人吉市

【熊本】人吉で『西郷どん』ゆかりの地めぐり

取材・写真・文:

トラベルライター

2021年12月31日更新

2,399view

お気に入り

写真:トラベルライター

熊本南部の人吉市は、日本最後の内戦「西南戦争」の激戦地の一つであり、2018年NHK大河ドラマの主人公西郷隆盛ゆかりの地がいくつもあります。今回は、そんな『西郷どん』ゆかりの地を含む人吉の歴史を知るスポットをご紹介します。

この記事の目次表示

西南戦争の激戦地となった人吉

明治維新後、新政府に出仕していた西郷隆盛ですが、明治9年公職を辞め故郷鹿児島にて陸軍士官養成学校を設立しました。その学生と九州の氏族が起こしたのが、日本史上最後の内戦である西南戦争です。人吉は、1862年人吉城が火災した際、復興費と人材の援助をしてくれた恩から薩摩側に協力することとなりました。

  • 写真:トラベルライター東京上野公園の西郷隆盛像

明治10年2月、鹿児島を出立した薩摩軍は熊本に入り、熊本城を攻めますが落とすことができず、その後の田原坂の戦いで負け、撤退を開始。再起を図ろうと4月27日人吉に集結、部隊を再編制します。しかし6月1日官軍が人吉へ進攻し陥落してしまいます(西郷隆盛は陥落3日前に宮崎へ移動)。

人吉隊は降伏し、その後官軍側に参加することとなります。なお薩摩軍は抵抗を続け戦闘は宮崎から鹿児島の地へ移っていきます。そして、7ヵ月以上に及ぶ戦いの末、西郷隆盛は9月24日鹿児島の城山で自決。これにより西南戦争は終結しました。

青井阿蘇神社

  • 写真:トラベルライター楼門

創建は806年。現在の建物は1609年から4年かけて造営されたものです。本殿、廊、幣殿、拝殿、楼門と五棟一連の御社殿は黒を基調とし、桃山様式と呼ばれる技法で建てられています。その一番の特徴は茅葺屋根。一連の御社殿が同時期のものであることは大変貴重で、平成20年、熊本県内では初めて国宝に指定されました。

  • 写真:トラベルライター拝殿
  • 写真:トラベルライター御神木のクスノキ

この青井阿蘇神社の西側にある文化苑は、元々平安時代から青井阿蘇神社の宮司を務める青井大宮司家の屋敷でした。4月27日熊本から帰還した人吉隊士はここを宿舎・本部としました。

青井阿蘇神社
人吉市 / 一人旅 / 観光名所 / 神社 / パワースポット
住所:熊本県人吉市上青井町118地図で見る
電話:0966-22-2274
Web:https://aoisan.jp/

永国寺

  • 写真:トラベルライター
  • 写真:トラベルライター掛け軸のモデル(?)となった幽霊が出たと言われる池

初代和尚が描いたという幽霊の掛け軸があることから、別名「幽霊寺」とも呼ばれています。境内では、その掛け軸や、幽霊が出たという池も見ることができます。

  • 写真:トラベルライター西郷隆盛の遺蹟碑

また、人吉に着いた西郷隆盛がここを本営(宿舎)とし、33日間滞在したとされています。滞在期間中、西郷は趣味の狩猟や魚釣りをしたというエピソードが残っています。境内には、西郷の位牌や人吉二番隊士の碑等があります。

永国寺
人吉市 / 穴場観光スポット / 寺
住所:熊本県人吉市土手町5地図で見る
電話:0966-22-2458

西郷軍幹部宿舎(元新宮家屋敷・現武家蔵)

  • 写真:トラベルライター

人吉相良藩元家老の新宮家屋敷。屋敷の建物は元々、錦町(球磨郡)にあったものを新宮家が拝領し、西南戦争後に現在地に移築しました。また正面の門は人吉城から移築されたものです。

入館料300円が必要となりますが、歴史好きの方にはぜひ入ってガイドの方の説明を聞いて欲しい場所です。なぜなら、先ほどご紹介した永国寺が西郷隆盛の本営とされており、観光パンフレットなどにもそのように書かれているのですが、実は西郷隆盛が宿舎としたのは永国寺ではなくこの場所だったというのです。

司馬遼太郎の小説『翔が如く』にはっきりと「西郷の宿舎は永国寺ではない。西郷が宿舎として使ったのは新宮嘉善の屋敷でした」という記載があるということや、この新宮家の父と息子が官軍と薩摩軍に分かれて戦うこととなったエピソードなど、興味深いお話しを聞くことができます。

武家蔵
人吉市 / 建造物 / 歴史的建造物
住所:熊本県人吉市土手町35-1地図で見る
電話:0966-22-5493

人吉城

  • 写真:トラベルライター1862年の火災を機に、防火のため石垣上部に突き出しがある「武者返し」と呼ばれる西洋式石垣が採用されました。
  • 写真:トラベルライター本丸・二の丸・三の丸への唯一の登城口に置かれた「御下門」跡

人吉城は、鎌倉時代のはじめ人吉の地頭として着任した相良長頼(ながより)が築城したと伝えられています。1589年、20代相良長毎(ながつね)が石垣づくりの城として大改修しました。官軍との戦いの際、薩摩軍は三の丸辺りに大砲を持ち上げ、北側の官軍砲台が置かれた村山台地を攻撃しました。

人吉城歴史館

  • 写真:トラベルライター

相良家家老・相良清兵衛の屋敷跡に建つ歴史館では、人吉を治めていた相良氏や人吉城に関する資料が展示されています。そして、必見なのがこちらの地下。この屋敷跡から発見された石積みで囲われた井戸のある地下室の復元展示を見ることができます。このように井戸がある地下室は全国でも例がなく、行水施設とも言われていますが、詳しい用途は分かっていないそうです。地下室への入口は普段鍵が閉まっていますので、見学の際はスタッフの方にお声掛けください。

人吉城歴史館
人吉市 / 博物館 / 雨の日観光 / 歴史博物館
住所:熊本県人吉市麓町18-4地図で見る
電話:0966-22-2324
Web:https://www.city.hitoyoshi.lg.jp/q/aview/95/249.ht...

千人小屋跡

  • 写真:トラベルライター元御馬責馬場の道路沿いには、人吉城の石垣が連なっています。

人吉城歴史館と人吉城跡の間に走る道路は、御馬責馬場(おうまぜめばば)と呼ばれる幅三十メートルほどの道でした。薩摩軍が去ったあとこの場所は、戦争で被災し家を失った人たちの仮住居が建ち並ぶ避難所となりました。

人吉城跡
人吉市 / 遺跡・史跡 / 紅葉 / 穴場観光スポット / 城 / 桜の名所
住所:人吉市麓町地図で見る
電話:0966-22-2411

人吉市の旅行予約はこちら


この記事で紹介されたスポットの地図

関連するキーワード

※記事内容については、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。

あなたにオススメの記事

同じテーマの記事


全国のおすすめ鉄道博物館・資料館24選!

歴代の東海道新幹線など39両の実物車両を展示する「リニア・鉄道館」や、充実の展示内容で1日遊べる「鉄道博物館」、運転シュミレータが人気の「京都鉄道博物館」など、...


【2024】九州の人気神社TOP21!旅行好きが行っている神社ランキング

太宰府天満宮や鵜戸神宮、青島神社などをはじめとする九州の神社を、トリップノートの9万3千人を超えるトラベラー会員(2024年2月時点)が実際に行っている順に、人...

熊本デートに!カップルにおすすめのデートスポット29選

山の中にポツンとある絶景スポット・鍋ヶ滝や、馬が草原に放牧されている光景が牧歌的な草千里ヶ浜、国内でも数少ない畳敷きの崎津教会など、カップルでのお出かけにおすす...

【九州】人気のお城TOP15!旅行者に人気の城ランキング

熊本の熊本城や福岡の小倉城、佐賀の唐津城など九州エリアのお城を、トリップノートの8万7千人のトラベラー会員(2023年3月現在)が実際に行っている順に、人気ラン...

熊本のおすすめパワースポット8選!浄化のパワースポットや古代の“神の道”も

浄化のパワースポットとして人気の「鍋ヶ滝」や、大地の雄大なパワーを感じる「大観峰」、苔むした様子が異世界のような「上色見熊野座神社」など、熊本観光で訪れたいおす...

トラベルライターインタビュー Vol.3 Emmyさん

【トラベルライターインタビューVol.3】一人旅を応援する記事を多数執筆!Emmyさんならではの人気記事執筆のコツやその原動力に迫ります