
和歌山県岩出市にある根来寺は、国宝の大塔や本堂と言った建築物が立ち並ぶ、歴史ある寺院です。境内には庭園もあり、落ち着いた気分で散策できます。春の桜や秋の紅葉でも有名で、周辺には道の駅などの観光スポットも点在しています。
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岩出市 根来寺
根来寺(ねごろじ)は、和歌山県岩出市にある、新義真言宗の寺院です。高野山の僧の覚鑁(かくばん)上人によって900年ほど前に開かれました。
境内には、木造では国内最大の大塔や、本堂の大法伝堂といった大型の建物が立ち並びます。また、国の名勝に指定されている根来寺庭園では、自然の景観を取り入れた心落ち着く景色が楽しめます。
春には約7,000本の桜が周辺に咲くほか、秋にはもみじ谷が真っ赤な紅葉で染まるため、多くの観光客が訪れることでも知られています。
大塔や庭園も!見どころ多い境内を散策
境内の建築物や庭園を鑑賞してみましょう。拝観料は大人500円で、本堂や大塔などの建築物のほか、本坊にある根来寺庭園やお堂も見学することができます。
大伝法堂
根来寺の本堂で、御本尊の大日如来、金剛薩た(こんごうさった)、尊勝仏頂の三尊をお祀りしています。文政10年(1824年)年に落成した建物は、真言宗の最も大切な修法を伝える道場でもあり、重要文化財に指定されています。
大塔
大伝法堂の隣に立っている大塔は、覚鑁が、同じ和歌山県の高野山に建てた大塔を再現した塔です。完成は天文16年(1547年)ととても古く、昭和27年に国宝に指定されています。
こちらの塔は、高さ37メートル、横幅15メートルと非常に大きく、境内でもひときわ目を引く存在です。国内の木造大塔では最大となっていますが、内部に入ってお参りできるのが貴重です。
大師堂
大塔のそばに立つ大師堂は、真言宗を開宗した弘法大師空海をお祀りしています。大きな建築物が立ち並ぶ境内では、あまり目立ちませんが、明徳2年(1391年)頃の建立とされる、非常に歴史のあるお堂です。
大門
大門は、根来寺の総門で、嘉永5年(1852年)に落成しました。左右に仁王像を、そして上層には釈迦三尊、十六羅漢像が安置されています。こちらは、大塔や大伝法堂からみて南西にあり、少し離れています。専用の駐車場がありますので、車の方はそちらを利用すると良いでしょう。
名勝「根来寺庭園」と名草御殿
次に、本坊のほうを見ていきましょう。こちらでは、紀州徳川家の別邸を移築した名草御殿(なぐさごてん)から、根来寺庭園を鑑賞することができます。
根来寺庭園は、名草御殿側にある枯山水と池泉式蓬莱庭園、そして建物の表にある聖天池の3つの日本庭園からなり、国の名勝にも指定されています。特徴の異なる3つの庭園を鑑賞してみてください。
こちらは、名草御殿のそばにある庭園です。裏山に沿うように配置された池、季節ごとに変わる斜面の植物など、風情が感じられます。筆者が訪れた際には、紅葉がまだ進んでいませんでしたが、紅葉するとさらに美しく感じられそうでした。
光明殿
庭園のそばには、光明殿があります。文化元年(1804年)に落成した建物で、令和元年に重要文化財に指定されました。こちらには、覚鑁のご尊像を安置しており、その左右には歴代藩主や使徒の位牌が祀られ、日々回向が行われています。
行者堂・聖天堂・聖天池
光明殿の隣には、行者堂、聖天堂(しょうてんどう)が並んで立っています。行者堂には、御本尊として役行者をお祀りしています。仏法を発展させる行場となっており、令和元年に重要文化財に指定されています。
聖天堂は、聖天尊をお祀りするお堂です。外から見ると、聖天池に浮かぶように立っている、趣のある建物です。お堂の正面に、室町時代から伝わる根来塗(ねごろぬり)の壇があります。
根来寺庭園の一部である聖天池には、橋が渡された中島があり、こちらの景観も美しいです。すぐ南に蓮池があり、初夏には蓮の花が見られるそうです。
もみじ谷の紅葉
根来寺は、紅葉の名所として知られており、秋には鮮やかに色付いたモミジが境内のあちこちで見られます。なかでも、駐車場のそばにある「もみじ谷」のあたりは本数も多く、見ごたえがあります。
小さな谷の両側にモミジが植えられており、晩秋の頃に真っ赤に染まります。週末を中心に多くの観光客が訪れ、紅葉の最盛期には、駐車場が満車になるほどです。
紅葉の見頃は、例年11月下旬から12月上旬とされています。筆者は2024年の12月上旬に訪れましたが、写真のように見頃を迎えていました。気温の高い年は、12月中旬頃まで楽しめるかもしれません。
桜
根来寺は、桜の名所としても有名です。境内や周辺には、ソメイヨシノやヤマザクラなど、7,000本の桜があると言われています。例年3月下旬頃から開花が始まり、4月上旬頃まで楽しめます。境内のいたるところで見られますが、大門周辺は桜並木があり、ライトアップも行われるそうです。
根来寺の散策、お疲れさまでした。お寺を出て、周辺の観光スポットへ出かけましょう。
道の駅ねごろ歴史の丘
「ねごろ歴史の丘」は、根来寺からほど近い場所にある道の駅です。平成29年12月にオープンした、まだ新しさが感じられる道の駅には、和歌山のお土産が買える売店、県内市町村の観光情報などを提供する「情報コーナー」のほか、歴史博物館も備えています。
北側にある建物「花笑み館」には、地元岩出市や和歌山県のお土産物が販売されています。館内はコンパクトですが、地酒から銘菓、雑貨まで多数取り揃えられているので、何を買うか選ぶのも楽しいです。お隣の紀の川市の特産である、桃にちなんだ商品も置いてありますよ。
建物内では、ラーメンやソフトクリームなどの軽食も販売されており、イートインコーナーでいただくこともできます。筆者は、和歌山ラーメン(600円)をいただいてみました。
和歌山ラーメンは、和歌山市周辺で「中華そば」と呼ばれて親しまれているもので、スープは茶色い醤油系と、豚骨醤油系の二つの種類に分けられるそうです。
こちらでいただいたものは、こってりした見た目ながらあっさりとした味の和歌山ラーメンの特徴がよく出ており、美味しくいただけました。具材がシンプルなので、スープの味をじっくりと楽しむことができますね。
こちらは、めはり寿司です。ご飯のおにぎりを高菜の漬物で包んだもので、和歌山県南部、熊野地域などの郷土料理となっています。食べるときに目を張るほど大きいことから名付けられた、素朴な風味のおにぎりを味わってみてください。
ねごろ歴史資料館
道の駅敷地内に、ねごろ歴史資料館があります。こちらは、根来寺のガイダンス施設となっています。映像や資料により根来寺を分かりやすく紹介しているほか、根来・岩出地域の文化や歴史についても解説しています。根来寺を訪れる前に立ち寄っても良いでしょう。入場料は無料です。

- 道の駅 ねごろ歴史の丘
- 岩出市 / 道の駅・サービスエリア
- 住所:和歌山県岩出市根来2020−1地図で見る
- 電話:0736-61-1170
- Web:https://www.negororekishinooka.jp/
旧和歌山県議会議事堂
道の駅のすぐ南側に、歴史を感じる木造の立派な建物が建っています。こちらは、和歌山市内にあった旧和歌山県議会議事堂を移築したものです。
旧和歌山県議会議事堂は、明治31年(1898年)に建築され、昭和13年(1938年)まで使用されました。その後、根来寺境内などに移築を繰り返しますが、文化財として保存するため、平成28年に現在の場所に移築し、一般に公開されました。
木造和風の議会議事堂としては国内最古となり、重要文化財に指定されています。イベントなどで使用している日以外は内部を見学できるので、入ってみてください。木造ながら柱の無い大空間が広がっており、昔の学校の体育館のような懐かしい雰囲気もただよっています。

- 旧和歌山県議会議事堂
- 岩出市 / 建造物
- 住所:和歌山県岩出市根来2347-22地図で見る
- 電話:0736-61-1160
和歌山県植物公園 緑化センター
根来寺から東に徒歩約10分ほどのところに、緑化センターという植物公園があります。園内では、春の桜、バラ、初夏のあじさいなど、四季折々の植物が観賞できます。
芝生広場や遊具もあるので、お子さんを遊ばせるのにも適しているでしょう。晴れた日には、ピクニックを楽しんでみてはいかがでしょうか。
なお、根来寺から緑化センターへと向かう道路は、歩道がない区間があります。坂道もあるので、なるべく車で移動されることをおすすめします。

- 和歌山県植物公園 緑花センター
- 岩出市 / 植物園 / インスタ映え / あじさい名所 / バラ園 / 遊び場 / 公園 / 花畑 / 花畑(4月) / 花畑(9月) / 花畑(10月) / コスモス畑
- 住所:和歌山県岩出市東坂本672地図で見る
- 電話:0736-62-4029
- Web:http://www.w-botanicalgarden.jp
この記事を書いたライターからひとこと
根来寺の紅葉が見頃の時期に、訪れてみました。谷沿いの遊歩道から見る真っ赤なモミジは素晴らしく、来て良かったと思いました。境内にも建築物や庭園などの見どころかあり、ゆったりとした時間を過ごすことができました。周辺に道の駅や公園も集まっているので、皆さんもドライブを楽しんでみてはいかがでしょうか。(ゆきたか)

- 根来寺
- 岩出市 / 寺 / 紅葉 / 桜の名所
- 住所:和歌山県岩出市根来2286地図で見る
- 電話:0736-62-1144
- Web:http://www.negoroji.org/