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【バンコク・マハナガ】モダンタイ料理の老舗中の老舗へ

取材・写真・文:

Madam Satoko
タイ在住

2017年1月16日更新

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老舗、とは何でも「なんとなく敷居が高そうな感じ」と思う方も多いのでは。でも、実際に「どこがそういう気がするの?」と聞くと「うーん、わからない、なんだかそんな感じ」となり、よく聞くと、チェックしたこともないのに「きっと値段が高いだろう」と思っていることが多いようです。今回は、バンコクのモダンタイ料理の先駆けであり、老舗なのにお得感すら感じさせる、創業当時から不動の人気を誇るレストラン・マハナガを紹介します。

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何度来てもエキゾチック感あり

2000年からモダンタイ料理の王座に君臨する一軒家レストラン

マハナガは2000年より営業している、バンコクの中でも非常に有名な一軒家レストランです。

創業当時から、レストランらしいレストランといえばホテルかここ、というぐらい最先端のレストランでした。私自身、丁度タイへ初めて来てバンコクの事情を色々垣間見ていた時期で、日頃はタイ風ラーメンや屋台の掛けご飯ばかりでした。

その時は機会がなくて訪問しませんでしたが、当時既にこのセンスだったと思うと、その先見性はすごいと思います。

バンコク屈指の素敵なウエイティングバーとメインダイニング

このお店を、10年以上ぶりに訪問してみました。 以前と変わらず、まずはウエイティングバーへ。

前回訪れた時は、まだまだまともなレストランが少なかった時期でした。こういった作り自体はヨーロッパで見慣れていましたが、「タイにもこんな素敵なところがあるのか!」と感嘆したものです。

そしてメインダイニングへ。先見性があるなと思うのは、1つはエアコンが効いてエキゾチックな内装を施してある部屋、そしてもう1つはオープンエアの中庭です。

2000年当時のタイでは、「エアコンのない場所での食事は、屋台と同じ」ぐらいの扱いでした。しかしマハナガは、その当時から、野外で自然の風に当たりながらゆったりと会話や食事を楽しむ、ということを実践していました。

今では、エアコンのない庭でゴロゴロしながら飲んだり食べたりすることが、オシャレダイニングとして定番化しているバンコク。こうしたレストラン事情を見ると、やっぱりマハナガの先見性はすごいなあと改めて思います。

さて、そんな老舗の先見性は、料理にも現れているでしょうか。

随所に光る老舗の先見性

「創業当時からの伝統を守りつつ、かといって固執しすぎない」というレシピをうまく実践できているところは、やはり老舗ならでは。「ここまでは守る、それ以降はどんどん改善していく」という経験が長い実績の中に何度もあり、それを重ねてきたからこそでしょう。そうやって、バンコクの外食市場での激戦を戦い、勝ち残ってきたわけですから。

光る老舗の先見性①:テナガエビと焼きナスの併せ、260THB

タイでは、お肉も魚介類も完全ウエルダンになるまで火を通します。あらゆる食材が傷みやすい気候であることが理由であり、完全に火を通して食べるという食文化が定着しているのです。

冷蔵設備が発達した現在では、お寿司やレアステーキを好んで食べるようになりましたが、通常のタイ料理は完全ウエルダンで出てきます。

そんな中、「昔から食材の鮮度維持や保管に細心の注意を払い続けてきた」というマハナガの姿勢がわかるのが、こちらのお料理。テナガエビの表面のみに軽く火通しをし、甘みを引き出している一方、中はほぼレア。

食材の良さを、丁度よい火加減かつ調理法で最高点まで引き出している、とても良い例です。

光る老舗の先見性②:タラのターメリックソースがけ、650THB

常夏であるタイの海は、年中海水浴ができるほどの水温。例えて言うなら、ぬるいお風呂ぐらいの温度で、餌となるプランクトンが自然に丁度良いぐらいの数まで増えます。こうなると、魚は体温温存に困らず、食べるものにも不自由しません。つまり、脂肪分がない魚が大半となるのです。

脂ののった魚は、日本をはじめとした寒冷地からの輸入がメインです。タラは外国産であっても、そのおいしさや品質の高さを認めて採用しつつ、色と味、そして香り面ではエキゾチック感を演出するターメリックソースを使用。外国産素材が、見事にタイ風になっています。

このように、「良きは良きと認め、どのように自分の物として昇華させるのか」という工夫が見られる点は、老舗の経験に裏打ちされた技だと思います。

光る老舗の先見性③:ソフトシェルクラブ のスパイシーアップル添え、280THB

南国のフルーツというと、甘く完熟したものが思い浮かびますが、タイでは未熟な物も野菜扱いで食べることが多くあります。

ご存知の方も多いと思いますが、ソムタムというタイ風青パパイヤピリ辛サラダは、その代表。タイ風焼き鳥ともち米を引き連れた3点セットで登場するものです。

パパイヤは、酵素たっぷりで健康と美容に良いと日本でも知られていますが、その酵素の効能の1つに「お通じ改善」があります。

これが人によってはお腹が緩くなる現象としてあらわれ、その上ピリ辛のお料理ででますます緩くなるという、「おいしいのに、人によってはダブルパンチ」となってしまうこともあります。

老舗ではさすがです。写真で見ていただけますが、青パパイヤの代用に青りんごを使い、食感や見た目は青パパイヤ感を踏襲。赤りんごも併用して食感を維持、彩は辛子が入っているようにしています。

このように、「お客様の体調へ配慮しつつ原型を損なわない」という老舗の気遣いが、食材の選び方によく現れています。味付けはほんの少しのピリ辛で、辛いものが苦手な方にも十分楽しんでいただけるものです。

カニはタイでもよくとれますが、固い甲羅の物は食材としていろいろ課題があります。甲羅を割る手間や手が汚れる手間のほか、食べる際には、鋭くなった甲羅の破片で口や手を切ったりすることもあります。

老舗では、こういった手間がかからず、なおかつ一片も残さず食べられるソフトクラブシェルを採用。丸ごと揚げてあり、見た目も豪華。ソムタムは通常鶏のから揚げと出てきますが、「せっかくなのでタイのおいしくお得な食材であるソフトクラブシェルを」というアイデアも見えています。

光る老舗の先見性④:ドリンク

右:パンチ、210THB
左:エアフォース、210THB

タイのレストランで食事をする時の飲み物は、その昔はビールか、フルーツと氷をミキサーにかけたものが一般的でした。

老舗では、昔から「タイのドリンクはそれだけではない」という姿勢で新作と改良を重ねており、見た目が美しいこと、誰もが好む味であること、そして「食事が辛かった時のフォロワー」として機能性にも優れたドリンクを生み出しました。

写真左のAir forceは特におすすめです。ちょっと酸味があり、南国の気温によるどことなくとも何となく感じる疲れを癒してくれるような感じです。

老舗だと恐れることはない

価格はそれぞれに書いてきました通り、バンコクのタイ料理レストランとしては至ってまっとうな価格です。これも、実力が伴っていないのに価格ばかり釣り上げて短期間で閉鎖してしまう他店へのオマージュかもしれません。

かなり多くのバンコクのタイ料理店を訪問している私でも、この価格かつ老舗ならではの技や気遣いがあちこちで発露しているのを見ると、「かなりお得だ」と思います。「老舗」という敷居が高そうなキーワードに振り回されず、マハナガの真髄をぜひ楽しんでください。

マハナガ
スクンビット通り / アジア料理 / 居酒屋・バー
住所:2 Sukhumvit 29, Khlong Toei Nuae, Watthana, Bangkok地図で見る
電話:02-662-3060
Web:http://www.mahanaga.com/

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