小国でありながら多くの魅力にあふれた国ルクセンブルク。旧市街は、城壁と渓谷に囲まれた美しい城砦都市です。緑深いペトリュス渓谷は天然の要塞で、川や谷や岩山を利用して都市が築き上げられました。中世の香り漂う美しく静かな風景と共に、断崖絶壁に築かれた地下要塞は、ルクセンブルクの持つ異名「北のジブラルタル」という名も納得の、堅固な顔ものぞかせてくれます。1994年に、世界遺産に登録された「その古い町並みと要塞群」は、東西700m、南北900mの範囲。歩いて周れるルクセンブルクの見どころをご紹介します。
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幾多の悲劇を乗り越えてきたルクセンブルク
2,586k㎡という神奈川県と同じぐらいの大きさのルクセンブルクは、南のフランス、西と北のベルギー、東のドイツを隣接国としています。もともとローマ帝国、ゲルマン、フランク王国をつなぐ要衝だったことから、各国の侵略を受け、スペイン、フランスなどの大国に支配されてきました。
スペインとイスラムの建築様式が融合した大公宮殿、ゴシックとルネサンス様式を組み合わせたノートルダム大聖堂など、多くの建造物が、この国の波瀾の歴史を物語っています。
かつては戦略の拠点として、大国に翻弄されてきたルクセンブルクですが、1815年には、ルクセンブルク大公国として独立、第二次大戦後は鉄鋼業などで潤い、今では欧州屈指の裕福な国へと発展しました。
そんなルクセンブルクの、歩いて周れる9つの観光スポットを紹介します。
【1】ノートルダム大聖堂 (Cathédrale Notre-Dame)
ルクセンブルクを代表するカトリック大聖堂で、17世紀に建てられた当初は、イエズス会の教会として建てられました。この大聖堂では、ジャン前大公とベルギー王女ジョセフィーヌ・シャルロットの婚礼が行われた場所としても有名です。
細長く尖った尖塔が遠くからでも際立ち、ルネサンス、ゴシック、バロックをはじめ、さまざまな建築様式が混在している独特なデザインで、波乱の歴史を乗り越えてきたルクセンブルクの象徴のように感じます。
内部は見事なステンドグラスが、圧倒的な存在感を放っています。地下には、王家や歴代司祭のお墓があります。
- ノートルダム大聖堂
- ルクセンブルク / 社寺・教会 / 教会
- 住所:Rue Notre Dame, 2240 Luxembourg City, Luxembourg地図で見る
- 電話:352 22 29 70 1
- Web:http://www.visitluxembourg.com/fr/adresse/misc/cat...
【2】憲法広場 (Place De La Constitution)
憲法広場は、旧市街地の入口にある広場で、ここからは、アドルフ橋やペトリュス渓谷の素晴らしい景色を一望できます。
中央には、第一次世界大戦の戦没者慰霊碑があり、上部には金色の像があります。この像は、1940年にナチスによって撤去されましたが、1945年に戻され、今ではルクセンブルクの自由とレジスタンスの象徴になっており、ゲル・フラ(Gëlle Fra/Golden Lady)という愛称で呼ばれているそうです。
【3】ルクセンブルク大公宮 (Palais Grand-Ducal)
15世紀に市長舎として建てられましたが、1554年に爆発事故で崩壊。正面のアラベスク模様を残して大理石で再建され、1891年に大公宮となりました。
現在は大公の執務室兼迎賓館として使われています。建物壁面の彫刻には、スペイン統括時代を思わせる美しい浮彫が施されています。門扉の上部には王家の紋章も。
- ルクセンブルク大公宮
- ルクセンブルク / 建造物
- 住所:32 Rue de I'Eau, 1449 Luxembourg City, Luxembourg地図で見る
- 電話:352 32 48 38 8213
- Web:https://www.visitluxembourg.com/fr/adresse/castle/...
【4】ギョーム広場(Place Guillaume)
ギョーム広場は旧市街の中心部にあり、一角にはツーリストインフォメーション、市庁舎、ギョーム2世の騎馬像もあります。
周りにはお洒落なカフェやレストラン、土産屋店、公衆トイレもあるので、覚えておきたいスポットです。
【5】ルクセンブルク市庁舎(Hôtel de ville de Luxembourg)
ギョーム広場に面した場所に、ルクセンブルク市庁舎があります。以前は、ナポレオンによってこの地を与えられたフランシスコ会の修道院でしたが、フランス革命時にフランス軍に占領され別の地へ。
残された修道院の基礎部分を使用して、左右対称な窓が美しい市庁舎が建てられました。正面入り口には、ルクセンブルク大公国の象徴であるライオンのブロンズ像が2体置かれています。
- ルクセンブルク市庁舎
- ルクセンブルク / 建造物
- 住所:Uewerstad, Luxembourg City, Luxembourg地図で見る
- 電話:352 47 961
- Web:http://www.vdl.lu/
【6】アドルフ橋 (Pont Adolphe)
ルクセンブルクの旧市街と新市街を結ぶ重要かつ、最も有名なアドルフ橋は、1900年~1903年にペトリュス渓谷に架けられました。全長153m、高さ42mの大きな石のアーチが特徴の美しい橋です。
2017年に修復工事を終えたばかりのこの橋は、別名ニューブリッジという愛称で呼ばれており、ルクセンブルクのシンボル的存在です。
【7】シェマン・ドゥラコルニッシュ通りメルホールビスタ(Chemin de la Corniche - Melhor Vista)
上から見ると積み木を並べたような可愛らしいグルントの街並みが眼下に広がり、素晴らしい景色を楽しめます。近くはボックの砲台から、遠くは新市街地のビル群まで、街を見渡せるバルコニーのようで、観光客に人気のスポットです。
また、ここから見る夜景は特に素晴らしいと評判です。素朴で美しい街グルントまで下りることもできますので、時間があれば散策をお勧めします。
- シェマン・ドゥラコルニッシュ通りメルホールビスタ
- ルクセンブルク / 展望・景観
- 住所:Chemin de la Corniche, 1449 Luxembourg City, Luxembourg地図で見る
【8】ボックの砲台 (Casemates Bock)
もともと断崖の上にあったボックフェルゼンの岩山に、全長約20kmにわたるカズマット(地下道要塞)が巡らされたものです。
その一部、ボックの砲台は、中でも保存状態が良いとされるもので、地図を見ながら暗闇を歩き、迷路のように入り組んだ要塞の中を探検することができます。石段が多いので歩きやすい靴がお勧めです。
- ボックの砲台
- ルクセンブルク / 遺跡・史跡
- 住所:10 Montee de Clausen, 1343 Luxembourg地図で見る
- Web:http://www.visitluxembourg.com/en/place/castle/boc...
【9】サン・ジャン教会(St johns church)
グルント地区に建つサン・ジャン教会は14世紀に建てられました。細長い尖塔が特徴的で、遠くからでも確認することができます。フランス革命以前はベネディクト派の修道院として使用されていて、女子刑務所も兼ねていたそうです。
- サン・ジャン教会
- ルクセンブルク / 社寺・教会 / 教会
- 住所:Rue Münster, 1343 Luxembourg City, Luxembourg地図で見る
- 電話:352 46 20 23
- Web:https://www.lcto.lu/en/place/cultes/st-john-s-chur...
最後に
2017年11月、日本とルクセンブルクの外交関係樹立90周年を記念して、ルクセンブルクのアンリ大公と長女のアレクサンドラ王女が来日しました。大公の来日はこの時で12回目。なんと、1981年には、身分を隠してバスで日本中を旅して歩いたのだそうです。一気に親近感が増すエピソードではありませんか?緑があふれ、美しい小国ルクセンブルクへ、あなたも一度訪れてみませんか?