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【新潟・佐渡金山】世界遺産登録目前!?江戸~昭和の佐渡島鉱業を巡る旅

取材・写真・文:

トラベルライター

2021年11月12日更新

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写真の山、真っ二つに割れていますよね?!その理由は、「金銀のために、堀り過ぎたから」です。日本海に浮かぶ佐渡島。沖縄本島に次ぐ、面積の大きな有人島として知られる佐渡島ですが、16世紀半ば、金銀が採れると噂が広まると全国各地から人が集まり始め、鉱業が栄えた街なのです。近代遺産として、佐渡金山の歴史を現代へ、また未来へと繋ぐべく、佐渡島と新潟県が世界遺産への登録活動を進めています。江戸から昭和まで続いた、佐渡島鉱業の歴史を巡ります。

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「黄金の国ジパング」由来のひとつ、佐渡島

日本はマルコ・ポーロによって「黄金の国ジパング」と表現されましたが、これは当時の日本でたくさんの金銀が採れていたことに由来します。その代表的な産地のひとつだったのが佐渡島です。

金銀が採れると耳にした江戸の初代将軍・徳川家康は、佐渡を幕府の直轄地としました。金銀山を目当てに全国各地から大勢の人が集まり、やがて日本最大の金銀山として、世界有数の産出量を誇ることとなりました。

江戸時代、佐渡で小判の精製が行われるようになり、税収は全て幕府へと流れました。その結果、江戸幕府の財政安定に大きく貢献し、最盛期には5万人が暮らす鉱業都市となりました。

  • 写真:トラベルライター現在の佐渡の街並み

それでは、この佐渡島の金銀山開発にまつわる見どころをご紹介します。

日本最大級、佐渡金山

「道遊の割戸(どうゆうのわりと)」と呼ばれる佐渡金山のシンボルが、この採掘跡です。人々が争って掘り取った結果、山が真っ二つに割れてしまいました。奇観は圧巻です。

  • 佐渡金山

佐渡金山は、坑道の総延長が約400キロメートル、最深部は海面下530メートル、採掘された鉱石は約1,500万トン。日本最大の金山です。採掘されていた期間は、16世紀末から1989年まで。比較的最近ですね!

内部は一般公開されており、宗太夫坑(そうだゆうこう)コース、道遊坑コース、ガイド付き世界遺産ツアー、ガイド付き山師ツアーの、4コース開催されています。今回は筆者の参加した、宗太夫坑コースをご紹介します。

  • 写真:トラベルライター尾根に入口が再現されています。

「宗太夫坑」とは、江戸初期に開発された手掘り坑道です。ひんやりした坑道内は、水が滴り、音が響き、まるで山師になったかのような感覚になります。

坑道内を進んでいくと、音声付き人形と、道具の再現、パネルによって、当時の山師の仕事を見ることができます。当時の技術レベルの高さに驚くことでしょう。

  • 写真:トラベルライター山師の仕事が再現されています。
  • 写真:トラベルライター

ちなみに、筆者とともにここを訪れた同行者は土木系の仕事に就いており、「どのように採掘していくか」に関してかなりの共感を抱いたようで、今回の取材の中で一番興奮していました。このようなお仕事に従事されている方にも、お勧めできるスポットです。

史跡 佐渡金山
佐渡市 / 遺跡・史跡 / 観光名所 / パワースポット
住所:新潟県佐渡市下相川1305地図で見る
電話:0259-74-2389
Web:http://www.sado-kinzan.com/

金銀精製も行った!佐渡奉行所

徳川幕府は、直轄地であった佐渡一国と金銀山を治めるために、1603年に佐渡奉行所(役所・裁判所)を置きました。これにより、佐渡は鉱業都市として統制され、大きく発展していきました。

  • 写真:トラベルライター佐渡奉行所跡

時代劇で、屋敷で役人が座敷に座り、町人が砂利に座っているシーンがありますよね?これは江戸時代の裁判シーンであり、「お白州(おしらす)」と言います。佐渡奉行所でもかつて行われていたお白州が復元されており、体験することができます。

最上部には役人が座る座敷が、対して最下段には砂利敷が設置され、その上の敷物に、原告・被告らが座りました。

  • 写真:トラベルライターお白州・役人バージョン
  • 写真:トラベルライターお白州・原告&被告人バージョンも体験出来ます。

佐渡奉行所は建立後、焼失と再建を繰り返しましたが、2000年に役所・裁判所部分を、2004年には勝場(せりば)と呼ばれる金銀を選鉱する施設を復元し、現在一般公開しています。

勝場の機能を持つ奉行所は、金銀を産出して小判の精製まで行った、佐渡独特の奉行所形態と言えるでしょう。

  • 写真:トラベルライター復元された勝場では、金銀精製体験が出来ます。
佐渡奉行所跡
佐渡市 / 遺跡・史跡 / 雨の日観光
住所:新潟県佐渡市相川広間町1-1地図で見る
電話:0259-74-2201
Web:https://www.city.sado.niigata.jp/z_ot/cultural_pro...

東洋一!近代遺産の象徴、北沢浮遊選鉱場

  • 写真:トラベルライター北沢浮遊選鉱場。右はレンガ造りの発電所です。

「まるでラピュタのよう」との声も上がるほどの、圧倒的存在感を放つ選鉱場跡です。高低差のある地形をうまく利用し、発電所やシックナーなどが密集しています。

  • 写真:トラベルライターシックナー。泥状の鉱石と水を分離する施設です。

1885年、西洋技術の導入と日本独自の技術革新によって、原型となる選鉱・精錬施設が建設されました。1938年からは国を挙げての金の大増産が始まり、やがて「東洋一」と呼ばれる、月間7万トンの鉱石処理が可能な北沢浮遊選鉱場が建設されました。

  • 写真:トラベルライター高低差をうまく使った設計が見事ですね。

建物の間近まで近づいて眺めることが可能です。佐渡の自然との調和、そして近代遺産としての価値を、様々な角度から実感することができます。廃墟マニアの方へも、ぜひおすすめしたいスポットです!

  • 写真:トラベルライター
北沢浮遊選鉱場跡
佐渡市 / 遺跡・史跡 / インスタ映え / ツーリング / パワースポット
住所:新潟県佐渡市相川北沢町3地図で見る
電話:0259-74-2389

佐渡金山を、世界遺産に!

佐渡で確立された鉱山技術や経営方法は、国内各地の鉱山開発にも大きな影響を与え、日本の近代化の一翼を担いました。その歴史を伝えるべく、2011年、「金を中心とする佐渡鉱山の遺跡群」として、ユネスコ世界遺産暫定リストに記載されました。

世界遺産への登録を応援すべく、一度佐渡島へ旅行するのはいかがでしょうか。

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