佐賀県南部・鹿島市にある祐徳稲荷神社は、伏見稲荷大社、笠間稲荷神社とともに日本三大稲荷の一つとされています(諸説あり)。九州では太宰府天満宮に次いで第2位の参拝客数を誇る神社ですが、数年前からタイ人の聖地として話題になっています。
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映画やドラマロケの誘致で一躍佐賀が人気スポットに
タイ人の聖地となったきっかけは、佐賀県庁のフィルムコミッションによる、タイの映画やドラマロケの誘致です。2014年のノンスィー・ニミブット監督の映画『タイムライン』を皮切りに、2015年にはドラマ『きもの秘伝』、『STAY Saga~わたしが恋した佐賀~』などが撮影されました。
いずれも人気俳優が出演し、タイ国内で大ヒットしたことで、佐賀県内のロケ地を周る「聖地巡り」に訪れるタイ人が急増。その後も数作品が制作され、タイ人観光客がこの3年間で約15倍にまで増えたというのですから驚きです。
中でも、特に祐徳稲荷神社は大人気で、いつ行ってもタイ人観光客が絶えることがないほど。インスタ映えスポットということもありますが、実はこの神社、かなり奥が深い場所でもあるのです。今回は、そんな祐徳稲荷神社の全貌をお伝えします。
豪華絢爛な装飾は必見
敷地に踏み入れてすぐにまず視界に入ってくるのが、何本もの朱塗りの柱に支えられ、まるで清水の舞台のような圧巻の御本殿です。
御本殿に向かう前に、まずは太鼓橋を渡った所にある楼門を見学しましょう。
こちらには、何ともリアルな2体の像が置かれています。この像はなんと有田焼でできているもので、色彩が実に美しく必見です。
楼門内部の壁面には、佐賀の三右衛門と称される、柿右衛門と今右衛門の陶板も飾られています。
この門をくぐり、中庭に入ると正面に見えるのが御神楽殿です。ここでは一般参拝者の祈願などが行われます。
この御神楽殿を正面に見て、右手にある大きな階段を登っていくと御本殿があります。ここには倉稲魂大神(ウガノミタマノオオカミ)、大宮売大神(オオミヤノメノオオカミ)、猿田彦大神(サルタヒコノオオカミ)の三神が祀られています。一般に稲荷大神と言われる衣食住、生活全般の守護神とされている神様たちです。
そもそも祐徳稲荷神社は、1687年にこの地を治めていた肥前鹿島藩主鍋島直朝公の夫人で、後陽成天皇の孫である花山院萬子媛が朝廷の勅願所から分霊を請願したことに始まるのだとか。絢爛豪華な御本殿ですが、昭和初期に建て直されたものが1949年に焼失し、現在は1957年に再建された3代目の建物となります。
フォトジェニックだけじゃない!全部巡るには体力も必要
中庭を囲むように、若宮社、岩崎社といくつかの社が点在していますが、御本殿の後方の山全体にもいくつもの社があり、さらに山頂には奥の院があります。ずらっと鳥居が並ぶなか、標高約300mの山頂まではひたすら坂道を登っていきます。
たくさんの鳥居をどんどんくぐって最初に見えてくるのは、狐に守られた岩本社。ここは技芸上達の神様、岩本大神が祀られています。
さらに鳥居をどんどんくぐって登っていくと、突然かなりの急斜面があらわれます。たくさんの小さな祠があちこちに建っています。
階段状になっていますが、かなり勾配がキツいので息があがってきます。
奥の院まで50mという看板に励まされること約10分、視界がパッと開けた所に奥の院があります。
眼下には鹿島市内から有明海までが一望できて、それだけでも来たかいがあると感じられます。
自力で登る自信がない方は300円でエレベーターに乗ることができます。
お土産は定番中の定番!「糸切ようかん」
見た目がちょっとレトロな稲荷ようかんは、祐徳稲荷神社のお土産の定番中の定番で、その食べ方もかなりユニーク。
万華鏡みたいな筒状で、蓋を取ると凧糸が出てきます。中の羊羹をお尻から押し出し、出した分だけを糸でカットして食べます。楽しめるのでお土産としてウケること間違いなし。1本250円〜。
今後も注目される「ロケツーリズム」
ブランド総合研究所が発表した「地域ブランド調査2019」で、国内では魅力度ランキングでワースト2位の佐賀県ですが、ここ数年タイ人観光客の伸び率は九州では第1位を誇っています。他県でも佐賀県の現象に注目していて、地域活性化に繋がる「ロケツーリズム」の取り組みに注目しています。
今後、新たな聖地巡りやインバウンドを呼び込む施策に、さらに期待していきたいですね。
- 祐徳稲荷神社
- 佐賀 / 紅葉 / 観光名所 / インスタ映え / 神社 / パワースポット / 桜の名所
- 住所:佐賀県鹿島市古枝乙1855地図で見る
- 電話:0954-62-2151
- Web:https://www.yutokusan.jp/