奈良県五條市には、かつて城下町として栄えた「五條新町」という地区があります。江戸時代から昭和に建てられた町家が立ち並び、風情ある落ち着いた雰囲気が魅力です。町家を改装したお店や展示施設もあるので、散策も楽しめます。
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奈良県五條市 五條新町とは
五條新町(ごじょうしんまち)は、奈良県南部の五條市にある、歴史的建造物が立ち並ぶ地区です。戦国時代から江戸時代前期の武将「松倉重政」が、慶長13年(1608年)に、二見城(ふたみじょう)に入り、五條藩の城下町として開いたのが始まりとされています。
こちらには、現在でも江戸時代から昭和の頃に建てられた町家が、良い状態で残り、落ち着いた町並みを作り出しています。これは、地区住民と行政によって町並み保存に取り組んだためで、2010年12月には、一帯が国の重要伝統的建造物群保存地区にも選定されました。近年は、町家を改装したレストラン、カフェもオープンし、散策を楽しむ観光客の姿も見られます。
- 五條新町
- 奈良 / 町・ストリート / 女子旅 / 重要伝統的建造物群保存地区
- 住所:奈良県五條市本町地図で見る
- Web:http://yamatoji.nara-kankou.or.jp/03history/02old_...
五條新町を散策しよう
五條新町のメインストリート「新町通り」沿いには、江戸時代に建てられた町家が立ち並んでいます。途中に設けられた公園で休憩しながら、散策を楽しんでみましょう。
栗山家住宅
栗山家住宅は、五條新町の東の端にある家屋で、江戸時代の慶長12年(1607年)に建てられたとされています。建築年代が判っている民家では、日本最古といわれ、国の重要文化財にも指定されています。
外観は、寺院を思わせる瓦ぶきの大きな屋根が特徴で、重厚な雰囲気を漂わせています。内部は非公開ですが、広い土間には、牛梁と呼ばれる太い梁が通っているのが特徴だそうです。
栗山邸
栗山邸は、栗山家住宅の南側に建つ家屋です。棟札には、元禄9(1696年)と記されており、こちらもかなり古い建物であることが分かります。
二階建てや、つし二階の町家が多い五條新町ですが、こちらは珍しく単層に見せた構造となっています。新町通の細い通りから見ると、こじんまりとした建物に見えますが、実は広い敷地に建っており、東側の国道168号線から見るとその大きさが良く分かります。
餅商一ツ橋
餅商一ツ橋は、五條新町にかつてあった餅店です。大正時代に創業し、長く営業してきましたが、残念ながら2018年に閉店しました。観光客にも人気のあったお店は、現在でも五條新町の代表的な景観として親しまれています。
まちや館
まちや館は、かつて住居として使われていた町家を改装し、一般に開放している施設です。江戸時代末期の建築とされる建物は、本瓦葺の切妻造りとなっており、重厚で趣のある外観が特徴です。
土間のかまど、井戸、箱階段などが復元された建物内部は、無料で見学することもできます。また、こちらは、吉田内閣で法務大臣などを務めた木村篤太郎氏の生家でもあり、同氏ゆかりの資料も展示されています。
- まちや館
- 奈良 / 建造物 / 歴史的建造物
- 住所:奈良県五條市本町2丁目6−6地図で見る
- 電話:0747-23-2203
- Web:http://www1.gojo.ne.jp/~yamato/machiya/
まちなみ伝承館
まちなみ伝承館は、展示室や駐車場、トイレなどを備えた、五條新町の観光拠点施設です。明治から大正期に建てられた民家を改修整備した館内では、街の歴史や文化を、資料、模型などを使って分かりやすく解説しています。
展示室の土間から上がると、古い民家の特徴を残す和室があります。一番奥の縁側からは、中庭が眺められます。なんとも風情があり、落ち着いた気持ちで鑑賞できるでしょう。
まちなみ伝承館の駐車場は、新町の中心部にあるので、車でお越しの方は、こちらに停めて散策すると便利です。なお、新町通りは、東から西への一方通行となっています。道幅も狭いので、気を付けて通行してください。
- まちなみ伝承館
- 奈良 / 博物館
- 住所:奈良県五條市本町2丁目7−1地図で見る
- 電話:0747-26-1330
- Web:https://www.city.gojo.lg.jp/soshiki/bunka/1_2/inde...
書状集箱
五條新町を歩いていると、変わった形のポストが設置されているのが見られます。これは、明治4年の郵便創業当時と同じ型のもので、書状集箱(しょじょうあつめばこ)と呼ばれているものです。五條新町の歴史的な町並みに沿うよう設置されており、今も他のポストと同じように使われています。
新町松倉公園
新町松倉公園は、通りにある整備された小さな公園です。入り口には、五條新町を開いた松倉重政を顕彰する石碑が建っています。ベンチもいくつか設置されているので、散策途中に休憩することができます。
吉野川の方には、二つの長方形の穴が開いた壁があります。この壁から、河原の土手やその奥に広がる吉野の山々を眺めると、まるで一枚の絵画のようで、美しいものです。
公園の向かいには、重厚で存在感のある建物が建っています。建物の端に、防火壁のうだつが設置されているのが特徴で、かつては銀行として使われていたこともあるそうです。現在は、住居として使われているので、内部は非公開となっています。
五新鉄道跡
五新鉄道跡(ごしんてつどうあと)は、五條市と和歌山県南部の新宮市(しんぐうし)を結ぶ計画であった鉄道路線「五新線」の施設跡です。五新線は、明治時代に計画され、昭和12年に着工しましたが、太平洋戦争などの影響で工事は中断します。その後工事が再開されましたが、社会情勢の変化などにより中止となり、線路が敷かれることはありませんでした。
五條新町のやや西寄りには、五新線の高架橋が今でも残っています。美しいアーチ状のコンクリート橋は、長い時が経過し、五條新町の景観に溶け込んでいるようにも感じられます。ここから吉野川を渡り、紀伊山地を抜け、太平洋を望む新宮へと結ぶ予定であった鉄道の遺構を、じっくりと鑑賞してみてください。
吉野川河川敷公園
通りから小道を南に入ると、吉野川河川敷公園に出ます。奈良県南東部の大台ケ原を水源とする吉野川(正式名称は紀の川)の河川敷に設けられた公園で、五條の街や周辺の山々が見渡せる開放的な景色が魅力です。ベンチや東屋もあるので、お弁当を食べたり、散策途中に休憩するのに適しています。