今から2,000年以上前、世界最古にして最大と呼ばれる図書館がエジプト・アレクサンドリアに存在していました。世界最高の学者達が集まり、あらゆる思想や学問の原点となったとも言われていますが、5世紀には消滅してしまったため謎が多い伝説的な図書館でもあります。そのアレクサンドリア図書館を元に、「新アレクサンドリア図書館」が2001年に新設されました。本好き・世界史好きにはたまらない場所だと思います!
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アレクサンドリアについて
アレクサンドリアは、エジプトでカイロに次ぐ大都市。青い空と海が美しい、地中海の真珠とも呼ばれる港町です。
紀元前332年にアレクサンドロス大王が建設したのがこの街の始まりで、その次のプトレマイオス1世のプトレマイオス朝の時代にはエジプトの首都として発展。当時人口100万人を超える、世界的な大都市だったと言われています。
地震と地盤沈下により沈んでしまったとされる海底神殿は有名で、現在ではダイビングでその名残を目にすることができます。
アレクサンドリアは現在でも世界的な企業が多く支社を置いており、エジプト経済の中心地となっています。首都のカイロからは列車かバスで2~3時間程で、日帰りで行き来できる距離。カイロは常に賑わっていて混沌とした雰囲気がありますが、アレクサンドリアは全く異なり落ち着いたリゾートの町、という印象です。
古代アレクサンドリア図書館
新アレクサンドリア図書館を楽しむには、その元となったアレクサンドリア図書館について知る必要があります。
アレクサンドリア図書館が設立されたとされるのは、プトレマイオス1世の時代、紀元前300年。
図書館と言っても当時は印刷技術はもちろん、現在のように閉じられた「本」というものも存在しなかったため、パピルス紙に書かれた巻物のような形で資料が収集されていました。その時代でも70万点が所蔵されていたというから驚きです。
単に図書館としての機能だけではなく、学術研究所「ムセイオン(Museumの語源)」が併設され、そこにはアルキメデスやエウクレイデスをはじめとした世界最高峰の頭脳が集結して研究と発表を重ねていたとされます。
西洋科学や、天動説などの学説、多くの文化がここで生まれました。7カ国語を話す才女だったと言われているクレオパトラもここで知識を身に着けたのかもしれません。
その終焉については諸説あるようですが、紀元前47年にローマのユリウス・カエサルの攻撃で一度消失し復興、5世紀には内戦によりムセイオンとともに消滅したとされています。
新アレクサンドリア図書館
設立
新アレクサンドリア図書館は、古代の学問の中心地であった当時の栄光を再現するとして、ユネスコとエジプト政府が世界中からコンペを募って2001年に共同で建設したものです。
11階建ての巨大な図書館で、壁には世界各国の文字が記されています。
図書館内
図書館内は天井が高く、広々として開放的な空間。自然光がたっぷり入り、集中して本が読めそうです。
無料の英語ガイドツアーもあり、20分ほどでその歴史と図書館内の設備を説明してくれます。
天井は青と緑のガラス窓で目に優しい光を取り込み、壁は音を吸収する素材が使われているなどのこだわりがあるそう。入場料は70EGP(エジプトポンド/450円程)。メンバーシップ登録をすれば、国籍問わず図書館利用することができます(年会費500EGP/約3,200円)。
博物館
図書館には博物館も併設されていて、その歴史を知ることができます。
考古学博物館(Antique Museum)に展示されている、旧図書館にあったとされるモザイク画は必見です。また、古文書博物館(Manuscripts Museum)には歴史的重要度が高い古文書が集められています。
おわりに
アレクサンドリア図書館については、謎に包まれている部分も多いですが、現在私達が当然のように享受している学問の始まりは、この図書館の存在が大きく影響していることは間違いないようです。
クレオパトラが愛した美しい港町で、本に囲まれながら紀元前の歴史に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。
- 新アレクサンドリア図書館
- エジプト / その他スポット
- 住所:Al Azaritah WA Ash Shatebi, Qesm Bab Sharqi,Egypt地図で見る