2年に1度のビエンナーレ・オブ・シドニー2018で現代アート巡り

取材・写真・文:

オーストラリア在住
訪問エリア:28ヶ国
2018年4月24日更新

イタリアのヴェネツィアで始まったBIENNALE(ビエンナーレ/2年に1度という意)。文字通り世界中からアーティストを招待して2年に1度行われる大規模な展覧会で、シドニーでは、2018年3月16日〜6月11日までビエンナーレが開催されています。今回は、期間中にシドニーを訪れた際に観光も兼ねて訪れてほしいビエンナーレ・オブ・シドニーの開催スポットをご紹介します。

シドニー   美術館イベントビエンナーレ

BIENNALE OF SYDNEY(ビエンナーレ・オブ・シドニー)

BIENNALE OF SYDNEYは、シドニーで1973年から行われている現代美術の展覧会。2018年で45周年、21回目を迎えるこの展覧会は、アジア人として初めて、森美術館の総合プロデューサーでもある片山真実さんがキュレーションを行なっていることでも注目のイベントです。

会場の地図や作品の解説が載っているガイドブック($5.00 / ¥410)がオススメです

会場は全部で7箇所あり、お馴染みのオペラハウスを始め、以前の記事でご紹介したART GALLERY OF NSWやMUSEUM OF CONTEMPORARY ARTCARRIAGEWORKSでもビエンナーレ作品の展示が行われています。今回は、開催スポットと作品を抜粋して駆け足でご紹介したいと思います。

【1】ART GALLERY OF NEW SOUTH WALES(ニュー・サウス・ウェールズ州立美術館)

シドニーCBD(ビジネス中心区)の東側に位置する広大な公園・The Domain(ザ・ドメイン)の一角にあるニュー・サウス・ウェールズ州立美術館は、1871年にオープンしたオーストラリア最大規模の美術館です。

ネオクラシック様式の巨大な円柱の柱を抜けると、トップライトの光が入る開放的なエントランス・コートが広がっています。このエントランス・コートの展示も、イベント期間中はビエンナーレ仕様に変更されています。

左奥の白い壁に小さい金属鋲が打ち付けてあるものがPrabhavathi Meppayilの作品

因みに、オバマ元大統領が来豪した際にこのPrabhavathi Meppayilの作品の前で公演を行ったことでも話題になりました。

2018年で45周年、21回目の開催

1973年から始まったビエンナーレ・オブ・シドニーは2018年で21回目の開催となります。それを記念し、今までの展覧会のアーカイブ・コーナーも設置されています。

1990年当時の展示の中には、日本の西武百貨店のポスターも。糸井重里さんのコピーだそうですが、よく見たらモデルは宮沢りえさんでした。カワイイ!

展示作品ピックアップ

Roy Wiggan

こちらはアボリジナル・アーティストRoy Wigganによる「ILMA」という作品。この場所には、通常もカラフルなアボリジナル・アートが展示されていますが、ビエンナーレ期間中はこちらの作品に変わっています。

Roy Wiggan "Ilma"

文字を持たないアボリジナルの人々が動物や植物、気候などにインスパイアされて製作した「ILMA」は、式典に使われたり、様々な事柄を未来に伝承するために使われたものだそう。原色が使われた鮮やかなアートがポップで可愛いくて、真っ白い大きな壁に映えます。

Riet Wijnen

オランダ人アーティストRiet Wijnenの作品は、16回の架空の会話を抽象的にマッピングして絵画や彫刻になっているというもの(!?)だそう。耳で聞いただけではわかりづらいですが、木材で作られた彫刻はまるで家具のようでとても美しく、筆者は職業柄細かいディテールまでチェックしてしまいました。

Riet Wijnen "Sixteen Conversation on Abstraction"

Eija-Liisa Ahtila

ビジュアルアーティストであるEija-Liisa Ahtilaの、他の生物との共存を表現した映像作品です。暗い室内のモニターに映った宇宙を浮遊している人間の映像が、何とも幻想的な雰囲気です。

Eija-Liisa Ahtila "Potentiality of Love"

ニュー・サウス・ウェールズ州立美術館は第2回目の1976年からビエンナーレ会場として使用されている老舗。シティからはアクセスしやすい会場ですので、気軽にのぞいてみてはいかがでしょうか。

ニュー・サウス・ウェールズ州立美術館

住所:Art Gallery Rd, Sydney NSW 2000

電話:02 9225 1700

Web:https://www.artgallery.nsw.gov...

【2】MUSEUM OF CONTEMPORARY ART(オーストラリア現代美術館)

シドニー湾の玄関口、ハーバーサイドのCircular Quay(サーキュラー・キー)という絶好のロケーションにあるのがMuseum of Contemporary Art(オーストラリア現代美術館 / 通称MCA)です。世界のモダンアートを揃えたこのMCAでも、1Fと3Fの2フロアーでビエンナーレの18作品が展示されています。

こじんまりした空間に18作品

比較的小さめなスペースのMCAには全部で18作品展示されており、他の会場と比べてあまり歩かずに効率的に回ることができます。藁やロープなどを編んだ作品が多く、少しエスニック(民族的)な香りがする印象を受けます。

展示作品ピックアップ

Esme Timbery

Esme Timberyは、湾岸に住んでいたアボリジナルの人々の伝統技術を継承し、海岸で取れた貝殻で装飾品を製作しているアーティスト。今回の展示は子供用のスリッパに貝殻をデコレーションしたもので、カラフルな小さいスリッパがたくさん並んでいるだけでカワイイです。

Maria Taniguchi

フィリピン在住のアーティストMaria Taniguchiによる絵画と彫刻のインスタレーションは、どことなく和のZENを感じる作品。彼女のライフワークである黒いブロック・ペイントを、乱立した木製のOとI型の彫刻を回遊しながら鑑賞する…という動きを操作したインスタレーションで、面白いです。

Maria Taniguchi "Installation view"

MCAはサーキュラー・キーの脇というアクセス抜群の会場の1つです。オペラハウスでも2作品の展示があるので、そちらとハシゴしても良いかもしれません。また4Fにあるカフェも眺めが抜群なので、そちらもオススメですよ。

オーストラリア現代美術館

住所:140 George St, The Rocks NSW 2000

電話:02 9245 2400

Web:https://www.mca.com.au/

【3】CARRIAGEWORKS(キャリッジワークス)

シドニー・シティ南部近郊のREDFERN(レッドファーン)にあるCARRIAGEWORKS(キャリッジワークス)は、鉄道車両工場の跡地に作られたアート施設。

CARRIAGEWORKS(車両作業場)という名の通り、昔鉄道車両のメンテナンス作業場だった場所がキレイにリノベーションされ、今では文化芸術の複合施設になっています。元工場独特の無骨なインダストリアル・デザインが満載で、とてもフォトジェニックなスペースです。

展示作品は8作品と少なめではありますが、工場跡地という特性を生かしたダイナミックな展示が多く、他の美術館とは違った楽しみがあります。

展示作品ピックアップ

Marco Fusinato

CARRIAGEWORKSの目玉と言えばこちらのミュージシャンでもあるアーティスト・Marco Fusinatoの参加型インスタレーション。大きな白い壁に木製のバットがチェーンで繋がれていて、そのバットを振って思いっ切り壁を叩き、それによって反響して響く音を感じるという作品です。

穴だらけの壁は、所々が剥がれていてボロボロです。時間が経つにつれて変化して行く過程を楽しめるアートワークでもありますね。

広大なスペースにダイナミックな体験型のアート

こちらは天井が高く、広大なスペースを生かした映像作品や投影型のインスタレーションに加え、大きな絵画などが展示されています。

所々シュールすぎて筆者には理解できない作品もありましたが、自ら歩き回ったり触ったりして動くことで変化する体験型の展示は飽きることなく楽しめます。CARRIAGEWORKSは建物自体も一見の価値ありですので、是非この機会に訪れてみてください。

キャリッジワークス

住所:245 Wilson St, Eveleigh NSW 2015

電話:02-8571-9099

Web:http://carriageworks.com.au/

【4】COCKATOO ISLAND(コカトゥー島)

最後にご紹介するCOCKATOO ISLAND(コカトゥー島)は、シドニー・シティの西側にあり、CIRCULAR QUAY(サーキュラー・キー)やBARANGAROO(バランガルー)からフェリーに乗って10〜20分程度の場所にあるシドニー湾で一番大きな島です。

かつて囚人収容施設、造船場として使用されていた場所で、2010年にはAUSTRALIAN CONVICT SITES(オーストラリア囚人遺跡群)の1つとして島自体がユネスコの世界文化遺産に登録されています。工業地域独特のインダストリアルなものが島全体に残されていて、それがまた独特の雰囲気を醸し出しています。

先に紹介した同じ元工場跡地を利用しているCARRIAGEWORKSの美しくリノベーションされたアートスペースとは異なり、こちらは荒々しい無骨さが漂っています。プロモーションビデオの撮影などもできそうなロケーションは、実際に映画『WOLVERINE(ウルバリン)』のロケ地になっていたそうです。

こちらには島全体で25作品が展示されているので、まずはインフォメーション・ハブに行って無料のMAPをもらいましょう。小さい島とは言ってもとにかく規模が大きいので、歩いて回るには広すぎて、MAPがないと完全に回れません。

展示作品ピックアップ

Yukinori Yanagi

建物の奥にあるのが日本人アーティスト・柳幸典さんの「Icaloss Cell」の展示で、瀬戸内のアートな島としても有名な岡山県・犬島精錬所美術館に展示してある作品のプロトタイプだそう。コンテナを長く繋げた薄暗い迷路のような空間を歩いていくと所々に鏡が仕込んであり、視覚的に体感的にも不思議な感覚になるインスタレーションです。

(奥)Yukinori Yanagi "Icarus Cell" (手前)Abraham Cruzvillegas "The Five Enemies"

Ai Weiwei

今回ビエンナーレの一番の目玉と言われている、世界的に有名な中国人アーティスト・Ai Weiweiの巨大インスタレーション「Law of the Journey」。実際に難民が使用していた救命ボートと同じ素材で作ったゴムボートと、そのボートに乗る難民の壮絶な旅路を表現した作品です。高い位置からダイナミックなアートを見下ろすこともできるのも、この造船所という広大なロケーションならではです。

Ai Weiwei "Law of the Journey"

Ryan Gander

生まれ育った家周辺の雪景色を表現したRyan Ganderのインスタレーション。筆者はパッと見た感じ京都の龍安寺の石庭に見えたのですが、解説を見て納得。やはり日本の枯山水にインスピレーションを受けて製作されたものだそうです。

Ryan Gander "Other Places"

廃墟好き、工場好きにはたまりません!

島全体は整備されているので、軍艦島のようなリアルな廃墟ではありませんが、時代を感じる建物や当時造船に使用されていた錆び朽ちた機械にはノスタルジーを感じてしまいます。工場好き、廃墟好きにはオススメのロケーションです。島全体にアートが展示されているこの機会に、是非訪れて見てください。

また作品が展示さてている室内は比較的冷んやりしていますが、外に出ると陽を遮るものが全く無いので、日差しの照り返しがすごいです。シドニーは4月以降秋に向かって徐々に涼しくなっていきますが、訪れる際には帽子、サングラス、お水を持っていくのを忘れずに。

コカトゥー島

住所:Cockatoo Island, New South Wales

電話:02-8969-2111

Web:http://www.cockatooisland.gov....

シドニー有数の観光スポットでアート体験

ビエンナーレの会場になっている場所は、ビエンナーレ目的だけではなく、シドニーに来た際に一度は訪れていただきたい所ばかりです。特別アート好きじゃなくとも十分に楽しめて、素敵な時間が過ごせるはず。

今回ご紹介したのは4箇所ですが、他にもオペラハウス4A Centre for Contemporary Asian ArtArtspaceの3箇所でも展示があります。オペラハウス以外は全て無料で楽しめるんですよ!イベントは2018年6月11日まで開催しているので、シドニー旅行のスケジュールに「ビエンナーレ・オブ・シドニー」のアート巡りを加えてみてはいかがでしょうか。

トラベルライター

シドニー在住フォトライター&インテリアデザイナー

東京生まれ、メキシコ~イギリス経由、東京育ち、現在はオーストラリア・シドニー在住のMayumiです。 シティとビーチが隣接し、様々な国籍の人々が暮らすマルチカルチュラルな街・シドニーの雰囲気、人、空気感が忘れられず、遂には夫婦で移住を決意。

旅が好きで、訪れた国は北米やアジア、ヨーロッパなど合わせて28ヶ国。

美味しいものや素敵なお店、専門の建築・インテリアデザインのフィルターを通したフォトジェニックな風景はもちろん、自身のアレルギー体質も踏まえオーガニック先進国オーストラリアのヴィーガンやグルテンフリーの体にやさしい食べ物など、在住者だからこそお伝えできる情報をご紹介します。

http://sydneytales.com/

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