今ではすっかりビーチリゾート地として定着しているサイパン島。しかし、太平洋戦争中の日本軍とアメリカ軍の戦地として、様々な爪痕が残されている島でもあります。島内観光ツアーでは、たった数時間のツアーにもかかわらず、戦争の歴史を知ることができ、サイパンと日本の思いもよらない結びつきを感じることができます。
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ビーチリゾートとして人気のサイパン
サイパン島は、アメリカ合衆国の自治領である北マリアナ諸島の中心的な島。年間を通じて温暖な気候で、一年中海水浴を楽しむことができます。また、日本から直行便で約3時間30分と近いことから、日本人に人気のリゾート地としても知られています。
サイパン半日ツアーで戦争の爪痕を知ろう
効率よく島内を巡りたい!という方には、ツアーへの参加がおすすめです。今回ご紹介するツアーは「PACIFIC DEVELOPMENT INC.」のサイパン半日観光&ショッピングツアーで、参加費用は一人約$30(約3,350円)。サイパン北部の名所を巡り、最後にTギャラリアという免税店で解散する流れです。
このサイパン半日ツアーでは、海だけではないサイパンの魅力を、日本語ガイドが案内してくれます。太平洋戦争時の激戦地だったこともあり、日本になじみのあるスポットも多く存在します。
サイパン島での戦いは、1944年6月15日から7月9日にかけて行われました。この戦いにより亡くなった方は、民間人だけでも約1万人にもなったそうです。また、サイパン島北部で集団自決した方の中には、「この海を渡れば日本がある」という思いで身を投げたという方も少なくなかったようです。
ツアーでは、今でも戦争の痕跡を感じるスポットを複数訪れます。ツアーで巡る主な見どころを早速ご紹介していきましょう。
バンザイクリフ
太平洋戦争時、アメリカ軍との激しい戦いにより、多くの日本兵や民間人がサイパン島最北端プンタン・サバネタまで追い詰められました。捕虜になるよりはと自ら死を選び、「バンザイ」と叫びながら、この先の崖からたくさんの人が飛び降りたと言われています。
こうした経緯から、ここにはたくさんの慰霊碑が立ち並んでいます。
スーサイドクリフ
バンザイクリフから見上げると、マッピ山という大きな山があります。この山頂近くの断崖がスーサイドクリフと呼ばれており、バンザイクリフと同様に、多くの人が身を投げたと言われています。スーサイドとは英語で自殺という意味です。
スーサイドクリフの麓まで来ると、JAPANESE PEACE MEMORIAL(日本平和記念碑)という看板があります。ここには日本政府が建立した慰霊碑があり、北マリアナ諸島・アメリカ合衆国・日本の国旗が掲げられています。
ラストコマンドポスト
旧日本軍最後の司令部が置かれた場所です。ここには、戦時中に使用された多くの大砲や戦車が残されています。錆びて朽ちていますが、あまりの迫力に圧倒されてしまいます。
ラストコマンドポストとは最後の司令部という意味。ここには、司令部として実際に使用されていた洞窟があり、中にも入ることもできます。自然の洞窟状のくぼみをコンクリートで固めたというトーチカには、弾丸の大きな穴や実弾の跡などが多く残っています。この場で、陸軍や海軍の中将たちが自決したと言われています。
- ラストコマンドポスト
- 北マリアナ諸島(サイパン) / 遺跡・史跡
- 住所:Last Japanese Command Post,Saipan,96950,北マリアナ諸島地図で見る
おわりに
サイパンには、素敵なビーチやトロピカルな観光スポットがたくさんあります。しかし、遠く離れた南の地には、こんなにもたくさんの戦争の爪痕が残っているのです。多くの方が戦争で犠牲となった場所であるいうことを、私たちは忘れてはいけません。サイパンで、美しい島を舞台とした凄惨な歴史に触れてみませんか。
(※通貨レートは2017年9月現在のものです。)