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【埼玉・秩父】長瀞ラインくだりで地球が創った渓谷美を楽しもう

取材・写真・文:

神奈川在住
訪問エリア:47都道府県

2021年5月11日更新

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亀の子岩

次に現れるのは「亀の子岩」。そう、亀の形に見えるから「亀の子岩」です。ぼんやりしてると気づかず通り過ぎそうですが、ちゃあんと船頭さんが案内してくれますよ。

  • 写真:えいぶゆう/TossyPhoto亀の子岩

小滝の瀬

長瀞のラインくだりでよくTVに紹介されるのが、ここ「小滝の瀬」です。その名の通り、ここは小さな滝があり、こうしたラインくだりでちょっとしたスプラッシュ感を楽しむのにちょうどいいんです。地味すぎず、急すぎず、観光向けには本当にちょうどいんですね。

船には両サイドにビニールが取り付けられています。船頭さんの合図で、みんなでビニールを上にひっぱり上げます。小滝の瀬で、乗客に水がかかってくるようなところでは、このビニールで濡れないようにするんですね。自分たちでやるところが、さらにアトラクション感を盛り上げてくれて面白いです。

  • 写真:えいぶゆう/TossyPhoto小滝の瀬

ちなみに100%濡れないことを保障するものではありません。水量や座席の位置によっては結構水がかかってしまうことも。筆者が訪れた時は、進行方向前方の乗客2名が、荷物、半身ずぶぬれでした・・・。

この滝、長い長瀞の中で出てくるのは、ほんの一瞬だけです。長い川の中にどうしてちょっとだけ滝ができたのかというと、もともと進行方向に対してもっと右側に川がありました。そこががけ崩れにより埋まってしまい、今の場所に水が流れてきたのです。本来と違う方向に曲げられた川のエネルギーが、川の底を少しづづ削って、小さな滝を作り上げたのです。

秩父赤壁

今度は、両サイドに見上げるほどの断崖が現れます。川に沿った荒涼とした風景。高さ100m、幅500mで通称「秩父赤壁」と呼ばれています。「赤壁」と言えば中国揚子江の「赤壁」が有名ですね。「レッドクリフ」の呼び方で映画のタイトルにもなったので、そちらのほうがピンとくる人も多いかも。あの中国の赤壁に似ているということで名付けられました。

  • 写真:えいぶゆう/TossyPhoto船は秩父赤壁へ

残念ながらはっきり赤色をしているわけではないのですが、特に似ているのはこの形状。ここまでスパっと滑らかに断崖絶壁になっているところは、とっても珍しいんです。

  • 写真:えいぶゆう/TossyPhoto見事な断崖絶壁

長い年月をかけて地面から隆起した岩が、その際に生じた亀裂や割れ目にそって川に浸食され、このようなまっすぐな地形となりました。もともと切れ込みのあったところに力が加わって、こんなに綺麗に削がれたんですね。

部分部分赤いのは、岩の中に含まれる鉄分が表面にでてきて、酸化により赤くなったものです。

岩畳

いよいよラインくだりの終着、岩畳です。平らなトップで観光客が川とラインくだりの船を見下ろすことができる好スポット。そのため、船側、岩畳側から人々が写真を撮りあう状態に。こうやって観光客が岩の上になんなく乗っている・・・これも長瀞ならではの風景なんです。

  • 写真:えいぶゆう/TossyPhoto石畳へ差し掛かる

ところで岩って結構ゴツゴツした立体的な形状をしていますよね。でも長瀞の岩畳は「畳」とつくだけあって、平らで滑らかなんです。ここの岩は薄い層が何枚にも積み重なった、身近なものであればケーキのミルフィーユみたいな岩なんです。つまり一枚、一枚、ぺらりとめくれる状態であるということ。

  • 写真:えいぶゆう/TossyPhotoミルフィーユ状の岩

荒川が長瀞のこうした岩を浸食することで、平らな「岩畳」ができあがったのです。岩畳は幅80m、長さ500mの自然岩石です。

ジュラ紀に海の底にたまった火山の噴火物や、砂などが白亜紀にプレートによって地下20~30kmまで運ばれ、このような形状になったのだと言われています。地下20~30kmでできたものが、さらに今私たちのいるところまで隆起しており、地球の奥で行われた活動を目の前で観察することができるので「地球の窓」とも呼ばれています。とっても壮大ですよね。

  • 写真:えいぶゆう/TossyPhotoはるか昔にできた地層

このように地質的に豊かな地なので、長瀞一帯が地質学の研究拠点となり、多くの地質学者を輩出しました。そのためここ長瀞が「日本地質学発祥の地」と呼ばれるようになったんです。

岩畳
埼玉 / 自然・景勝地 / 観光名所 / 紅葉 / ハイキング / ツーリング
住所:埼玉県秩父郡長瀞町長瀞地図で見る
電話:0494-66-0307

ポットホール

船を降りて岩畳を歩いていくと、「ポットホール」をみかけます。急な水流により、削りとられた地形でしばしばみかける「ポットホール」。川の急流が、たまたま強くあたるところで渦をまき、底にあった小石などにより、岩がすり鉢のように丸く削られてできるホールです。

  • 写真:えいぶゆう/TossyPhotoポットホール

長瀞のかき氷

長瀞は日本でとりわけ暑っついことで有名な熊谷の隣にあります。だからシーズンによっては、外で過ごすには危険なほど暑いこともしばしば。そんな長瀞に来たら、絶対食べなければならないのがかき氷です。

長瀞にかき氷を提供してくれるお店は、そこかしこにあります。みんな共通して看板に掲げているのは「阿左美冷蔵」の氷を使っているということ。

阿左美冷蔵は、天然氷を作っているんです。天然氷は冷凍庫で作った氷とは異なり、ふかふか、なめらか、温度が低く口あたりがやさしく、今までのかき氷では経験したことのない触感を楽しめると思いますよ。

  • 写真:えいぶゆう/TossyPhotoかき氷

こちらの天然氷、11月下旬から1月下旬にかけて作られます。氷はもともとかき氷用として作られたわけではなく、蚕の孵化するタイミングを人口的にコントロールするために使われていました。これがかき氷に転用されて、いまでは長瀞と言えばラインくだりとかき氷と言われるほど有名になりました。時期やお店によってはかき氷を求めて2,3時間ならぶこともあるそうですから、人気なのがわかりますね。

おわりに

いかがでしたか?こんなに地質的に豊かな土地が東京から近いって驚きです。ちなみに長瀞ラインくだりは、例年3月上旬から12月上旬の運行です。大人だけで楽しむのもよし、お子さんと一緒に地球の窓をのぞきながら楽しむのも、きっと貴重な体験になりますよ。

秩父鉄道長瀞ラインくだり
埼玉 / 体験・アクティビティ / 春のおすすめ観光スポット
住所:長瀞町長瀞489-2地図で見る
電話:0494-66-0950
Web:http://www.chichibu-railway.co.jp/nagatoro/

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この記事を書いたトラベルライター

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