愛知県知多半島にある武豊町は、人口5万人に満たない小さな街です。競馬の騎手と同名で福々しいその町名は、実は神社の名からとられています。町北部の鎮守、武雄神社の「武」と、南部の鎮守、豊石神社の「豊」を合体させたのがこの町の町名なのです。武雄神社の社叢は「月詠みの森」と呼ばれていて、満月を愛でながら和歌を詠んだという風雅な森です。また、境内には井戸から湧き出るご神水があり、禊用にいただくことができます。武豊町を訪れたらごあいさつに参拝し、水と月の精気をたっぷりと浴びる神社浴はいかがでしょうか。
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勇壮な御山車神事で有名な武雄神社
- 出典:ameblo.jp武雄神社社標
JR武豊駅から北へ350m、武雄神社は住宅街の中に鎮座します。
緩やかに参道を登ると、正面に茅葺の蕃塀(ばんぺい)が見えてきます。蕃塀とは、本殿を直視できないようにする不浄除けと言われています。蕃塀を超えると左にすぐ朱色のお祓戸があり、その後手水舎へと導かれます。
- 出典:ameblo.jp武雄神社ばんぺい
いよいよ拝殿に向かいます。2010年に遷宮を終え、屋根の吹き替えや社務所などを増築・造営したところです。その際には、遷座祭など20年に一度の珍しい祭りが行われたそうです。
- 出典:ameblo.jp拝殿
- 出典:isonomiya.jp七五三
七五三の時期には拝殿の前に、丁度子どもたちがくぐれるような小さな赤い鳥居が設置されます。
社務所・社殿・斎館の間をつなぐ格子状の渡り廊下が目に飛び込んできます。美しい意匠で、厳かな雰囲気を一層強調しています。
- 出典:ameblo.jp長尾七社と格子の渡り廊下
ご祭神の1柱である弥五郎殿命(いまたねつぐのみこと)の祖先・武内宿禰(たけうちのすくね)の父、武雄心命(たけおこころのみこと)の名を冠するこの神社の例祭は、毎年4月15日直近の土日に行われ、山車6輛が繰り出します。
主祭神である須佐之男命は、国を守る神でもあり、その勇壮さが祭りに現れているようです。
月詠之森(つきよみのもり)、という名の社叢のいわれ
中秋の名月に境内に集まり、多くの文人が和歌を詠んだ月の名所として、神社社叢(しゃそう・鎮守の森のこと)は「月詠の森」と名づけられています。
1221年の承久の乱後、京都から代官としてやってきた岩田氏が、この神社を城内鎮護社として長尾城を築きました。その後、1561年まで居城としたそうです。戦国時代以降、国司が武雄天神を城内鎮護社として祀ったのが現在の武雄神社で、扁額(へんがく)には「武雄天神宮」とあります。
元々は貝塚であったというこの場所には金下(かなげ)という地名が残り、神奈備(かんなび、神宿る山)の麓であったとのこと。創建時よりこのかた、月詠の森は乱世を生きぬく人々の癒しの森となっていたことでしょう。
禊(みそぎ)の場、御井戸(みいど)
- 出典:ameblo.jp武雄神社ご神水
ご神水が沸きでる井戸の水で、お正月や例祭の前に禊が行われます。元旦の早朝に汲む水を特別に「若水(わかみず)」と言い、氏子さんたちのご家庭の神棚に祀ります。
若水は、年神様への供物や家庭の清め水として使われます。厄歳や大きな役割を引き受ける時などにも、禊の水としてお清めに使うそうです。現在はペットボトルが置かれていて、いつでもいただけるようになっています。
新月や満月にご神水をいただき、新月水、満月水を垂らしたおふろに浸かると、清められた上に、お月様の癒しをたっぷりといただけそうです。
まとめ
- 出典:ameblo.jp拝殿
武雄神社には、4月にある例祭以外にも、厄年、転機、勝負時などに参拝するとご利益があるそうです。その際には、必ずご神水をいただきましょう。
自宅に持ち帰ったら、お風呂に足して“禊(みそぎ)パワー”をアップしましょう。武雄神社のご神水は、お清めをパワーアップし、気持ちの良いスタートがきれるようサポートしてくれることでしょう。
武雄神社概要
ご祭神 主祭神 須佐之男命
東脇宮 天照大日孁神(あまてらすおおひるめのかみ)
西脇宮 曽居茂利神 (そしもりのかみ)
例祭 御山車神事 4月15日直近の土日
住所 〒470-2332 愛知県知多郡武豊町上ケ8
アクセス JR武豊駅 北へ350m、名鉄河和線上ケ駅 南東へ600m
※記事中の一部の写真はライター本人のブログより 引用しています