音楽の都プラハに行ったらぜひ見たいオペラ『ルサルカ』。ルサルカとは、森の奥深くに住む水の精霊の名前です。…ルサルカは人間に恋し、声と引き換えに、魔女に人の姿に変えてもらいます。裏切りがあれば死ぬという条件付きで…ここまではアンデルセンの『人魚姫』のような話ですが、結末はもっとドラマチック。そんな話を優雅な音楽でオペラにしたのが、チェコを代表する作曲家・アントニン・ドヴォルザーク(Antonín Dvořák)です。ゆかりの地を訪ねて、スラブ神話にも出てくる『ルサルカ』の世界に浸ってみませんか?
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音楽の都プラハで感激のオペラ『ルサルカ』観劇!
プラハが愛する作曲家ドヴォルザーク
音楽の都として名高いプラハの人たちが愛してやまない作曲家、それがドヴォルザークです。
チェコの首都プラハ近郊の村で生まれたドヴォルザークは、国際的な名声を得て、アメリカに渡り、交響曲第9番『新世界より』など数々の曲を作りました。そしてチェコに戻ってからはオペラ制作にも力を入れるようになります。
スラブ神話を元に書かれたオペラ『ルサルカ』
そのドヴォルザーク作のオペラの一つが、1900年に書かれた『ルサルカ(Rusalka)』。古代スラブ神話の水の精霊をモチーフにしたというオペラです。
第一幕で流れるアリア『月に寄せる歌(Song to the Moon)』は、人間に恋したルサルカが自分の思いを「彼に伝えて」と月に託す美しい曲です。
洗練された旋律と幻想的な舞台演出のオペラは、まるで夢物語を見ているよう。チェコ語ですが、いつの間にか『ルサルカ』の世界に引き込まれること間違いなしです。
いざ、『ルサルカ』誕生の地・ヴィソカーへ
華やかな都会から簡素な田園へ
時間があれば、プラハから60kmほど南にある小さな村ヴィソカー(Vysoka)を訪ねるのがオススメです。
車を走らせていると、プラハの都会的な華やかさが嘘のように、簡素な田園風景に一転します。麦畑が広がり静かで自然豊かなこの場所は、ドヴォルザークが愛した土地です。
麦畑のすぐ近くの林にたたずむ記念碑。この地で作曲活動に励んだドヴォルザークと作品の名前が刻まれています。
『ルサルカ』はもちろん、『ユーモレスク』や『スラブ舞曲』など、様々な曲をここで作りました。確かに風になびく麦の穂を眺めていると、何か新しいアイデアが出てきそうです。
ここが、ドヴォルザークが過ごしたとされる家「ヴィラ・ルサルカ(Villa Rusalka)」。門には「ルサルカ(RUSALKA)」の文字が…『ルサルカ』は特別な思い入れのあった作品だったのかもしれません。
当時のまま!ドヴォルザーク記念館
『ルサルカ』を制作する時、ドヴォルザークがインスピレーションを受けたとされる場所があります。そこは義兄・カウニッツ伯爵のお屋敷、現在はドヴォルザーク記念館になっているところの敷地内です。
門を入ると遠くまで道が続いています。一本一本が太くて立派な木々…雄大な並木道を進みます。
道なりに進むと別のドヴォルザーク記念碑が見えてきます。
さらに進むと、木々の緑と芝生のグリーンにマッチしたクリーム色のおしゃれな建物が見えてきます。それがドヴォルザーク記念館。
家族写真や直筆の楽譜が保存され、ピアノや調度品も当時のまま。タイムスリップしたような気分を味わえます。
ルサルカに出会えるかも?神秘的な沼へ
ドヴォルザークの散歩道だったといわれる敷地内は木々に囲まれ、とても静か。
奥まで延びる小道を進むと水が流れる音が聞こえてきます。何かが浄化されていくような気持ちよさです。
少し進むと小さくて神秘的な沼が見えてきます。水草や森の緑が反射しているのか沼の色は深い緑。水の精霊が出てきそうです。ここがドヴォルザークが『ルサルカ』のインスピレーションを受けたという場所。
水の精霊でありながら、人間に恋をしたルサルカ。この景色を見ながらプラハで見た『ルサルカ』を思い出すと、また違った気持ちになるかもしれません。
関連情報
プラハの劇場における『ルサルカ』予約サイト
ルサルカは、プラハのいずれかの劇場で公演していることの多い演目ですので、ぜひ、探してみてください。
https://www.pragueopera-tickets.com/search/jp
ヴィソカーのドヴォルザーク記念館(Památník Antonína Dvořáka)
- 開館時間
・1〜3月、11・12月(火〜金曜日) 10〜15時
・4〜6月、9・10月(火〜日曜日) 10〜16時
・7・8月 (火〜日曜日) 10〜17時
※時間よりも早く閉まることがあるので、遅くても閉館時間の1時間前には入っておくと安心です。
- 閉館日 毎週月曜日、12月23日〜31日と1月1日
- ドヴォルザーク記念館(ヴィソカー)
- チェコ / 博物館・美術館
- 住所:Vysoká u Příbrami 69地図で見る
- Web:http://www.antonindvorak.cz/en/