紀の川市

和歌山の名刹【粉河寺】で立派な建造物や庭園を鑑賞しよう

取材・写真・文:

奈良在住
訪問エリア:25都道府県

2021年3月29日更新

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写真:ゆきたか

和歌山県紀の川市の粉河寺は、770年に創建された歴史ある寺院。境内の大門や中門、本堂といった建物は、どれも大きく立派で、圧倒されるような迫力です。国の名勝に指定されている庭園もあるので、散策してみてはいかがでしょうか。

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粉河寺とは

  • 写真:ゆきたか

粉河寺(こかわでら)は、和歌山県紀の川市にある寺院です。宝亀元年(770年)に、大伴孔子古(おおとものくじこ)によって創建されたといわれており、日本最古の観音巡礼「西国三十三ヶ所」の第三番札所でもあります。ご本尊として、秘仏の千手千眼観音菩薩が祀られています。

境内には、いずれも重要文化財の大門、中門、本堂といった建物が立ち並ぶほか、巨石と樹木を組み合わせた独特の庭園もあり、見どころが多いです。また桜の名所としても知られており、春には多くの観光客が訪れます。

境内を散策しよう

大門

  • 写真:ゆきたか粉河寺の大門

JR和歌山線の粉河駅から、北に延びる通りを進むと、朱塗りの大きな楼門が見えてきます。宝永4年(1706年)の建築とされる大門です。和歌山県では、高野山や隣の岩出市にある根来寺に次ぐ大きさを誇り、重要文化財にも指定されています。

  • 写真:ゆきたか

門の両脇には、金剛力士像が鎮座しています。仏師春日の作と伝わる仏像は、桂の巨木で作られているそうです。鋭い目つきでこちらを睨みつけるようにも見え、高さもあるので、とても迫力があります。

中門

  • 写真:ゆきたか

中門は、大門から本堂に至る回廊にある楼門です。建立は天保3年(1832年)と、大門よりは新しく、やや小ぶりですが、良質な欅で造られている門は、重厚さも感じられます。

こちらには、「風猛山」と書かれた額が掲げられています。これは、この粉河寺に付いている山号(称号)なのですが、紀州徳川家十代藩主の治宝(はるとみ)の直筆によるものだそうです。

名勝 粉河寺庭園

  • 写真:ゆきたか傾斜を利用して作られた粉河寺庭園。サツキや松、ソテツなどの植物も植えられている。

さらに進むと、本堂が見えてきますが、その前に庭園があるので注目してみてください。粉河寺庭園は、桃山時代に造られた枯山水庭園です。大きな石組にサツキ、ソテツ、松が植えこまれた珍しいもので、国の名勝にも指定されています。

  • 写真:ゆきたか

筆者は秋に訪れましたが、毎年5月下旬から6月上旬頃には、ピンク色のサツキが咲くので、華やかな印象の庭園になるのではないでしょうか。

本堂

  • 写真:ゆきたか粉河寺の本堂。礼堂と正堂が連結され、独特の形となっている。

庭園の横の階段を登ると、本堂が建っています。現在のものは、享保5年(1720年)に再建されたものですが、西国三十三ヶ所の中で最大とされる建物は、非常に立派で存在感があります。

こちらは、礼拝や読経のための「礼堂」と、寺院の中心の建物である「正堂」が結合しているのですが、前者が一重屋根、後者が二重屋根で、それらが合わさった構造はとても珍しいのだそうです。

千手堂

  • 写真:ゆきたか

千手堂は、本堂左手にある建物です。宝暦10年(1760年)の建築とされる宝形造りの屋根で、細部の建築様式は、本堂と似ている部分があるそうです。正面には千住観世音菩薩が安置され、両脇には、紀州歴代藩主やゆかりの人物の位牌が祀られています。

粉河産土神社

  • 写真:ゆきたか粉河寺の境内にある粉河産土神社。

本堂と千手堂の間にある階段を登ると、粉河産土神社(こかわうぶすなじんじゃ)があります。こちらは、紀の川市粉河地区や粉河寺の氏神であり、境内には、江戸時代中期のものとされる春日造りの美しい社殿が建っています。毎年7月には、紀州三大祭りの粉河祭りが行われ、多くの人で賑わいます。

粉河産土神社
紀の川市 / 神社
住所:和歌山県紀の川市粉河2788地図で見る
電話:0736-73-2415
粉河寺
紀の川市 / 寺 / 桜の名所 / ツーリング / サイクリング
住所:和歌山県紀の川市粉河2787地図で見る
電話:0736-73-4830
Web:http://www.kokawadera.org/

飲食や買い物を楽しもう

粉河寺の境内や門前には、土産物を販売するお店があります。地元の郷土料理を味わったり、特産の果物を購入することができるので、散策後などに立ち寄ってみましょう。

蟹井土産物店

  • 写真:ゆきたか粉河寺境内にある蟹井土産物店。軒先には、自家栽培の果物が並んでいる。

蟹井土産物店は、粉河寺境内の大門付近にある土産物・飲食店です。瓜やナスといった野菜を入れて熟成させた「粉河寺みそ」や、自家栽培の果物を販売しています。特に果物は、新鮮な柿やみかん、はっさく、キウイフルーツ、桃などが、一年を通して販売されており、観光客に人気です。

  • 写真:ゆきたか

こちらの店内では、うどん、そばなどの軽食をいただくこともできます。麺類では、梅おぼろうどん・山菜うどん(各550円 ソバもあり)、よもぎうどん(600円)などがおすすめです。

  • 写真:ゆきたか彩りも良い「梅おぼろうどん」は、肉厚の梅干しが美味しい。

筆者は、梅おぼろうどんをいただいてみました。錦糸卵や北海道産のおぼろ昆布、しいたけといった具材が盛り付けられており、彩りも豊かです。やや大きめで肉厚の梅干しが入っており、さっぱりとした味で美味しくいただけます。

  • 写真:ゆきたか和歌山、奈良名物の柿の葉寿司。酢飯にサバの切り身を乗せた押し寿司で、柿の葉に包まれているのが特徴である。

和歌山県北部や奈良県吉野地域の名物「柿の葉寿司」(450円)や、川魚を使った郷土料理「じゃこ寿司」(600円)もあるので、麺類とともに味わっても良いでしょう。筆者が訪れた際には、じゃこ寿司は売り切れていましたので、早めに訪れると良いかもしれませんね。

ほかにも、甘酒(400円)、ぜんざい(500円)などの甘味もあります。散策の後に立ち寄って、休憩するのも良さそうです。

蟹井土産物店
紀の川市 / おみやげ屋 / うどん / そば
住所:和歌山県紀の川市粉河2308-2地図で見る
電話:0736-73-4201

観光特産センターこかわ

  • 写真:ゆきたか

観光特産センターこかわは、粉河寺門前にある土産物店です。建物は、1階が特産品の売店、2階が観光PR施設となっています。

売店には、地元の銘菓や雑貨などが所狭しと並んでいます。その中でもおすすめは、自社製造の「はっさくプーロ」です。地元名産の柑橘「はっさく」を使った焼き菓子で、パリッとした食感と、はっさくのほろ苦さが特徴となっています。地元の果物を使ったフルーツ大福も美味しいですよ。

カフェコーナーも設置されているので、散策後に一息つくのに適しています。コーヒー、しょうが茶、ゆず茶のほか、各種ソフトクリームもありますよ。

観光特産センター こかわ
紀の川市 / おみやげ屋
住所:和歌山県紀の川市粉河2046-1地図で見る
電話:0736-73-8500

この記事を書いたトラベルライターから一言

  • 写真:ゆきたか

以前より気になっていた、粉河寺を訪ねてみました。大門や本堂といった建築物は、想像していたよりも立派で、街の風景にも溶け込んでおり、とても良い場所だなと感じました。門前のお店は少なめですが、周辺には2つの道の駅(青洲の里紀の川万葉の里)もあるので、ドライブコースに組み入れてみてはいかがでしょうか。(ゆきたか)

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この記事を書いたトラベルライター

奈良在住 日本酒好きなブロガー&ライター
半日でも時間があれば、どこかへ出かけたい性格です。行ったことのない街やカフェ、公園などに出かけ、お気に入りの場所を増やしていくことを楽しんでいます。日本酒が好きで、旅先では必ず地酒を買い求めます。公共交通機関を使って旅行やお出かけをすることも多いので、列車などでの旅を楽しみたいという方の参考になるような記事も書いていきたいと思っています。
http://odekake-ks.jugem.jp/

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