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朝、ミルクを空高くに放る
家畜の乳を沸かして作る「スーテーツァイ」は、日本でいえば緑茶のような定番の飲み物です。モンゴルでミルクは神聖であり、お供え物としてもよく使われますが、遊牧民は毎朝スーテーツァイを空に放ち、空や山や大地の神に祈りを捧げます。
やり方は朝スーテーツァイを作ったら、まずは一杯分を器に注ぎ、外へ出て家族の健康と繁栄を祈りながら空高く放ります。自然と共存しながら生きる遊牧民は、このように常に神への感謝を忘れません。
魔除けを意味する顔のすみ
夜に小さな子供を連れて外出するとき、鼻筋に黒いすみをつけることがありますが、これは「悪魔が近づかないように」という意味の魔除けで、昔話に由来しています。
昔々、二人の悪魔が赤ん坊をさらおうと計画し、魔力で夫婦を仲たがいさせ、母が赤ん坊を連れて出て行くところを奪い去る作戦を立てたのです。ですが何かを察した母は、出かける前にストーブのすみを赤ん坊の鼻筋にスッとひいたそうです。すると鬼は黒い鼻のウサギと見間違え、赤ん坊はさらわれることなく無事に過ごせたというお話です。
そのほかにも子供は汚れた格好をしていると、悪魔が近寄らないといわれています。近年では都市化が進み、きれいな服を着た子供も増えましたが、郊外の子供たちは泥だらけになるのをまったく気にせず、元気に走り回って遊んでいます。