことができます。

  • 写真:トラベルライター開拓使麦酒(未濾過)(平成28年1月11日撮影)

「開拓使麦酒」とは、創業当時の「開拓使事業報告書」に記載されている製法を基本に醸造されているビールのこと。「未濾過」とは、醸造で使用されたビール酵母を濾過していないもののことで、独特の旨みを堪能することができます。写真のビールが少し濁っていることが、お分かりになるでしょうか?この濁りがまさに酵母が未濾過の状態なのです。

  • 写真:トラベルライターテイスティングができる、1F スターホールの様子。シャンデリアがビール瓶です。

「開拓使麦酒(未濾過)」が味わえるのは、この「サッポロビール博物館」と札幌開拓使麦酒醸造所がある札幌ファクトリー内の「札幌開拓使麦酒・賣捌所」と「ビヤケラー札幌開拓使」の3カ所のみです。

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