イランといえば、「怖い」?でも、実際に訪れればそのギャップに驚くはず。歴史豊かな史跡、美しいモスクや異国情緒漂うバザールに雑貨など、旅の魅力がいっぱいです。知れば行きたくなる、イランでのおすすめの過ごし方を紹介します。
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1. フォトジェニックなイスラム建築を見よう!
イランといえば美しいモスクや神学校などの建築物が有名です。11世紀から次第に使われるようになった、釉薬(ゆうやく)タイルの装飾が印象的です。以下に、フォトジェニックなイスラム建築物をいくつか紹介します。
イマーム広場の建築物(Meydane Emam)
16世紀にイランを統一したサファヴィー朝のアッバース1世は、エスファハーンを首都に定めました。見どころの多いエスファハーンの中でも、もっとも有名なのがこの「イマーム広場」です。「エスファハーンは世界の半分」という称賛の言葉がありますが、主にこの広場のことを指していると言われています。
長方形の広場の四方にはエスファハーンを代表する4つの建築物が位置しており、広場を囲む屋根付きの回廊には工芸品や土産を売る店が立ち並んでいます。かつての大帝の栄華を伝える広大な広場を眺めながら、お土産屋を冷やかして歩くのも贅沢な時間です。
広場の中央には噴水があり、夕方になると芝生の上で敷物を広げてピクニックをする多くの家族連れの姿が見えます。
マスジェデ・エマーム(Masjede Emam)
広場の南側に位置する建築物。アッバース1世の命によって1638年に完成しました。サファヴィー朝時代の美と技術の粋を結集した建築物です。
精緻なタイル装飾、ドームのデザイン、音響構造と、どこをとっても見どころばかりです。
中央礼拝堂の天井にはタイルの幾何学模様がびっしりと施され、その美しさに時間を忘れてしばし立ち尽くしてしまいます。
- マスジェデ・エマーム
- イラン / 社寺・教会
- 住所:Masjede Emam, Abbasi Great Mosque Isfahan Province, Isfahan地図で見る
マスジェデ・シェイフ・ロトゥフォッラー(Masjede Sheykh Lotfollah)
広場の東側に位置するのが、このマスジェデ・シェイフ・ロトゥフォッラー。先のマスジェデ・エマームと並ぶ、イマーム広場の代表的建築物のひとつです。
マスジェデ・エマームが青を基調としているのに対し、こちらは遠目からも確認できる黄金色に輝くドームが印象的です。王族だけが使う寺院となっており、マスジェデ・エマームと比べると小規模ではありますが、華やかで気品を感じられます。
ドームの天井は、このように黄色をベースとしたタイルで稠密なモザイク模様が施されており、まさに息をのむような美しさです。
- マスジェデ・シェイフ・ロトゥフォッラー
- イラン / モスク
- 住所:Ghal-e-Tabarok, Esfahan, Iran地図で見る
金曜のモスク(Masjede Jame)
イマーム広場のゲイサリーイェ門から続くバーザールを抜けると、金曜のモスク(マスジェデ・ジャーメ)にたどり着きます。エスファハーン最古の寺院で、エマーム広場の華美な建造物の数々と比べると落ち着いた色合いとなっており、深い趣きが感じられるモスクです。
いくつかある礼拝堂内にはどっしりとした柱が林立し、静謐で落ち着いた雰囲気を作り出しています。
- 金曜のモスク(マスジェデ・ジャーメ)
- イラン / モスク
- 住所:Masjede Jame, Isfahan Province, Isfahan, Majlesi St,Iran地図で見る
ゴレスタン宮殿(Kakhe Golestan)
18世紀末にイランを統一したガージャール朝が首都テヘランにつくった王宮が、このゴレスタン宮殿です。現在は博物館となっており、各部屋に美術品や民族衣装などが展示されています。2013年には世界遺産にも登録されています。
王宮の敷地内は、細長く続く池を中心としたペルシャ式庭園になっています。ゆったりとした空間設計に噴水が配されています。
この奥にはひかり輝く玉座があります。壁も天井も全面が鏡のモザイクとなっており、まばゆい光を放っています。王の威光が感じられる豪華さです。
ローズモスク(マスジェデ・ナスィーロル・モルク Masjede Nsirol Molk)
古都シーラーズにあるマスジェデ・ナスィーロル・モルクは、「ローズモスク」、「ピンクモスク」の異名を持ちます。それは、このステンドグラス細工の美しさから。
ステンドグラスを通して礼拝堂内に日が差すと、千紫万紅の光が絨毯や柱を染め上げます。太陽の光が窓からきれいに入る朝のうちに行くのがおすすめです。
- マスジェデ・ナスィーロル・モスク
- イラン / モスク
- 住所:Fars Province, Shiraz, Lotf Ali Khan Zand St,Iran地図で見る
キャンドバーン村の奇岩住居(Kandvan)
イラン北西部の都市タブリーズから南に50キロのところにあるのが、山麓の村「キャンドバーン村」です。辺り一面、岩が山の斜面に沿ってにょきにょきと生えているような、奇岩の村として有名です。
このように、岩をくりぬいて住居として使っています。おみやげ屋さんもあり、岩の中に入ることもできますよ。家畜らしき鶏がいたり、岩に寝そべっているネコがいたりと、林立する奇岩の中で人が普通に生活している様子が見られる、不思議な場所です。
2. ペルセポリス(Persepolis)で歴史探訪をしよう!
はるか長い歴史をもつイランには、スケールの大きな遺跡もあります。シーラーズという都市から車で1時間ほどのところにあるのが、ペルセポリス。1979年には世界遺産に登録されており、イランだけでなく中東を代表する遺跡のひとつです。
紀元前520年にアケメネス朝の都として建設されたペルセポリスには、巨大なクセルクセス門、謁見の間の柱やレリーフ、王墓、宮殿などの跡が残っており、いにしえの都の栄華を知ることができます。
とくに謁見の間の階段は必見。23の属国からの使者の姿がレリーフになっていますが、使者のいでたちや献上品から、どの国の使者かわかるように絵が描かれているのです。地中海沿岸からインドに至るまで勢力をのばした、アケメネス朝の栄光を示しています。
3. イランの偉大な詩人を通して、イランの文芸に触れよう!
すぐれた文学やペルシャ文字の書道など、奥深い文芸の蓄積をもつイラン。とくに、オマル・ハイヤーム(1048年~1131年)やサアディー(1184年?~1291年)といった世界に名だたる古典詩人を生んだイランは、すぐれた詩の伝統を持つ国でもあります。
イランで最も有名な詩人といえば、ハーフェズ。1325年に、シーラーズで生まれました。芸術と文学の香り高いシーラーズには、彼の廟があります。庭園の中に美しいタイル細工の施された屋根をもつ亭があり、そこにハーフェズの棺が安置されています。
多くの人がハーフェズの廟を訪れ、祈りをささげている姿を見ると、いかにハーフェズがイランの人々に愛されているか、「詩」がどれだけイラン人にとって大切なものなのかが垣間見えます。