まずはEmmyさんといえば、フリーの一人旅の記事を多く書かれている印象で、プロフィールにも「一人旅の魅力を知ってから、国内外問わずフリーの一人旅に出ています。（2020年12月現在のトラベルライタープロフィールより）」とありますが、一人旅に目覚めたきっかけを教えてください。

国内は何度か一人で行ったことはあったんです。でも、まさか自分が一人で海外旅行に行けるなんて思ってもみなかったんですが、20代後半の時に、海外旅行に一人で出かけている方と身近に出会う機会があって、純粋に「かっこいいな」と思いまして。それがきっかけで、自分も挑戦してみようと思い立って、バルト三国とフィンランドの4ヶ国を8日間で周るという、初めての一人旅をしてみたんです。

今までツアー旅行に参加していたところから、一人旅に踏み出すのって勇気いりますよね。何か特別な準備はされましたか？

実は私、すっごく心配性で怖いことが嫌いな性格なので、治安などはもちろん、さまざまなことを下調べしてしっかりと準備をして臨みました。飛行機や宿はもちろん予約して、現地移動のバスやフェリーなども全部日本から手配を済ませて、さらに、一日ずつの計画もしっかり立てて、その通りに行動するという徹底具合で。それが安心感に繋がりましたし、自分のペースで過ごせる一人旅にすっかりはまりました。

シャウエン（モロッコ）
宿の人がなぜか無償で撮影ツアーをかって出てくれ、村を案内しながら専属カメラマンになってくれました(笑)。旅先での予想外の出来事も旅の醍醐味。シャウエンは歩きながら笑みがこぼれてしまうくらい、本当に可愛い村でした

旅慣れてきた現在も、そのスタイルは変わっていないんですか？

そうなんです、海外旅行は今でもそういう準備をしています。宿を決めないで行く方とかもいると思うんですが、私は行動表が必要なタイプで。行動予定などもExcelにまとめて準備しているくらいなので、放浪するような旅が好きな方にとっては、引くくらいの準備具合だと思います。航空券などは早いときは半年前に手配する時もありましたし、行動計画は少なくとも1ヶ月前にはすべて出来上がっていて、ガイドブックは読みすぎて飽きちゃっているくらい（笑）。出発1週間くらい前になって、改めて計画を読み直して復習する、という感じで徹底しています。国内の一人旅になるとそこまで頑張っていませんが、プランは考えてから行きますね。

一人旅だとそこまで準備してこその安心感はありますよね。予備知識がすべて頭に入っているからこそ、旅先でその分余裕を持って楽しんでいる雰囲気は、記事から伝わってきています。

「いろんな場所に行きたい！」という欲求が強いタイプだと思うんですが、だからこそしっかりプランを立てるのが重要なのかもしれないですね。プランがしっかり決まっていることで効率良く周れますし、次にどこに行こうかとか、どうやって移動しようかとか迷う心配もないですし、下調べしたことが記事にも生かされているなぁと感じます。

プロヴァンス（フランス）
12日間で5ヶ国周った際に訪れた南フランス。のんびりとした雰囲気が大変気に入りました。都会より田舎が性に合っていると感じます。この旅は絶景見たさに毎日3万歩以上歩き、かなりハードな旅でもありました

そんな風に一人旅を楽しんでいらっしゃる中で、トラベルライターに応募されたのはどういうきっかけだったんですか？

以前から旅用のブログは書いていたんですが、ある程度、旅行経験も積んでいく中でもっと何かに生かせないかなと思っていたときに、トラベルライターを知ったんです。中でもトリップノートは初心者でもOKというのもあって、私にもできるかなと思ってトライしました。

Emmyさんは、1つの観光スポットを紹介するという記事よりも、まとめ記事とかモデルコースが多い印象ですが、記事テーマなどはどのように決めていますか？

私は基本的に、一人旅とかフリーでの旅行を考えている人に参考にしてもらいたいという気持ちが強いこともあって、参考にしやすい「一人旅におすすめの旅行先」とか「絶景○選」のようなまとめ記事、個人旅行用のモデルコース記事が多くなってると思います。自分が読んでみたいという視点もありますし、あとはモデルプランを考えるのが好きなので、自分のプランを紹介して、それを参考にしてもらえたら嬉しいなという思いもあります。

別府（大分）
国内も大好きで、全国制覇するのが密かな夢です。昔ながらの町並みや古い建築物は好んで訪れます。古いものを見ると心の底からわくわくしますし、日本の良さを再確認できます

イギリスのコッツウォルズの記事は特に印象的で、普通ならツアーでまわってしまうようなエリアだと思うんですが、個人旅行の経験を生かした完全ガイドになっていますよね？各村間の交通情報も細かく入っていて、すごいなぁと思っていました。

そうなんです。ツアーだと数ヶ所の村にしか行けない上に、滞在時間が30分しかない村とかもあったりで、ゆっくりと素敵な場所を探して写真を撮ったりするためにも、なんとかして個人で行けないかと思ったんです。それで、いろいろと調べてみたんですが、個人旅行でまわったという情報がぜんぜんなくて…ただ、バスの路線図などを見てみると、これはバスをうまく組み合わせれば周れるんじゃないかなとプランが見えてきて。
そういう経緯もあって、記事では自分のプランをお伝えしつつ、もっと気軽に…記事では気軽には見えないかもしれないんですけれども（笑）、コッツウォルズを周遊できるんだよというのを知ってもらいたい気持ちが募って情報を盛り込んだら、結果的にすごく長い記事になっちゃいました。ただ、意外とコンスタントに記事へのアクセスはあるので、個人旅行で行きたい人はやっぱりいるんだ！と手応えは感じます。

【イギリス】コッツウォルズおすすめの可愛い村完全ガイド！8つの村の見所とアクセス方法！

編集部からのコメント

ロンドンから西の約200㎞ほどの所に位置するコッツウォルズ地方。自然豊かな丘陵地帯に小さな村々が点在していて、14世紀頃に造られたはちみつ色の家など、おとぎ話の世界のような街並みが広がります。Emmyさんのこちらの記事は、コッツウォルズで絶対に外せない定番の8つの村を紹介した完全ガイド記事。村から村への移動方法やバス停の目印、お役立ち情報などが詰まっていて、個人で旅行されたい方の強い味方となっています。

ここまで詳細なモデルコース記事を書くにあたって、旅行中に細かくメモをとったりしているんですか？

旅行中は、記事のことはあまり意識していなくて、とにかく旅を楽しむよう、精一杯、全力を旅に尽くしていますね。記事については、帰ってきてからテーマなども決めるし、「このスポットも書けそうだな」と後から思いつくことも多いです。
旅先で全力で楽しんでいる分、行ったからこそわかる情報というのも自然と入ってきますし、下調べをしているかいもあってか、書いているうちに旅先で参考になった情報を思い出すことも多いので、役立ちそうなものは記事に盛り込むよう心がけています。あとは、ブログの方に詳細に書き残していることもあるので、記事を書くにあたってブログを見直すこともあります。

準備段階の緻密さが、記事の完成度にもつながっているという印象がありますね。まとめ記事で言えば、世界の秘境・絶景を30スポット集めた記事も読み応えありました。

実は、2019年に1ヶ月で11ヶ国を周遊する旅をしまして…モロッコに少し行って、クロアチアなど中央ヨーロッパをまわってから北上して北欧に行き、最後にマルタに行くというコースだったんですが、帰ってきたあとに色々と素晴らしい景色を見ることができたので、「世界の絶景というテーマで記事を書きたいな！」と思ったのがきっかけだったんです。でもいざ書くとなったら、何十選にしようか迷ってしまって。過去の旅行写真なども見直しながら、自分の好きなスポットをあげていったら、結果的に30選になってしまいました（笑）。

トラベルライターを始めたことをきっかけに、旅行の仕方に変化はありますか？

大きな違いは、そこまでないと思います。もともとブログはやっていたので、写真は多めに撮るというのもクセになっている部分もありますし、記事を書くために目的地を選ぶということも特に考えていないです。ただ、「この旅先ではお土産を記事にしたいな」と思った際は、少し意識して可愛いお土産を探してみたり、人気観光地に行った場合は、記事で紹介することを考えながら話題のスポットやカフェに立ち寄ってみたりすることもあって、そういう部分では変化があったと思います。

尾瀬
自然が好きなので定期的に山へ行きたくなりますが、ハイキング旅は母と行くことが多いです。母もアクティブで、ハイキングだけではなく、一緒にカヌーやパラグライダーに挑戦したりしています

Emmyさんの記事では、タイトル自体も分かりやすさもありつつ、楽しさや興味をそそられる印象がありますが、タイトル決めで心がけていることはありますか？

記事タイトルに関しては苦手意識があるんです。以前はどうしても長くなってしまって見づらいなぁと思っていたので、読者がパッとみた時に「読みたいな」と思ってもらえるように、なるべく短くしようと心がけています。特に記事タイトルとタイトル写真は、読者が惹きつけられる要素だと感じているので、重要視するようになりました。
それに加えてなんですが、最近はリード文にも気を配るようにしています。タイトルをもっと上手に書きたいと悩んでいた時に、編集部からトラベルライター向けに公開しているマニュアル「タイトルとリード文の書き方のコツ」を改めて参考にしました。そこに書かれていることなのですが、リード文の最初の方に、需要があると思われるキーワードを入れるようにしたり、タイトルに入らなかったキーワードを入れるなど、以前よりも工夫しています。効果が出ているかはわかりませんが、そういった検索エンジン対策なども意識するようになりました。

マニュアルを読み込んでいただいていて、編集部としては大変嬉しいです！タイトル写真の重要性の話が出ていましたが、Emmyさんは2019年上半期のトラベルライターアワードで「フォトジェニック賞」も受賞していて、写真もとてもお上手ですよね。撮影時になにか心がけていることはありますか？

素敵だなと思った場所があると、「とにかく良い一枚を撮りたい！」と思うので、人がぞろぞろといるような観光地では、割と長時間カメラを構えて待っていることが多いです。なるべく人が映り込まないよう、一瞬の隙間を狙うような感じで、粘って粘って撮影しています。
カメラは、以前はミラーレスの一眼を使っていたのですが、いまは旅先で身軽な方が嬉しいのでコンパクトデジカメを持って行っています。一眼レフカメラなどは使用することはないですが、その分アングルが大事だなと感じているので、撮影時に意識しています。

グランドキャニオン
アメリカは、ミルウォーキーの友人宅へのホームステイを挟みながらロス、ラスベガス、グランドキャニオン、NYへの旅をしました。アメリカで見た壮大な絶景の数々や経験は一生忘れません

Emmyさんの記事はアクセスランキングでも、上位に入っていることが多いですが、個人的に記事を書く上でのアクセスアップのコツみたいなものはありますか？

以前ですと、旅人の仲間意識もあってとにかく役に立つ情報を記事化したいという思いが強かったので、書きたいものを書いて、それが結果的にアクセスに繋がっていた場合が多かったんです。ただここ最近は、せっかく時間をかけて書く記事なので、なるべく多くの方に見てもらいたいという意識もあり、記事を書く際にどのくらい需要があるか？というのも考えるようになりました。
例えば、あるスポットがすごく素敵でその記事を書きたいと思った時、そのスポットだけを紹介した記事を書いても、その場所がかなりの人気スポットでないかぎりは、ピンポイントで検索して記事を見てもらえる機会は少ないと思うんです。ですから、「おすすめ観光スポット」「モデルプラン」などまとめ記事にして、そこに入れるようにしています。旅行に行くとなったら、観光スポットやモデルプランを検索する方が多いと思うので、その際に目にとめてもらいやすいかなと考えています。

ご自身が足を運んだからこそ素敵さが分かる穴場のスポットも、なるべく目にしてもらえるよう工夫されているんですね。

そうなんです。マイナーな国の絶景やおすすめスポットについても同じ理由で、「世界の絶景・秘境」や「おすすめ旅行先」といったタイトルの記事でまとめた方が、知ってもらいやすいかなと思いました。先ほどもまとめ記事が多い理由についてはお話ししましたが、このような考えも関係していると思います。
情報量が多かったりスポット数が多い記事を書くのは大変ですが、すぐにアクセスが伸びなくても、記事の内容が充実していると後からじわじわと増えてくることが多い印象です。アクセス数が伸びると、たくさんの人に参考にしてもらえているんだ、と嬉しいですし、書いてよかったなと感じます。アクセス数が全てではないですが、やはり評価してもらえると自信になりますし、次の記事への原動力に繋がりますね。

それでは最後に、トラベルライターのやりがいについてお聞かせいただけますか？

その土地の良さや旅先のスポットの魅力を、自分の言葉や自分が撮った写真で伝えられるということは、そうそう出来ないことだと思っているので、素直に嬉しいです。あと、ボリュームが大きいまとめ記事などは執筆が大変な部分もあるんですが、自分自身の旅の集大成にもなるので、後から自分で読み返しても楽しいんですよね。そこはトラベルライターの特権だなと思っています。

Emmyさんが自らチョイス！マイベスト記事

海外記事

最もポルトガルらしい村モンサント ～巨石と共存する不思議な村に出会う～

2018年6月公開

お気に入りの理由は？

ネットで偶然画像をみて、このモンサントを知ったのですが、「屋根の上に岩がある！」と衝撃を受けたんです。秘境なのでまさか行けるとは思っていなかったんですが、ポルトガルへ旅行にいくことを決めた時に、もしかしてモンサントにも行けるんじゃないかと気がついて。情報も少ない中、いろいろと調べてなんとか辿り着けたという感動が大きかったですね。不思議がいっぱい詰まっている魅力的な村で、宿から見た村の景色と夕日の美しさが忘れられない、思い出深い旅先です。

編集部からのコメント

「ポルトガルで最もポルトガルらしい村」にも選ばれているモンサント。地中のマグマがかたまって、それが巨石となって地表に現れているそうで、遠近感がおかしくなるような巨大な石が、家にのしかかっているようにも見える風景の数々は、Emmyさんの写真を見ているだけでも興味がそそられます。ガイドブックには詳しくは紹介されていないということなので、その様子をぜひ記事でチェックしてみては？

海外記事

魅惑のモロッコ旅行完全ガイド！人気8都市のおすすめ過ごし方やアクセス・周遊のコツ

2019年8月公開

お気に入りの理由は？

モロッコは、「遠くて未知の国」というイメージが強いと思うんですが、「こんな心配性な自分でも一人旅で行けたよ！」と伝えたいということと、読者に「これなら自分も行けるかも」と思って行ってみてもらいたい、という気持ちを込めて書いた記事です。改めて読み返してみると、なかなか過酷な部分もあるんですが（笑）、そういう注意点なども含めて記事に盛り込んであるので、ぜひ参考にして足を運んでみてもらいたいですね。

編集部からのコメント

モロッコに行く前は、「不安で押しつぶされそうだった」というEmmyさんですが、行ってみたら意外と大丈夫だったという経験から、不安に思っている方にも後押しとなるような、モロッコの魅力が伝わる記事に仕上がっています。実は、Emmyさんのお母さまも一人旅がお好きで、Emmyさんより先にモロッコを周遊した経験があるそうで、「行った方が良い」と勧められたことも訪問のきっかけになったとか。Emmyさんの記事で、魅惑のモロッコに触れてみてください。

編集部が独断で選ぶEmmyさんのオススメ記事

海外記事

チンクエテッレ・ポルトヴェーネレ観光完全ガイド！イタリアのカラフルな世界遺産♫

2019年8月公開

編集部からのコメント

Emmyさんの記事は、あまり耳にしない穴場の観光地にも出会えるのが魅力。チンクエテッレは、イタリア北西部のリグーリア海岸にある5つの集落で世界遺産とのことですが、日本では情報を目にすることは少ないのではないでしょうか。写真を見るだけで可愛らしさに目が奪われますし、記事を読んでいるうちに「もしかしたら私にも足を運べるかも！？」と思えてくるのが、Emmyさんの記事マジック。完全ガイドを参考に、制覇してみませんか？

国内記事

国内おすすめ旅行先！日本の秘境・絶景スポット18選！

2019年6月公開

編集部からのコメント

写真を眺めているだけでも楽しいのが、こちらの日本の絶景記事。有名観光地や穴場も含めて、「日本にもこんな場所があるんだ！」という絶景に出会うことができます。Emmyさんは、旅先では「天気に恵まれることが多い」とのことですが、天気も味方してくれているのでは、と思うほど、すべての写真がフォトジェニック！さらに、すべての写真がご自身の撮影というところにもこだわりを感じます。思いが詰まった写真を見ながら、次の旅先探しをするのも楽しいですよ。