ひがし茶屋街は金沢を代表する観光地ですが、その周りを囲む卯辰山山麓寺院群(うたつやまさんろくじいんぐん)へ足を運ぶ人は少ないようです。土塀や石積みに囲まれた風情のある景観と、迷路のように入り組んだ小路が続く町並みの中に約50もの歴史ある寺院・神社が点在する、見どころが満載の裏スポットをご紹介します。「心の道」と名付けられた静かな散策ルートをゆっくりと楽しんでみてはいかがでしょうか。
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迷路のように続く「心の道」
国の伝統的建造物群保存地区に選定されている卯辰山山麓寺院群。金沢城から見て北東(鬼門)にあたるこの地域に、厄除けと防衛のため加賀藩が寺社を集めたと言われています。
敵の侵入を遅らせるために作られた迷路のような入り組んだ細い道は、現在「心の道」と名付けられ、史跡めぐりの散策ルートとなっています。
各所に案内板は設置されていますが、現在地を見失いやすい複雑な道のため、地図やナビアプリがあると安心です。それほど広い地域ではないので、どこへたどり着くのか楽しみながら迷い歩いてみるのもいいかもしれませんね。
「心の道」 魅力的な寺社の紹介
心の道には大小様々な約50もの寺社が点在しています。全てを見て回ると一日かかってしまうので、今回は特に見どころの多い寺社を厳選してご紹介します。
心蓮社(しんれんしゃ)
金池山と号し浄土宗に属する心蓮社。
門前のお地蔵様のうち、向かって一番左側のお地蔵様は「歯痛の地蔵尊」と呼ばれ、歯痛止の護符を配っていたこともあるそうです。
緑と池に囲まれた境内ではカエルの声だけが響き、静かな時間を過ごすことができます。
心蓮社には平安時代末期頃のものとされる「目開きの阿弥陀」(阿弥陀三尊来迎図)が安置されている他、本堂裏の「めでた造り」といわれる遠州流庭園や、芭蕉十哲の一人・立花北枝、俳人・高桑蘭更の墓などもあります。
全性寺(ぜんしょうじ)
妙具山と号し日蓮宗に属する全性寺。
紅殻(ベンガラ)塗りの二階建て山門は「赤門(あかもん)」とも呼ばれる金沢市指定文化財です。
山門に構えるたくましい仁王像にあやかり、健康や健脚を願って多数のわらじが奉納されています。
筆者が訪れた際には、山門を眺めていたら住職が声をかけてくださって、本堂の中を案内していただきました。
安産・安育守護の神として信仰されている、お釈迦様の母、摩耶夫人(まやぶにん)。この像では右脇からお釈迦様が生まれている姿が表わされています。
どの角度から見ても目が合うと言われている愛染明王(あいぜんみょうおう)像。心にやましいことがあると、この目を怖く感じるそうです。
その他にも、寅退治をする加藤清正公の絵画や、1,500年前に石に彫られたというお経を写し取った拓本など、博物館のように歴史的な品々が並んでいます。住職が丁寧に説明をしてくれますので、ぜひ声を掛けて本堂を見学してみましょう。
- 全性寺
- 金沢市 / 寺 / 紅葉
- 住所:石川県金沢市東山2-18-10地図で見る
- 電話:076-252-8404
- Web:https://zenshoji-k.jimdo.com/
妙国寺(みょうこくじ)
日向山と号し日蓮宗に属する妙国寺。
妙国寺の山門は卯辰山山麓寺院群の中で建立時代の明確な最も古い門で、金沢市指定文化財となっています。
独特な丸い宝珠の形をしている大黒堂には日蓮作と伝えられる大黒天像が安置されています。
その他に、境内には「洗い仏」(浄行菩薩)があります。
お堂の入口に背中を向けて立っている観音様の正面に回りお参りしてから、自分の体の治したい部分と同じ所を備え付けのたわしでこするとご利益があると言われています。