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【バンコク・ナーム】ミシュランスター付きレストラン・逆輸入だからこそタイ人が気が付かないタイ料理の良さを表現

取材・写真・文:

Madam Satoko
タイ在住

2016年12月8日更新

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写真:Madam Satoko

世界中で初めてタイ料理でミシュランスターを獲得したレストランは、実はロンドン所在。そのお店がタイに来た時は大フィーバーでした。当時情報誌編集長でしたので、早速駆けつけ「タイ人が気が付かない、外国人だからこそ分かるタイ料理の良さを的確に表現しているなあ」と感心しました。タイ人が気付かないタイ料理の良さ、どんなところでしょうか。タイ料理の良さを俯瞰で体感するため再訪してみました。

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逆輸入が可能にするタイ料理の桃源郷

タイ料理の良さと言うのは、時としてタイ人本人が気が付かないことがあります。例えば昨今のタイ人はかなりの健康志向で「**は体によくない」「**を**で代用」と昔からのレシピを否定することもしばしば見受けられます。

そうすると、面白いことに、「**味が足らないので**を足す」など、志と舌が合わず違う物を入れ「それはさらに体に良くないのでは?」と本末転倒の様相を呈したりします。

そういったタイ人自身が時として見失ってしまう、食事を楽しむという人間の本質や培われて来たタイ料理の特長、こういう「タイ人だからこそ気が付かない良さ」を外国人が発掘・再現し、タイ人が「ああ、そうだったなあ」と顧みる桃源郷となっています。

気取らず、メニューなし、大人数でおかずを分け合う文化

  • 写真:Madam Satoko

ミシュランスターレストランですが、イメージと違いお皿は木や特に有名でない素朴な焼き物です。タイ人ならきっと「え、有名なレストランがなんで?!」となるでしょう。

華美なデコレーションならいいものと盲目に思い込んでいるのをやんわり否定するところからアプローチは始まっています。

そしてメニューはその時々の季節のものを使うので、グランドメニューと言うのもなし。元々農業が盛ん、かつ季節がないようであるのを、「暑い」の一言で終わらせがちなタイ人の天と地の恵みをくすぐるような接近をしています。

そして大人数で分け合い、ともに食べるというタイ料理の文化を尊び、すべての料理が人数分どーんと器やお皿で来ます。それぞれのお皿に白米を入れ、自分が食べれるだけのおかずをよそいます。

個人が好きなものをそれぞれ注文して、それぞれ抱え込んで食べるという文化ではないことも体現しています。

逆輸入タイ料理でその良さに触れてみる

人間の視線と言うのは常に低く狭いものです。日常に溢れていると、その価値を認めようどころか存在さえも気が付かないことが多々あります。一見極々身の回りにあるけど、そんな再発見を世界のミシュランを取った料理から考慮してみましょう。

ミシュランで再発見①ミヤンカム 450THB

  • 写真:Madam Satoko

タイには「食感や歯ごたえだけを楽しむためだけの食べ物」と言うのがあります。満腹になるのが目的ではなく、口に入れて噛むという行為自体を楽しむ、という物です。

添乗員時代にいろんな食文化に触れる機会がありましたが、こんな楽しみ方はタイだけでした。見かけるとその「人生の粋を取り入れたい」とせっせと買ったりしていましたが、タイ人からは「えーそんなの食べてるの」扱い。ナームは私が感じた“粋”を世界クラスにまで育て上げたわけです。

手でとり葉をくるりと巻いて一口でパクと食べます。葉のシャッキリ感、ジンジャーのサッパリ感、柔らかく味わい深いロブスターとごく細く裂いた少量のポークジャーキーのうまみがじんわり口に広がります。書いている通り、お腹に溜まるようなものはなくまさに「食べるという行為を楽しむためだけ」のものです。

ミシュランで再発見②わらびと熟成サワーポーク 750THB

  • 写真:Madam Satoko

タイ人は農園でオーガニックで育てられたハーブには抵抗がないのに、山野の趣ともいうべきわらびにはなぜか田舎者の烙印を押しています。そして冷蔵設備の発達した現在では、発酵や熟成は一歩間違えると腐敗ととらえられがちです。

こんな現代のタイ人に真っ向から「長く伝わって来た美味しいものを見逃している!」というメッセージを与えているのが、このメニュー。サワーポークには調味料では出ない素材そのものから染み出た酸味と、発酵ならではの匂いと歯ごたえを生かしています。

炒める際に出た汁は旨みたっぷり、具がなくなったお皿を引き寄せ白いご飯を投入し、文字通り一滴も残さず食べつくしたほどです。

ミシュランで再発見③カニのイエローカレー770THB

  • 写真:Madam Satoko

南部の田舎のカレーとして、バンコクではわざわざ「南部料理」と書いてあるところに行かないと食べられない珍味扱いです。このゴロっと入ったカニ肉の甘味うまみに、うまくマッチした辛さを出すのが至難の業。

一般では単なる辛い南部料理になりがちですが、ターメリックらしいスパイスの香りが立ち、刺激はあるものの辛くない、という技を駆使し洗練された料理となっています。

ミシュランで再発見④パネンビーフカレー 720THB

  • 写真:Madam Satoko

パネンというのは、ちょっと甘くもったりしたテクスチャーのカレーです。グリーンカレーのスープ感とも違う、日本のドライカレーのパラパラ感とも違うものです。

タイ人もあまり選択しないマイナーメニューであったのは、タイの牛肉事情が今まで良くなかったためという理由もありました。

ナームではオーストラリアビーフを使っており、「なによ、パネン、とってもおいしいじゃない!」とタイ人自身が躊躇していた選択肢を外国人が覆したメニューです。

単なるミシュランスターレストランじゃない、タイ人がタイ料理に目覚め模索するレストラン

逆輸入だからこそタイ料理の桃源郷となったミシュランスターレストラン・ナーム。是非その「一見普通さの中の素晴らしさ」を体験してみてください。

ナーム
シーロム通り / アジア料理
住所:27 South Sathorn Road, Tungmahamek, Sathorn , Bangkok 10120地図で見る
電話:02-625-3333
Web:http://www.comohotels.com/metropolitanbangkok/dini...

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