日本でインドカレー屋さんに行くと、カレーにナン、タンドリーチキンというのが定番のスタイル。でもナンは発酵させる必要があるので、インド人にとってもレストランで食べるイメージで、家ではあまり食べないそうです。外国人が日本食と言えばスシでしょ!と言っているようなもの。また日本の8倍の国土面積を誇るインドの食文化は、実は地域によって全然違うそうです。インド南部では一食でご飯もパン系の主食も両方食べることが多いのですが、今回は様々な場面で入れ替わり立ち代り登場する多様な主食について紹介します。
この記事の目次表示
パパド (Papad)
主食は主な原材料と調理の仕方でおおよそ分類することができます。パパドは写真左上の丸いクラッカーのようなものです。ひよこ豆やレンズ豆を主原料とし、他のお豆や場合によって少し米粉も入ったりして、油で揚げて作られます。
スパイスも少し練りこまれているので、そのままでも味があり、パリッと軽い食感が前菜やおつまみにピッタリです。
写真は伝統的な南インド料理のコースが食べられるお店Kamat Yatrinivasでの、コースの最初に出てきたものです。スーパーに行くとブラックペッパー味やガーリック味など、バライエティもあり、家ではコンロやオーブンで少し炙って食べるようです。
- Kamat Yatrinivas
- インド / アジア料理
- 住所:10, Graphite India Main Road Hoodi Bengaluru, Karnataka 560048 India地図で見る
ロティ(Roti)
写真の右下半分を占めているのがロティ。麦の全粒粉(atta)を元に作られていて、棒で引き伸ばされているので平たく、薄いです。
ロティと次に紹介するチャパティの違いについて、インド人でも人によって意見が違うそうです。ロティもチャパティもよく家庭で作られる食べ物で、それぞれの家庭でレシピが違うことがどうも理由のようですが、大雑把には、平ぺったいパン系を概してロティ、その一つがチャパティという立ち位置のようです。
薄手なので、カレーを食べるときはヒタヒタにつける、というよりは、ちぎった生地を指でちょっとすぼめて、すくうように食べます。
チャパティ(Chapati)
写真はとある企業の社食のワンシーン。チャパティは左の大皿の左に2、3枚ほど乗っている茶色い薄手の生地のもの。麦の全粒粉と水を練った生地を伸ばして焼いて出来上がります。
日本食に例えると玄米ご飯のようなイメージでしょうか。一番インド人が主食として食べる、馴染みがあるのはチャパティのようです。ロティとチャパティは混同されやすい、と言うものの、「チャパティ」と言われて出てくるものは、ほとんどの場合、薄茶色い色をして出てくることが多いように思います。
プーリー (Puri)
写真はリベロックヴィラホテルでの朝ごはんの一部。チャパティの生地を焼かずに、油で揚げるとプーリーになります。ということで、主な原材料は麦の全粒粉です。揚げパンのような食感。
揚げているので食べるときに触るとちょっと油っぽい触感はします。でもこれもベトベトした感じではなく、さらっとしているので、重い感じではありません。
特にケーララ州では、写真の左上にも写っているじゃがいものおかず、Kappaと一緒に食べることが多いようです。黒いツブツブはマスタードの粒、赤くて長いのは唐辛子ですが、直接噛んで食べなければ全然辛くありません。
- リベロック ヴィラ
- インド / ホテル
- 住所:Kannankuzhi, Athirappally, Vettilapara P.O 680 721, Kerala, India地図で見る
- 電話:81-2930-0995
- Web:http://www.riverokvillas.com/
ドーサ (Dosa)
ドーサはお米と(主にレンズ)豆の粉を混ぜ、生地を発酵させてからクレープのように薄く伸ばして片面を焼いたものです。薄く焼き広げるのは大きめの鉄板がないとできないので、家では小さめに作って食べることが多いようです。
上の写真のドーサは生地の中に緑の豆がつぶつぶ入っており、下のドーサは中にKappaをすりつぶしたようなものが入ったマサラドーサ。「マサラ」は香辛料を混ぜ合わせたもの、ということを指すだけなので、どんなスパイスが組み合わさるかで味が全然変わってきます。マラドーサには中身が入るので、ボリューミーになります。
- エートゥビー
- インド / アジア料理
- 住所:13/10, 6th Main Rd, Macmillan Colony, Nangainallur, Chennai, Tamil Nadu 600061, India地図で見る
- 電話:44-4265-7094
- Web:https://www.aabsweets.in/home
- ホテル サチ ビハール
- インド / ホテル
- 住所:44/124, SRM Road, Ernakulam North, Kaloor, Kochi, Kerala 682018, India地図で見る
- 電話:80-891-02821
イドゥリ(Idly)
写真の右上、シルバーの器にたくさん入っているのがイドゥリです。(ちなみに写真は7人分の朝食の一部)ドーサと同じ発酵した材料をミキサーなどで細かく粉砕し、型に入れて蒸して作るので、ちょっと固めの蒸しパンのような感じです。
家庭でもよく作って食べられるようで、出来上がって手でちぎると、ボロボロとした感じになります。スープに近いような水気の多いおかずと食べるときは、イドゥリで吸うというより、よく指でイドゥリをつぶしておかずと混ぜ合わせて、どろっとさせて食べます。
プットゥ(Puttu)
写真の白いお皿に、筒状にバナナの葉っぱで巻かれているのがプットゥです。見た目はイドゥリが筒状(太巻きぐらいの太さ)になっているので、白い蒸しパンのような感じです。
作り方も手で触った時の感触もイドゥリと似ていますが、原材料がお米とココナッツの実を粉砕したものを混ぜて発酵なしで蒸しているので、味が全然違います。ココナッツが豊富なケーララ州で主に食べられています。
ちなみにプットゥの上に乗っているのは、豆を原材料にしたドーナツのような揚げ物、ヴァダ(Vada)です。小さめに作るのが主流なので、甘くはないですが、食事の時に食べたり、おやつとして食べたりするようです。
おわりに
いかがでしたでしょうか。インドの穀物自給率は100%を超えていて、スーパーに行くと、豆やお米、小麦粉が大きな樽に入って並んでいたり、棚にありとあらゆる種類が並べられていて驚かされます。
パン系のもので強烈な味がすることは、ほぼありませんし、価格も安いので、メニューに書いてあってピンときたものは想像がつかなくてもトライしてみてください。
不安な人は、カレーやおかずを決めた時に、何と食べるのがおすすめか聞いてみてもいいかもしれません。多民族のインドでは、人によって感覚や考え方が違うことが当たり前なので、質問をするのも普通で、お惣菜屋さんであれば試食も快くさせてもらえます。