マルタ島のルア国際空港に到着し、市内へ向けて走るバスの中から目にする光景は、建物が砂に埋もれてしまった砂漠をイメージするものでした。実際は、埋もれているわけではなく、教会や住居などの建築物が見事にすべて砂色(蜂蜜色)だったのです。世界でカラフルな壁や屋根の街が取り沙汰されるなか、地味な蜂蜜色の街はかえって新鮮に映ります。今回は、蜂蜜色で質素ながら、よく見ると壁装飾の美しいマルタ島の街を紹介します。
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地中海に浮かぶ小さな島国マルタ
古くから海の交易路の要衝とされ、多くの民族の覇権争いに翻弄されてきたマルタ島は、数多の侵略の歴史があります。
しかし、屈強を誇ったオスマントルコ帝国の5万人の軍政に来襲された16世紀に、わずか7千人の兵で迎え討ち、包囲戦を耐え抜いて伝説となりました。勝利へと導いたのは、かの有名なマルタ騎士団。
圧倒的な戦力の違いでの勝利は、ヨーロッパの歴史でも非常に重要な史実とされており、その勇敢さはマルタ島の人々に脈々と受け継がれています。街を守った堅牢な要塞、聖エルモ砦や聖アンジェロ砦をはじめ、無数の建築物は、今もその当時のままの姿を遺しており、観光客の絶えない活気のある島となっています。
マルタ島は蜂蜜色
マルタ島は、まるで砂漠の蜃気楼のようです。多くの建築物は砂漠の砂の色(蜂蜜色)をしており、砂上の楼閣かと思うほど。
古くからの建物をメンテナンスしながら使用しており、近代的なビルはあまりありません。
そして、新旧で濃淡はありますが、どの建物の壁もみな蜂蜜色をしています。
この壁の色の正体は、マルタ島で産出される「マルタストーン」と呼ばれる石灰岩。
マルタ島の建築物は古くから、このマルタストーンを使用してきました。これはマルタストーンを粉砕し、粉末にしたものです。石のままでなく、壁を塗るためにも使われているそうです。
とても質素ですが、立ち止まって見上げると壁の装飾は趣向を凝らされており、シンプルな気品や気高さを感じます。
こちらの方々も、蜂蜜色!?
とりわけ多い教会
マルタ島には、非常に多くの教会があります。
外部のシンプルさとは違い、内装はどの教会も非常に豪華。大きなギャップがあります。
数多くの民族に支配されてきた歴史が、この教会の多さに現れているのかもしれません。非常に目立つ大きな教会をはじめ、一見すると住宅かと思われるような、古く小さな教会まで無数に点在しています。一つ一つに歴史があり、これもマルタ島の一つの魅力になっています。
さてここからは、マルタ島を訪れるならぜひまわりたい、2つの街をご紹介します。
要塞都市ヴァレッタの旧市街(世界遺産)
マルタ騎士団が作り上げた難攻不落の街ヴァレッタは、小さな半島の上を堅固な城壁で囲み築かれました。当時の景観をそのままとどめる街は世界遺産に指定され、多くの観光客で溢れ返っています。
ヴァレッタ旧市街の主な見どころをご紹介します。
賑やかなリパブリック通りと、昔の趣を遺す裏通り
ヴァレッタ旧市街のリパブリック通りは、ヴァレッタの街のメインストリートです。建物は当時のままですが、カフェやレストランが連なり、多くの人で賑わっています。
裏通りに入ると、アップダウンの激しい急な坂道になります。メインストリートと違い、閑静な住宅地で、こちらも当時のままの姿を遺しています。
赤、青、黄、緑 カラフルな出窓
立ち並ぶ家々の出窓は色とりどりに彩られ、とてもカラフルです。
蜂蜜色の質素な壁にとても映えますね!
ドアもこのとおり
古さにも味わいがあります。