シェムリアップ
シェムリアップ観光
アンコールワットがあるカンボジア随一の観光都市

アンコールワットでクメール王朝の幻想に浸る

取材・写真・文:

Madam Satoko
タイ在住

2018年9月7日更新

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写真:Madam Satoko

誰もが教科書で一度は目にする「アンコールワット」。名前を聞くとその形はなんとなく心に浮かびはするものの、「実際に訪問という機会はなかなか来ないなあ」という人も多いと思います。バンコクから直行便もあり1泊2日のショートトリップも可。ぜひ次のタイやアジア旅行の計画に織り込んでみませんか。

歴史の一員である自分を体感・遺跡訪問の醍醐味とは

  • 写真:Madam Satoko

遺跡を訪問し、過去そこで起こったドラマや生活を空想するのは楽しいことです。あるときは王様、あるときは足軽、あるときはお姫様になりきってみる。写真を撮りながら携帯電話をいじりながら心はその時代へ飛んで行ける、このギャップが遺跡訪問の醍醐味の一つです。

そして、長い間その姿を保ってきたからこそ“遺跡”と呼ばれる遺跡は「昔教科書で見たことあるなあ」という姿を、数十年の時を超えて記憶と全く同じ姿で出現します。「ああ、これこれ、知ってる!」と軽い感動を覚えるのも遺跡訪問の楽しみのうちの一つですね。

まずはその遺跡を楽しむ交通手段と入場料を簡単にご紹介します。

交通手段

ツアーで行けばバスとガイドが迎えに来てくれますが、個人で行く場合はバイクタクシーか自動車を雇うことになります。

  • 写真:Madam Satoko

駐車場に困らず小回りが利く方がよい方には、バイクタクシーがオススメ。様々なガイドブックやインターネットに多くのアドバイスが載っていますが、筆者は2泊3日の一人旅で、空港に到着してから市内へ行く際に使ったバイクタクシーにその後もお世話になりました。空港で登録記録のある運転手であり、英語もそれなりに話せ、何よりも内気で押しが弱い(笑)のが決め手でした。

参考までに料金ですが、初日夜はホテルまで送迎、2日目は終日観光、3日目は市内で合計10~15か所ほどに立ち寄って、あれこれ買い物して19:00着で空港まで送ってもらう、で合計40ドル+チップ5ドル+到着時のホテルまで7ドル。

3日目は朝にホテルチェックアウトし、バイクタクシーに乗せた荷物の見張りもあったため昼と夜はチャーハン程度ですが食事現物支給もしておきました。料金については空港側から出ているらしい英語での「1日**へ行くとバイクタクシーならいくら、乗用車ならいくら」という紙を参考にできます。

バイクタクシーは旅情的にも悪くないのですが、赤土気質で舗装が甘いシェムリアップはかなり砂埃が立ちます。日中の日差しから目を守るためのサングラスは必須ですが、日が落ちてからも砂埃が立つためサングラスが欠かせないですね。このあたりが気になる方は自動車をお勧めします。

入場料

アンコールワット遺跡群へは1日有効20ドル、または3日有効40ドルの共通入場券が必要です。使いまわしなどの不正回避のため、団体ツアーであっても必ず本人が購入場へ出向き、顔写真入り入場券を作成してもらうことになります。入場する際は係員が逐一確認しますので、出し入れしやすくヨレたりしないように持っていましょう。

いよいよアンコールワットへ

意外?!物理と数学を体感する遺跡

  • 写真:Madam Satoko

世界中いろいろな遺跡がありますが、面白いほど共通しているのは「聖地に入る前の長いアプローチ」です。森林の中だったり緩やかなカーブをいくつも経ることもありますが、“下界とは違う場所へ行くための心積りを”とも言うべき一種の儀式なのでしょうか、必ずどこででも見られます。

遠い昔に外国の使者はこの道を多くの随行員を連れて静々と歩いたのかしら、この長さにも何かしら占星術や自然との共和に関する法則が織り込まれているのかしら、王様がここを訪問する時は着飾った多くの人が口々に歓声や祈りの言葉を投げかけたのかしら。そんなロマンをかみしめながら進んでいきます。

  • 写真:Madam Satoko

随分昔に教科書で見た覚えのあるアンコールワット、全くもってそのままです。トウモロコシ型と呼ばれる尖塔は一見そう見えませんが、数学と物理の知識を駆使して造られ、それは当時より環境が変化した現代まで、そのままの姿が残せるほどゆるぎない設計になっています。また随所に見られる直線の作りも当時基礎工事の概念があり測量技術や灌漑技術があったことを表しています。

アジアの発展途上国、と聞くとつい「何にもなさそう」と思いがちですが、一大文明の地・インドを発祥として非常に多くの文化が伝えられ、それぞれの地で独自の発展をしてきました。ここではクメール文化として建築や文字ほか多くのことにその名残が見られます。私たちの単純で表面的な印象よりもずっと奥深い歴史と文明を湛えています。

さあ中へ入ってみましょう。

奥行きを感じさせる回廊

  • 写真:Madam Satoko

砂岩は一部に力を入れるとぱっくり真っ直ぐ割れるという性質があり、世界中の遺跡で採用されている材質です。やすりなどでの曲面加工もしやすく、アーチ型や宝飾部分などで用いられることも多いですね。大陸を問わず似たような文化が興っているというのは本当に面白い点です。

遠近法ともいうべき奥行きを感じさせる設計になっている点はヨーロッパの遺跡の回廊などで見る技法とまた違い、物理と数学で表現する美しさが民族や地域によって異なるという点もまた興味深いところです。

狭幅な階段が人間工学と神秘のはざまを垣間見せる中央の塔

  • 写真:Madam Satoko

現在は上ることは出来ませんので下から眺めるだけですが、階段の幅は狭く一段の高さはかなりある、などが現代の人間工学に基づいた建物と全く違います。年齢を問わず「こんなの登れないなー」と思ってしまいますが、当時の人たちとはきっと肉体のサイズや重量も違ったでしょうし、この特別な場所に登るのは限られた地位の人のみだったでしょう。

一歩一歩をゆっくり時間をかけて祈りながら上がっていくことを想像すると、現代的な快適さや迅速さ、そして便利さがすべてという価値観が自分の固定観念であることを思い知らされ、自分はなんと視野が狭くちっぽけなのか、と思いあたるかもしれません。

遺跡といえば「踊り子の壁画」。世界の遺跡の共通項を見出す

インド文明の影響を受けた地域では、ラーマヤナ抒情詩をモチーフにしたものが多く見受けられますが、それは別の詳しい方に案内を譲るとし、今回は寺院の中の踊り子さんの壁画について。

  • 写真:Madam Satoko

世界最古であり、世界最大かつ永遠のベストセラーと言われる聖書の中にも「踊りによって神様に喜んでもらう」という箇所があります。これに倣ったのか文化の伝搬なのか、世界中どこの遺跡へ行っても舞踊隊を表すものが必ず存在しますし、「奉納の舞」「感謝の舞」「勝利を祈る舞」などの文化は今でも受け継がれています。

面白いことに、どこへ行っても踊り子はほぼ頭に飾りをつけており、多くは先が尖っています。この形は目に見えない力へ自分の祈念が伝わりやすい形なのでしょうか。ブレスレット(腕輪)やアンクレット(足輪)もほぼ世界共通。人間として様々な不浄に触れる手と足は体から一線を画しており、魂の宿る肉体は清いままです、というような意味でしょうかね。

踊り子は必ず女性、そしてその地の気候や地理条件に合い、女性の肉体が一番魅力的に見えるデザインの衣装を着ています。

アンコールワットに残る壁画の踊り子の場合、その昔から熱帯であり長袖は不要だった、織物文化があり、少ない布でどのように身を包むのかを基にした縫製を駆使した衣装は必要なく、体に十分な布を巻き付けられるほどの豊かな織物の産出量とその生産技術を持っていた、などが見受けられます。 

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※この記事は2016年10月19日に公開した情報です。
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