兵庫県姫路市の書寫山(しょしゃざん)山頂にある圓教寺(えんぎょうじ)は「西の比叡山」とも言われ、寺域は約11万坪にもなります。中でも2003年公開の映画『ラストサムライ』の撮影場所として一躍有名になった大講堂・常行堂・食堂がコの字に並んだ伽藍は必見!ゆっくり時間をかけて歩きたい。そんな圓教寺の見どころをご紹介します。
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まずはロープウェイに乗って、書寫山山頂へ
966年、性空(しょうくう)上人によって開かれた圓教寺(えんぎょうじ)は、姫路城の北西に位置する書寫山(しょしゃざん)の山頂に約11万坪もの寺域を有しています。
JR姫路駅から神姫バス「書写山ロープウェイ」行に乗り約30分。終点すぐにあるロープウェイ山麓駅から書寫山山頂を目指します。ロープウェイは毎時15分おき0・15・30・45分に発車しています。
山頂まで約4分。上るにつれ、眼下に姫路市内が一望できます。
- 書写山ロープウェイ
- 姫路市 / 乗り物 / ロープウェイ
- 住所:兵庫県姫路市書写1199番地の2地図で見る
- 電話:079-266-2006
- Web:http://www.mt-shosha.info/
摩尼殿まで約1キロの参道ウォーキング
ロープウェイ山上駅から、まずは西国三十三所の札所にもなっている摩尼殿を目指しましょう。志納所で拝観志納金500円を払い、約1キロの参道を歩いていきます。なお、志納所から摩尼殿の下までマイクロバスの利用も可能です。(往復500円)
参道の始まりは上り坂。ですが、両脇には西国三十三所の観音像が配置されており、一つ一つの観音像を鑑賞しながらゆっくりと上れば、それほど疲れも感じません。
途中の展望スポットで一休み。すっきりと晴れた日には、明石海峡大橋や淡路島を見ることもできます。
志納所から10分ほどで、圓教寺の正門となる仁王門に到着です。ここから先が圓教寺の境内となります。門は江戸時代初期の建物で、両側に仁王像を安置しています。
舞台造りが美しい摩尼殿
摩尼殿は970年創建。「マニ」とは梵語で如意の意味を表します。開基である性空上人が、天女が桜の木に礼拝するのを見て、根があるままの桜の生木に如意輪観音を刻み、岩山の中腹に舞台造りの建物を建てました。
現在のお堂は、昭和8年に再建された比較的新しいものですが、舞台造の非常に美しい建物で、国の登録有形文化財にも登録されています。本尊の六臂如意輪観世音菩薩は秘仏で、毎年1月18日に行われる鬼追いの日にのみ開帳されます。
- 書寫山圓教寺 摩尼殿
- 姫路市 / 建造物
- 住所:兵庫県姫路市書写 書寫山圓教寺摩尼殿地図で見る
- Web:http://www.shosha.or.jp/
コの字型が印象的な三つのお堂
摩尼殿の裏手を通り杉木立を5分ほど歩くと、大講堂・食堂(じきどう)・常行堂の三つのお堂がコの字型に配置された伽藍風景が現れます。
この風景を映画やドラマで見た記憶がある方も多いのではないでしょうか。2003年公開のハリウッド映画『ラストサムライ』や2014年放送の大河ドラマ『軍師官兵衛』をはじめ、数々の作品のロケ地として使われています。
大講堂
伽藍がある広場手前から見て右側(北側)にあたる大講堂は、室町中期に建てられた圓教寺の本堂。お経の講義が行われる学問と修行の場です。現在の建物は、昭和51年から56年にかけて解体修理がなされたものです。
常行堂
大講堂と向き合う位置にある常行堂。こちらは、常行三昧(ひたすら阿弥陀仏の名を唱えながら本尊を回る修行)をするための道場です。中央部にある舞台は、大講堂に安置されている釈迦三尊像に舞楽を奉納するため設けられました。
食堂(じきどう)
広場の正面にある食堂は、修行僧の寝食のための建物。未完成のまま数百年放置されていましたが、昭和38年に解体修理が行われ、その際ようやく完成形として建てられました。仏堂建築には珍しい二階建ての作りで、一階では写経体験ができ、二階は宝物館となっており自由に拝観できます。(拝観無料)
二階からは、両脇に並ぶ大講堂・常行堂を眺めることができます。広場からとはまた違うアングルで、建物全体を捉えることができますので、宝物館の資料と共にこちらもぜひ鑑賞してみてください。
『軍師官兵衛』のロケ地として圓教寺は使われましたが、実際に豊臣秀吉が三木城攻めの戦いの際、黒田官兵衛がこの地に陣を敷くよう秀吉に進言したと言われています。
そんな歴史を物語るちょっと面白いものが一階に展示されています。それは、旧摩尼殿の柱に書かれた落書き。「天正6年」(秀吉が陣を敷いた年)「羽柴小一郎」(秀吉の弟・秀長のこと)「近江浅井郡」と書かれており、秀長の家臣が書いたと考えられています。
- 書寫山圓教寺 三つの堂
- 姫路市 / 建造物
- 住所:兵庫県姫路市書写2968地図で見る
- Web:http://www.shosha.or.jp/
奥之院では、開山堂の力士像を見逃さないで!
三つの堂からさらに奥へ進んだ先にある奥之院。こちらにある開山堂は、開山の性空上人を祀るお堂です。
この開山堂の軒下を見上げると、まるで屋根を支えるようにふんばる力士像が・・・
こちらの像は、日光東照宮の眠り猫の作者としても有名な左甚五郎作と伝わっています。四隅のうち西北隅の一つは重みに耐えかねて逃げ出した、という伝説があります。
- 書寫山圓教寺 開山堂(奥の院)
- 姫路市 / 建造物 / 寺
- 住所:兵庫県姫路市書写2968地図で見る
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奥之院から展望公園は、静かな境内を感じられる格別スポット
奥之院から南側へ進み、金剛堂から展望公園へ。摩尼殿や三つの堂付近と違い、ここまで足を延ばすと参拝客も少なくなります。その為、静かで落ち着いた雰囲気を感じられる場所です。
金剛堂は、室町時代に建立され、元々は普賢院という塔頭の持仏堂であったと言われています。その普賢院の跡地にあるのが展望公園。
ここからは瀬戸内海に浮かぶ小豆島をはじめとする島々や、四国を見通すことができます。
- 展望公園
- 姫路市 / 展望・景観
- 住所:兵庫県姫路市書写2968地図で見る
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これも見逃せない!所々に現れる弁慶伝説
武蔵坊弁慶が少年時代をこの地で過ごしたという伝説があり、宝物館には弁慶が使用したとされる勉強机が展示されています。また、境内にあるゆかりのスポットは、弁慶が人並み外れた力を持った人物であったことを物語っています。
弁慶のお手玉石
本来の名は護法石と呼ばれ、昔二人の童子がこの石の上に降り立ち、寺門を守ったと言われています。弁慶はこの大きな石をお手玉にしたという伝説があり、別名弁慶のお手玉石とも呼ばれています。
弁慶の鏡井戸
大講堂の脇にある弁慶の鏡井戸。昼寝をしていた弁慶は、信濃坊戒円(しなのぼうかいえん)に顔にいたずら書きをされ、小法師たちに笑われてしまいます。目を覚ますと、みんなが自分を見て笑っているが理由が分かりません。その後、この井戸に顔を映し落書きされていることに気づいた弁慶は大激怒し大喧嘩。その喧嘩がもとで、大講堂をはじめとする山内の建物を焼き尽くしてしまったという伝説があります。
- 書寫山圓教寺
- 姫路市 / 寺 / 紅葉 / パワースポット / 穴場観光スポット
- 住所:兵庫県姫路市書写2968地図で見る
- 電話:079-266-3327
- Web:http://www.shosha.or.jp/