数々のメディアに取り上げられ、今では日本だけでなく、世界からも注目を浴びている場所が、長野県茅野市にあります。その名前は、「御射鹿池(みしゃかいけ)」。森に囲まれたその池は、静寂に包まれた神秘の世界。絵画で見たまま、いえ、それ以上の息をのむ絶景です。春から夏は深いブルーグリーンの世界、秋には鮮やかなオレンジの世界へと誘ってくれます。ぜひ、皆さんもその目で、季節に彩られる奇跡の絶景をお確かめください。
この記事の目次表示
御射鹿池とは?
長野県茅野市豊平の山あいにある小さなため池です。標高はおよそ1,500m。昭和8年に農業用水用に造られました。周辺は、八ヶ岳中信高原国定公園に指定されており、2010年には農林水産省の「ため池百選」にも選定されています。満水時の広さは、1.3ヘクタール、深さは8メートル、貯水量は26,000トンもあるそうです。
水質は強酸性なので、魚は生息できないということですが、鴨は泳いでいました。昨今では、県道の改良工事とあわせ、観光客増にも対応して駐車場も整備され、大型バスも駐車できるようになったので、今後はより一層訪れる人が増えることでしょう。
町のため池から世界のため池へ
小さな農業用水のため池だった「御射鹿池」が、世界に名を馳せるまでには、いくつかのキッカケがありました。1つめは、日本画家・東山魁夷(ひがしやまかいい)画伯(1908年~1999年)が、「緑響く」という作品のモチーフにしたこと。緑深い森の中に白馬が1頭佇む神秘的な絵です。
次が、その絵画と女優の吉永小百合さんをコラボさせて撮影された、液晶テレビのCMです。美しく印象的なCMは、記憶にある方も多いのではないでしょうか?そのCMが放送された2008年以来、絶景スポットとして、人気となりました。極めつけは、書籍『死ぬまでに行きたい!世界の絶景 日本編』に掲載されたことでしょう。それ以降の人気は、皆さんもご存知の通りです。
撮影するなら時間が大切
茅野市から県道191号線を東に向かい、町を抜け、畑を横切り、森の中へと進みます。八ヶ岳山麓の道は、くねくねとカーブが続きます。ぱぁっと視界が開けたところで右手に御射鹿池。
水面が鏡張りになっていて、白樺や新緑の木々を水面に映し出しています。鳥のさえずりだけが聞こえていて、水面も木々も動かない。静寂の世界は、まるで絵画の中に入りこんでしまったような錯覚を覚えます。
四季折々、時間帯によっても、周りの木々や水面が幾通りにも表情を変え、訪れる人を魅了する御射鹿池ですが、東山画伯が描いたのは、初夏から真夏にかけての景観だと言われています。
この池の魅力は、なんといっても周囲の風景を鏡のように映す現象ですが、撮影時間としては、湖面が風で揺らぎださず、陽が差し込まないうちの早朝がお勧めのようです。光の差し具合、撮影位置、カメラの露出などによっても、色合いが変わるので、延々と撮影タイムが続いてしまうことでしょう。
最近では、周囲の森が染め上がる秋の御射鹿池も「奇跡の絶景」として人気です。