東京都の中でものんびりとした空気が漂う小金井市。その都立小金井公園内に、まるで古き時代へタイムスリップしたような、懐かしい街並みや生活が感じられる場所があります。ここは江戸東京たてもの園といって、映画『千と千尋の神隠し』のモデルとなった場所として知られています。園内はとても広く数々の展示物がありますが、中でも映画のシーンが思い浮かぶ建物の様子をご紹介します。
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江戸東京たてもの園とは
江戸東京たてもの園は、東京都歴史文化財団グループが運営を行う野外博物館で、歴史的建造物を残すために作られたそうです。
江戸時代から昭和初期にかけての趣のある建物が立ち並ぶだけでなく、ジブリ映画『千と千尋の神隠し』のモデルとなったことでも知られているため、大人から子供まで、古く温かな感触が味わえるスポットとなっています。
園内には食事やお茶ができる場所もあるので、時間をかけてゆっくりと過ごすことができるでしょう。家族連れに友達同士、それからデートに活用しても面白いのではないでしょうか。
ここは千と千尋の世界!下町の居酒屋「鍵屋」
こちらは鍵屋という居酒屋です。安政3年(1856年)に建てられ、台東区下谷の言問通りで実際に営業していたお店だそうです。
『千と千尋の神隠し』ではストーリーの前半部分、千尋の両親が廃墟となったテーマパークで料理を食べることに夢中になり、豚になってしまうシーンで使われたと言われています。
映画では謎めいた雰囲気に仕上げられていますが、実物はとても親しみのある建物です。
醤油樽で作られたイスがなんとも言えないアジを出していますね。レトロでありながらおしゃれな感じさえしてきます。
カウンターの中には木で作られたメニュー札に熱燗までもが用意され、まるでかっぽう着を着た女将さんが、奥から笑顔で出てきそうな、そんなイメージが湧いてきます。
ジブリ映画そのままの昔ながらの銭湯「子宝湯」
こちらはレトロな銭湯の子宝湯です。昭和4年に作られた足立区千住元町のお風呂屋さんを移築したもので、内部の壁にはどーんと富士山の絵が描かれています。
子宝湯は『千と千尋の神隠し』のメインの舞台「油屋」のモデルになったそうで、昔懐かしい銭湯の様子がそのまま残されています。
お風呂屋さんというのは人々が集まる憩いの場であり、また情報交換、交流の場ともいえるかもしれませんね。
スパのような新しいスタイルとなった現代でも、各店に必ず主のようなおばちゃんがいて、常連同士そこを中心に会話が弾む姿がよく見られます。
そして小さな子供を連れたお母さんや友達同士の裸の付き合いなど、外観は変わっていても、人々がお風呂に集まる様子というのは、時代を超えてあり続けています。
その元祖ともいえる昭和のスタイルの銭湯は、冷んやりとしたタイル張りの中に、どこか安らげる感触があります。子宝湯はここに集まっていた人々の話し声や、様々なエピソードまでもが蘇る、昔ながらの温かみのあるお風呂屋さんの雰囲気が楽しめます。
釜じいの仕事場も!「武居三省堂」
さらに武居三省堂という建物の内部には、たくさんの小さな引き出しがあり、『千と千尋の神隠し』で釜じいの仕事場のモデルとなったという説があります。
なので子宝湯と合わせて見学してみると、よりイメージが膨らむかもしれませんね。ジブリファンはもちろんのこと、大人から子供まできっと幅広く楽しめることでしょう。
千尋とカオナシが乗った電車
1962年(昭和37)に20両製造された路面電車。渋谷駅前から新橋や神田方面を実際に走っていたものです。
こちらは千尋が銭婆に会うために、カオナシと乗車した電車のモデルとなったそうです。誰もが知っている名シーンがここから生まれたということです。
電車の内部に入ることができるので、シートに腰かけながら、純粋でひたむきな千尋の気持ちを味わってみてはいかがでしょうか。
現代に比べてかなり車両の作りが狭くなっておりますが、ここで人々は電車に揺られながら、何を考えどんな日々を過ごしていたのでしょうね。
古く趣のある建物もステキですが、このような乗り物もなかなかいい雰囲気を出しています。園内の人気スポットとなっているので、是非訪れてみてください。