長野
長野観光
日本で2番目に多い温泉&そばが名物

蔵の街・中町の「松本市はかり資料館」ではかりの歴史にふれてみよう

取材・写真・文:

長野在住
訪問エリア:26都道府県

2017年7月5日更新

879view

お気に入り

写真:Adjoa

長野県松本市の、土蔵の立ち並ぶ街として有名な「中町」。中町通りは観光スポットとして魅力がいっぱいですが、今回はその一角にある「松本市はかり資料館」をご紹介します。「えっ、はかりの資料館なんてマニアック!」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんね。しかしこの資料館は、博物館としての見ごたえが充分にあり、特に「はかり」に興味がない人にとっても、面白く魅力のある見学スポットです。中町観光の際は、ぜひ立ち寄ってみてください。

この記事の目次表示

はかり資料館とは

日本でも珍しい、はかりのミュージアム。「松本市はかり資料館」は、中町通りのほぼ中央に位置します。白壁と黒なまこの土蔵造りの建物は、その町並みに溶け込み、一瞬見逃しそうになります。

  • 写真:Adjoa中町通りの町並み。白壁と黒なまこの土蔵建築が並ぶ。

前身は、明治35年創業の「竹内度量衡店」。「度量衡」とは、さまざまなものをはかる言葉。竹内度量衡店では、長野県の中南信地方の度量衡器の需要を一手に引き受けていました。

養蚕業の盛んだったこの地域で、製糸業界をターゲットにした商いをしていましたが、養蚕業の衰退とともに昭和61年、店じまい。その後、平成元年に「松本市はかり資料館」として生まれ変わり、オープンしました。

  • 写真:Adjoaはかり資料館のエントランス。土蔵造りの町並みに溶け込んでいる。

はかり資料館の楽しみ方

はかり資料館は、全部で3つの展示室から成り立っています。

  • 写真:Adjoa第1展示室
  • 写真:Adjoa第2展示室
  • 写真:Adjoa第3展示室

第1展示室 ― 「測る・量る・計る」道具の展示

古今東西の様々なはかりが展示されています。

  • 写真:Adjoa第1展示室には、ものさし、枡、さじ、体重計、天秤…等の様々なはかりが展示されている。

一言に「はかる」と言っても、物差しで長さったり、枡で容積ったり、天秤で重さったり。

  • 写真:Adjoa天秤だけでも何種類も展示されている。
  • 写真:Adjoa容積をはかる「枡」。
  • 写真:Adjoa重さをはかる「はかり」。

中には、上皿天秤の原理となった「ロバーバル機構」も展示されています。これは、分銅と量る物の重さが同じなら、天秤の皿のどの位置に物を載せてもバランスが崩れないというもの。

  • 写真:Adjoaロバーバル機構。17世紀にフランスの数学者ロバーバルによって考案された、上皿天秤の基本原理。

展示室の中央には、色々な「はかること」を体験できるコーナーもあり、大人も子供も楽しめます。天秤に分銅を乗せてぬいぐるみの体重をはかる体験や、袋の重さを当てるゲームなどがあります。

  • 写真:Adjoa天秤にぬいぐるみと分銅を乗せ、ふくろうの体重を計ってみよう!

中でも「6合枡一つで、1合・2合・3合・4合・5合はどうやって量っていたでしょうか?」という枡のパズルはおススメ。大人でも難しく、昔の人々の知恵の深さを感じます。

  • 写真:Adjoa「はかること」の体験コーナー。枡の積木パズルは大人でも難しく、面白い!

第2展示室 ― 蚕糸業に関するはかり展

ここでは、蚕糸業で使われていたはかりを見ることができます。

松本市はかつて、製糸業の中心地でした。製糸業において、「はかること」は必要不可欠なことでした。生糸の元となる蚕の繭は、雌雄で重さが違うことから、雄雌を見分けるために「雌雄選別器」というはかりを使っていました。

また、生糸の長さや太さを計ることにも、検尺器を使っていました。そのことから、このはかり資料館の前身、「竹内度量衡店」が始まったのです。

  • 写真:Adjoa雌雄選別機。重さの違いで繭のオス・メスを見分けるためのはかり。

第3展示室 ― 旧三松屋蔵座敷

3つ目の建物は、老舗材木問屋の「旧三松屋」の蔵座敷。ここにははかりは展示されていませんが、明治時代に流行した「擬洋風建築」の、和風と洋風の混ざった興味深い建物が見どころです。

同じ松本市内で観光名所となっている、重要文化財「旧開智学校」の建築を手がけた棟梁の、最晩年の集大成の建物だと言われています。

  • 写真:Adjoa第3展示室の旧三松屋蔵座敷。「擬洋風建築」が見どころ。

なお、それぞれの展示室の間にある中庭の佇まいも、風情があって素敵です。

  • 写真:Adjoa3つの展示室の間にある、風情ある中庭。

最後に

ご紹介した「はかり資料館」のある中町には、ほかにも風情あるお店がいっぱい。資料館見学の後はぜひ、周辺のおしゃれなカフェでひと休みして行ってくださいね。

  • 写真:Adjoa近隣の飲食店もやっぱり蔵を改装したものが多い。写真のお店はレモネードの飲める雑貨屋さん。

「松本市はかり資料館」の基本情報

  • 開館時間:午前9時から午後5時まで(ただし入館は午後4時30分まで)
  • 休館日:毎週月曜日(休日の場合はその翌日)、年末年始(12月29日から1月3日)
  • 観覧料:大人200円(20名以上の団体は150円)、中学生以下無料
  • アクセス:<徒歩>JR松本駅より約15分/<バス>JR松本駅よりタウンスニーカー 東コース「はかり資料館前」下車
松本市はかり資料館
松本市 / 子供が喜ぶ / 博物館
住所:長野県松本市中央3丁目4番21号地図で見る
Web:https://matsu-haku.com/hakari/

次のページを読む

長野の旅行予約はこちら


長野のパッケージツアー(新幹線・飛行機付宿泊プラン)を探す

長野のホテルを探す

長野の航空券を探す

長野の現地アクティビティを探す

長野のレンタカーを探す

長野の高速バスを探す

この記事で紹介されたスポットの地図

関連するキーワード

※記事内容については、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。

あなたにオススメの記事

同じテーマの記事


12月の国内おすすめ旅行先25選!冬・年末の旅行にぴったりな観光地特集

12月はイルミネーションに雪景色など、全国各地で冬ならではの絶景に出会えるシーズン。雪見温泉も格別な時期です。12月の週末や年末旅行におすすめの国内旅行先をご紹...


日本の最強パワースポット24選!神社やゼロ磁場、自然のパワースポットも

日本の総氏神のように信仰される天照大御神をお祀りする伊勢神宮や、”願いが叶うパワースポット”として有名な来宮神社、全体が最強パワースポットと言われる皇居など、日...

1月の国内おすすめ旅行先33選!お正月旅行にもぴったりな観光地特集

寒さ厳しい1月は、雪や氷の絶景が全国各地で見られるシーズン。冬の夜に映えるイルミネーションイベントもまだまだ楽しめます。1月のお正月旅行や週末旅行におすすめの国...

諸説あり!「日本三大稲荷」に数えられる有名稲荷を一挙紹介

日本三大稲荷といえば総本宮の伏見稲荷大社は必ずその1つに挙げられますが、残り2社は諸説あり、比較的知られた説の中だけでもなんと計13もの神社が候補に挙がっていま...

【国内旅行】12月におすすめの穴場旅行先15選!

温泉とイルミネーションが楽しめる「洞爺湖温泉」や、珍しい青いシクラメンが咲く「浜名湖ガーデンパーク」、12月中旬まで美しい紅葉が見られる国宝の「富貴寺」など、1...

この記事を書いたトラベルライター

ほぼガーナ人・ときどき信州人
Adjoa(アジュア)はガーナで月曜日生まれの女子の名前。
ガーナでは、生まれた曜日によって名前が決まります。
そんなガーナの魅力を多くの人に知ってもらいたい!
ガイドブックには載っていないガーナのおもしろ観光情報を発信していきます!
どうぞよろしくお願いします★

辛い!濃厚!美味しい!ガーナの3大国民食を堪能しよう!

アフリカ料理というと、どのようなものを想像しますか?クスクス?ウガリ?西アフリカのガーナには、どちらもありません。ガーナと聞いて何を思い浮かべますか?チョコレー...


チョコレートだけじゃない!定番のガーナ土産6選!

ガーナと言ったら、チョコレートですね。でも、それだけではありません!ガーナには、チョコレート以外にも魅力的なお土産がたくさんあるんです。アフリカらしいカラフルな...


【長野県】良縁を呼ぶパワースポット「縁結神社」~日本で唯一“縁結び“の名を冠する神社

縁結びに御利益があるという神社は、日本全国各地にたくさんありますよね。でも、名前に「縁結び」とつく神社は、日本でここだけ!それは、森の中にひっそりと佇む、小さな...

棺桶に命をかける国?!葬式天国ガーナで葬式&棺桶工房を見学しよう!

西アフリカのガーナ。目立った観光資源のないこの国ですが、世界中でガーナでしか見られない珍しいものがあります。それは、独特な葬式スタイルとユニークな棺桶!ガーナで...

【ガーナ】負の世界遺産ケープコースト城で奴隷貿易の歴史に触れる

西アフリカのガーナ。今でこそ明るく陽気な人々が暮らす平和な国ですが、「奴隷貿易」という暗い歴史を持つ国でもあります。ガーナには奴隷貿易の拠点となっていた建造物が...

トラベルライターインタビュー Vol.3 Emmyさん

【トラベルライターインタビューVol.3】一人旅を応援する記事を多数執筆!Emmyさんならではの人気記事執筆のコツやその原動力に迫ります