栃木県宇都宮市は古くから大谷石の産地として知られ、市内には大谷石でできた建物もあちこちに。知る人ぞ知る名産品だった大谷石ですが、2013年にリニューアルした採掘場跡を中心としたエリアが、近年必見の名スポットになっています。新旧さまざままな5つの見どころをご紹介!
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宇都宮市と大谷石
宇都宮市北西部、市街地から車で30分ほどのところにある大谷地域は、独特の岩山が連なる風景が特徴。ここ一帯の大谷石文化は日本遺産にも指定されています。大谷石は凝灰岩で、柔らかく加工がしやすく、けれど存在感があるのが特徴です。JR宇都宮駅にある餃子像や、東武宇都宮駅近くにある松が峰教会、ほか市内のカフェや蔵など、大谷石はいろいろなところに使われています。
そして近年宇都宮を訪れる人に人気なのが通称大谷石採掘場跡。地下の採掘場跡を見学できるようになっていて、連休でない普通の週末も大賑わい!「大谷石」という素材自体は全国区の知名度ではないにも関わらず、特徴的なこのスポットによって大谷地域に他県からたくさんの人が訪れるようになっています。
訪問者数がぐっと増えたことにより、新しくおしゃれなカフェやショップができたりもして、今や見どころ満載のエリアなんです。それでは早速、大谷石採掘場跡とその周辺のおすすめスポットをご紹介していきましょう。
【1】まずは大谷資料館、地下へGO
地下にある広大な大谷石採掘場跡で、このエリアの見どころのメインとなる場所です。大谷石の採掘は多くが地下で行われ、「地下迷宮」とも称される巨大な空間が広がっています。最盛期には年間89万トンも産出しており、昭和30年代に機械が導入されるまでは手作業で採掘されていたというのだから驚きです。
地上の入口から下っていくと、まず広がるのがこの風景!夏でもひんやりしていて、神秘的な雰囲気を感じることができます。
内部は順路がつくられていて、主だった小空間を見て回ることができます。このように迷路のようにいくつもの通路に分かれているのは、天井を支えるために岩を部分的に柱状に残していったからなのだそうです。壁には採掘の跡がしっかり残っていて、手掘りと機械掘りの違いがわかるようになっています。これだけきれいに当時のまま残っているのは全国でも珍しく、とてもリアルな「資料館」といえます。
順路以外に通常は入れない部分もかなりあって全容がわからないくらい広く、また地形も場所によってさまざまなので、空間全体どこをとっても見応えがあります。
2013年にリニューアルオープンした後、2014年頃から映画や音楽映像のロケ地として使われることが増え、それによりメディアでの露出を獲得し、より注目が集まるようになりました。上の写真は映画『るろうに剣心 京都大火編』の冒頭で使われた場所。映画では火の海でしたが、実際は奥から日が差しこみ、不思議な空間になっています。
見学料は大人800円。混雑していることもありますが、なにせ広いので、順路に沿いつつ見たいところをじっくり見て回ることができます。大谷石の歴史を体感しましょう!
- 大谷資料館
- 宇都宮市 / 博物館 / 観光名所 / インスタ映え / ツーリング / 歴史博物館
- 住所:栃木県宇都宮市大谷町909地図で見る
- 電話:028-652-1232
- Web:http://www.oya909.co.jp/
【2】ローカルづくしなROCKSIDE MARKET
大谷資料館に隣接する、カフェとショップが合体した施設です。2016年にリニューアルオープンしました。ショップでは大谷石のインテリア雑貨や、同じく栃木県の焼き物として有名な益子焼のうつわなどが販売されています。
地元のクリエイターの作品を集めたコーナーもあり、クオリティが高くてとてもおすすめです。大谷石でできたアクセサリー、栃木レザーの皮小物、間々田エリアの伝統工芸の組紐など、地元民でもあまり知らないようなコアなローカルグッズに出会えます。
隣のカフェでは、ランチにもカフェタイムにも楽しめる栃木メニューが充実しています。写真はドライカレーのガレット。益子市の蕎麦粉を使ったガレットが、クレープのように手持ちスタイルになっていてオリジナリティたっぷり!コーヒーやジェラート、とちおとめのスイーツなどもあります。
夏には日光の雪解け水を使ったふわふわのかき氷を大谷石のテーブルで食べることができるなど、いつ来ても楽しい場所です。資料館の隣なので必ず通る場所ではありますが、ここで一息つくプランもおすすめです。
- ロックサイドマーケット
- 宇都宮市 / おみやげ屋 / カフェ・喫茶店
- 住所:栃木県宇都宮市大谷町909地図で見る
- Web:https://oya-rsm.co.jp
【3】野外の採掘跡も!平和観音
かつては屋外採掘場だった大谷石の岩壁に彫られた、高さ27mの仏像です。大谷資料館から車ですぐ、歩いても移動できる場所にあります。太平洋戦争の戦没者供養と世界平和を願ってつくられたもので、柔和な顔をしているのが特徴です。階段で上にのぼって、近くで眺めることもできます。
周辺の岸壁は、大谷資料館同様に昔の採掘の痕跡が残っていたり、横穴の出入口が埋められたのが今見てもわかるような場所があったり、資料館とはまた違った見どころがあります。大谷資料館から平和観音までの間にも大谷石の岸壁が風景として残っているので、歩いて行き来するのも楽しいですよ。
【4】岸壁に立つ仏像、大谷寺(大谷観音)
日本最古の磨崖仏である大谷観音を祀っているお寺。磨崖仏とは岸壁を彫ってつくられた仏像のことで、アフガニスタンのバーミヤンや、中国の古刹に多く見られます。
お寺は外観からインパクト大!岸壁が窪んだところに観音堂がすっぽり収まるように建てられています。内部は撮影禁止なのですが、この建物に入ると中にある高さ4mの千手観音を見ることができます。日本にはあまりないロケーションで、とても神秘的な雰囲気の観音様です。
庭園には弁天堂があったり、白蛇の意匠などが施されていてなんだかコミカル。奥にある山へそのままハイキングコースとしてつながっています。他に宝物館もあり、小規模ながら魅力的でとても楽しめる寺院です。平和観音とほぼ隣接した場所にあるので、通り過ぎずにぜひ立ち寄って見てください。
【5】THE STANDARD BAKERS
平和観音と大谷寺のすぐ近くにあるベーカリーで、イートインのカフェレストランとパン屋さんが合体しています。大谷資料館や平和観音目当てに訪れる人はもちろん、地元の人も日常的にパンを買いに来たりしているお店です。
2019年にまちなみ景観賞を受賞しており、大谷の岩肌の景観を生かしたデザインがポイントです。平和観音へ向かう道がこの場所独特の景色で、そんなところも含めて楽しめるカフェです。
- ザ スタンダード ベイカーズ
- 宇都宮市 / パン・サンドイッチ / カフェ・喫茶店 / モーニング・朝ごはん / パン屋
- 住所:栃木県宇都宮市大谷町1159地図で見る
- Web:https://the-sbk.jp/oya/
まとめ
宇都宮だけでなく栃木全体でもありますが、昔からある場所をリニューアルして注目度がアップしているスポットがたくさんあります。大谷資料館を中心とした関連スポットはその代表格。餃子とセットで宇都宮の文化をエンジョイしてみてはいかがでしょうか。