ニカラグアは、東にカリブ海、西は太平洋に面した中米で一番大きな国です。政情不安が続き、中南米最貧国の一つともいわれていますが、自然が多く、人々は親切で優雅に見えます。今回は、ニカラグアの古都グラナダをご紹介します。
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中米ニカラグアの場所
ニカラグアは中米の中央に位置し、中米諸国で最も広い面積を有する国です。
首都はマナグアという都市で、西部の大都市レオンと、東部の大都市グラナダの中間地点に位置します。19世紀の中頃、小さい農村の一つでしかなかったマナグアを首都としたことには、深いわけがありました。
ニカラグアの数奇な歴史
スペイン支配からの独立と現在までの歴史
ニカラグアの歴史は、レオン(自由派)とグラナダ(保守派)の対立の歴史といっても過言ではありません。
西部のレオンは内陸の街で、中米各国間の陸路の要衝となり繁栄した都市です。一方、グラナダは中米最大のニカラグア湖に面し、ヨーロッパからカリブ海を経て太平洋へ抜ける過程の商業地として栄え、パナマに鉄道もパナマ運河もない時代の貴重なルートでした。
1821年にスペインから独立したニカラグアでは、かねてから続くレオン、グラナダ両都市の覇権争いが激化します。一向に収まる気配のない覇権争いの中、両都市の中間に位置するマナグアに1838年首都を置くも、1854年にはレオンとグラナダの権力闘争で内戦が勃発。最終的には、グラナダがレオンを制し、政府を立て直しました。しかし、大統領の座を狙うレオンは、米国へ傭兵を要請しグラナダを奇襲攻撃。米国の傭兵率いる指揮官(ウィリアム・ウオーカー)はグラナダの占領に成功しました。
しかし、レオンが覇権を手に入れたと思いきや、米国傭兵軍団はなんとレオンも攻撃制圧し、アメリカ人の指揮官であったウオーカー自らが、ニカラグアの大統領に就任したのです。この騒乱は、エド・ハリス主演で『WALKER』という映画にもなりました。
およそ一年という短い任期で、ウオーカーは1860年に処刑されましたが、その後も変わらずニカラグアは紛争、内戦を繰り返しました。2018年も反政府デモが一部暴徒化し、混乱した様子がニュースに流れました。なかなか落ち着かない国ですね。
ニカラグアの大きく長い夢「ニカラグア運河」
時をもっと遡り15世紀、ヨーロッパやアメリカ東海岸から西海岸、そして日本やその他のアジア地域への貨物輸送を軽減するため、中米地峡に運河を建設する構想が欧米で上がりました。最終的に、ヨーロッパは運河建設の場所をパナマに決定しましたが、アメリカではパナマよりも自国に800Km近いニカラグアを、運河建設の候補地として検討していました。
しかし、パナマ地峡の長さ80Kmに対し、ニカラグアで運河を建設するとなると航行距離は250Kmとなることから、実現の可能性は問題視され、なかなか議論は進みませんでした。その後、8年近く工事を続けたフランスがパナマ運河を放棄したことは、こちらの記事でお伝えしたとおりで、それを引き継ぐかたちでアメリカはパナマ運河を完成させたため、ニカラグア運河の構想は消えました。
あれから長い時を経て2012年7月。香港の企業がこの運河開発に手を挙げました。ニカラグア湖を利用した総工費およそ500億US$(およそ5兆5千億円)の大プロジェクトは、中国主導の投資銀行から資金援助を受けるとの観測もあり、現実味を増していました。
しかし、それを知ったニカラグアの環境保護団体は、淡水湖であるニカラグア湖に海水が流入することによる環境破壊を懸念し、1万ページを超える調査結果を報告。ニカラグアの運河建設を強力に批判しています。
結局のところ、ニカラグア運河は着工されましたが、2018年2月に建設中止になったとされています。運河建設は難しいのですね。
前置きが長くなりましたが、今回は、ニカラグア湖に面した保守派の街、グラナダをご紹介します。
古都グラナダ
グラナダは、ニカラグアの首都マナグアからバスで一時間弱のところにある古都です。中米最大の湖でもあるニカラグア湖のほとりに位置し、中世の街並みを残す静かな街です。
ニカラグア湖から継続的に吹く風が心地よく、街から少し外れるとコロニアル風の建築物が立ち並び、中心地はカフェが立ち並ぶなど、とても中米にいるとは思えません。
グラナダ中央公園
グラナダの街の中心部にある公園です。周りには観光案内所や高級ホテル「アルハンブラ」、マナグアへ行くバスの停留所などあり、地元の人々を始め、観光客も自然と集う公園です。保守派のグラナダ住民は、伝統を重んじる人が多く、まったりした雰囲気です。
中央公園の横には、少し広めの通りがあり、博物館や独立記念の碑があります。
カテドラル(マナグア大聖堂)
中央公園の北に建つ教会です。グラナダの街は、こちらのカテドラルより高い建物がありませんので、よく目立ちます。
16世紀に建てられましたが17世紀に破壊され、資金難のためしばらくそのまま。そして、1915年にやっと再建されました。色使いも珍しく、赤いドームに黄色の壁、白い窓枠が美しいです。
- カテドラル(マナグア大聖堂)
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