国民の9割以上が仏教徒であるタイ。実は寺院の数だけを比べると日本の方が圧倒的に多い(タイ:約3万、日本:約7万6千)のですが、信仰心の厚さや、あらゆる場所が観光名所になっていることもあり、「タイといえばお寺」という認識が強いかと思います。しかしその数あるお寺の中に、我々の想像を遥かに超えた「地獄寺」がいくつかあるのをご存じでしょうか。今回はチェンマイの地獄寺をご紹介いたします。
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チェンマイの中心地からは約18km
ワット・メーゲットノーイ(Wat Mae Kaet Noi/Wat Si Don Chai Pa Tung Ngam※なぜか二つ名前あり)までは、例えば旧市街のターペー門からだと車で約30分かかります。ソンテオ(乗り合いタクシー)やレンタルバイクなどを利用しましょう。
入場は無料のようです
写真は筆者が使った入り口なのですが、10バーツ硬貨を投入しないと入れません。ただ後で調べた結果、どうも本来の入り口は別にあり、無料で入れるようです。これが何であったのかは未だに謎ですが、入場の際には本来の入り口を探してみてください。
それでは奈落の底を見てみましょう
地獄はサンスクリット語で「ナラカ」→「奈落」と言い、つまり奈落の底というのは地獄の底という意味です。
仏教では解脱(悟りを開く)をしない者=迷いのある者は六道(天道、人間道、修羅道、畜生道、餓鬼道、地獄道)と呼ばれる「苦しみに満ちた世界」を輪廻するとされています。
ちなみに日本(大乗仏教)と違い、タイの仏教(上座部仏教)においては出家し厳しい修行を積んだ僧侶のみが解脱すると考えられており、一般信者は出家者にお布施をしたり戒律を守ることで徳を積み、六道の下位に行かないよう勤めます。
そして徳を積まず、悪業を積めば報いとして地獄に堕ちる(自業自得)わけで、地獄寺はこのような悲惨な状況を再現することによって、善い行いをしなさいと伝えています。タイ人は子供も連れてきて見せるそうです。
この女性は看病されているように見えますが、周りに座っている人達はなんだか楽しそうです。前世での悪業の仕返しでしょうか。仏教の考えからすると、現在人間道にいる私達の前世はそこまで悪くなかったということになりますね。
多くの日本人同様タイ人もお酒が大好きですが、実は仏教の5つの戒律(殺さない、盗まない、不道徳な性行為をしない、嘘をつかない、酒を飲まない)に反します。酒は身を滅ぼすとも言いますし、飲みすぎには注意しましょう……。
こちらは釜茹で地獄。こんなに辛いなら現世でたくさん善いことをしよう!と思えてきます。しかしどれも細部まで丁寧に作られていて、もうこれは立派な美術品です。
「WE CAN CHANGE」の文字の上に描かれた赤と黄のシャツを着ている人達。タイの政治混乱から生まれた、いわゆるタクシン派(赤)と反タクシン派(黄)で、残念ながら現実世界では対立しており、絵とは真逆の関係です。このように、平和を願う僧侶の思いが込められた作品を見ることもできます。
今回載せた写真の他にももっとショッキングな地獄を見ることができるワット・メーゲットノーイ、お金を入れると動く仕掛けもたくさんあるので、10バーツ硬貨を持って、直接足を運んでみてください。
- ワット・メーゲットノーイ
- チェンマイ / 社寺・教会
- 住所:Highway 1001, Tambon Pa Phai, Amphoe San Sai, Chang Wat Chiang Mai地図で見る