北海道大学総合博物館は、札幌駅北口から北へわずか徒歩10分の場所にある、入館料無料の博物館です。敷地面積日本一の、自然と四季折々の景観が楽しめる北海道大学のキャンパス内にあります。
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北海道大学総合博物館
正門から総合博物館までの道案内
大学構内全体は、とても分かりやすい設計になっていますが、とにかく面積が広く、樹木が豊富で全体を見渡せない場合があります。事前にしっかりと博物館の場所を確認しましょう。
そこでまずは正門から総合博物館までの目印となる、案内板やガイドマップからご説明します。
北海道大学の正門を入ると左側にインフォメーションセンター「エルムの森」(道案内写真1)、右側には施設案内(道案内写真2)が設置されています。
施設案内(道案内写真2)の赤丸は正門、青丸は総合博物館の場所を示しましたので、この写真を参考にするか、
インフォメーションセンター「エルムの森」に置いてある、キャンパスガイドマップ(道案内写真3)をもらってから行くことをお薦めします。そして要所には案内表示板(道案内写真4)があるので、この案内板を参考にして行きましょう。
建物の前には、写真左のような北海道大学のシンボルマークと「総合博物館」の名称が刻まれた大きな石、写真右の総合博物館の建築仕様案内板がありますので、こちらが目印になります。
総合博物館の建物について
1929年(昭和4年)に理学部本館として建てられ、その後、総合博物館として建物を利用しています。
スクラッチタイルとテラコッタ張りのモダーン・ゴシック風の建物は、北大キャンパス内の鉄筋コンクリート建築としては最も古い建物であり、ずっしりとした歴史的な重みと懐かしさが感じられます。
豊富な資料が揃う展示室
北海道大学は、1876年(明治9年)に札幌農学校として開校しました。以来、ここには約400万点にのぼる貴重な学術標本や資料などが収集・保存されており、なかには発明や新発見資料が数多く含まれるそうです。
そして、2016年7月にリニューアルされ、1階から3階にかけて主に
- 北大の歴史:開校以来の歴史と受け継がれてきた精神の紹介
- 北大のいま:全12学部の研究を展示
- 感じる展示室:五感をつかった体験ができる展示
- 収蔵標本の世界:約300万点の保管資料や標本の一部を展示
というゾーンに分けて展示されています。
過去から現在にかけて、膨大な「知」の一端を、見て学び、触って体感することができます。それでは、「知の世界」を堪能していきましょう。
北大の歴史
博物館の重厚な玄関ドアを開けると、正面にはインフォメーションカウンターがあり、左手に展示コーナー、右手にカフェとミュージアムショップという配置になっています。
早速左手に進むと、まずは「北大の歴史」の展示があります。展示は「北大との対話、通底する精神」として、「リベラリズムからの出発」「生き続ける札幌農学校精神」「実学の精神」「ロフティーアンビションの系譜」の4つのコーナーから構成されています。
1つ1つに詳細な説明が書かれており、札幌農学校として開学してから受け継がれている大学に通底する精神の紹介や、 "Boys,Be Ambitious"「少年よ、大志を抱け」で有名なクラーク博士、
新渡戸稲造や内村鑑三、有島武郎、大島正建らの紹介などがあります。
ノーベル化学賞を受賞した鈴木章名誉教授関連の展示
そして、なんといっても圧巻は、ロフティーアンビションの系譜コーナーの、2010年12月10日にノーベル化学賞を受賞された、鈴木章名誉教授にまつわる数々の展示品です。
展示エリア入り口の鈴木章名誉教授の等身大パネルが、お迎えくださいます。
展示コーナーには、数多くの展示品がありますが、鈴木章名誉教授ノーベル化学賞受賞展示の説明や、ノーベル化学賞受賞への道のりの年表を見ると、とても長い期間に多くの研究者が関わり、絶え間ない努力による成果だということが分かります。
ノーベル賞授賞式の模様と、賞状・メダル(レプリカ)、受賞した研究がどのようなものかという説明パネルのほか、ノーベル賞レセプション用カトラリーやメダルチョコ!まで展示されており、ノーベル賞が少し身近なものとして感じられます。
鈴木章名誉教授が実際に使用されていた書斎が再現されています。特に、ご本人が使用していた湯飲みや灰皿は、偉人としてではない1人の研究者の日常を垣間見せてくれます。その他、直筆の色紙などが、所狭しと展示されています。
そして、「水のノーベル賞」という異名を持つ、「ストックホルム水賞」に関する資料も展示されています。
見応えたっぷりの鈴木名誉教授のブースを抜け、さらに進むと「北大のいま」コーナーへと続き、過去から現在へと繋がる様子がよく分かる仕組みになっています。
北大のいま
ここでは、人文・社会・自然科学を網羅する全12学部の教育と研究が紹介されています。
展示は、「挑戦する北大」、「北大の学び舎 -12学部-」、「北大の探求心 -研究センター・学内共同施設-」と、3つのコーナーに大別されており、1Fから2Fにかけて展示されています。
挑戦する北大
1Fの「挑戦する北大」では、時代と共に変化する社会的要請に応える研究が紹介されています。
写真左は主に食に関する展示。食と健康は切り離せない大切なテーマだということを、改めて感じます。またブース中央にはモニターを使った、食と健康についてのクイズもあり、食育にも役立ちそうです。
写真右は北国の大学らしく、北極域研究の展示です。温暖化など地球規模の変化の観察・研究など、こちらも現代だけでなく将来にわたり重要なテーマだということがヒシヒシと伝わってきます。余談ですがホッキョクグマの剥製は、近くで見るとかなりの迫力があります。
北大の学び舎 -12学部-
「挑戦する北大」のブースを抜けると、「北大の学び舎 -12学部-」に続きます。全12学部分の展示は、1F(医学部、歯学部、薬学部、文学部、理学部、工学部)と2F(水産学部、農学部、獣医学部、経済学部、法学部、教育学部)に分かれています。
医学部
医学部の展示コーナーには内視鏡手術の体験コーナーがあります。上のモニターを見ながら操作しますが、難しいの一言です。この体験だけでも、医師は知識だけでなく、高度な技術も要求されることが、よく分かります。
歯学部
歯学部ではリアルな歯形などの展示に加え、シミュレーション(練習)用マネキンの展示があります。実際に椅子に座ってマネキンの口をのぞき込むと、歯科医の気分を味わうことができます。練習用とはいえ実物の模型なので、かなりのリアル感です。近くには白衣があり、自由に着て記念撮影ができますよ♪
薬学部
薬学部では、薬用植物の実物が展示されています。薬学部の研究は、原料だけでなく細胞やDNAレベルまで幅広い範囲で行われており、一押し最新研究のパネルには、他の学部と共同研究していることなどが紹介されていました。
文学部
文学部では、やはり北海道の大学らしく、北方民族やアイヌ語について、充実した展示がされています。考古学・文化人類学・民族言語学と、多角的な視野で研究されています。
こちらは北方民族についてのコーナー。
シベリア先住民やサハ共和国など、数多くの研究資料と成果が展示してあります。
こちらはアイヌ語についてのコーナー。パネルの下には、様々な機材が紹介されています。
理学部
理学部の範囲は広く、宇宙からミクロの世界まで、多くの展示品があります。ビッグバンや生命誕生という宇宙規模のものや、DNAレベルのものまで、多様な展示です。ノーベル化学賞を受賞された鈴木章名誉教授は、理学部化学科のご卒業だそうです。
工学部
工学部の一押しは、「宇宙開発を小型化したい」という壮大なものです。
この写真の手前にあるロケットは、「CAMUI50P」という研究開発初期の機体で、北大の研究グループとの共同開発により北海道赤平市にある株式会社植松電機が製造したものだそうです。さらに2002年3月には、缶サイズの超小型模擬人工衛星を搭載した、ハイブリッド・ロケットとして国内で初めて打ち上げ実験に成功。続く実験でも成功し、基礎技術が完成したとのことです。
「音を見よう」という不思議な展示や、普段よく使うパソコンが、どのような素材から成り立っているかというものまで、こちらも多彩な研究が紹介されています。
水産学部
新発見された魚類の紹介など、水産学部の展示も見応えがあります。毎日の食卓に欠かせない海藻を、科学的な見地から盛んに研究されているようです。
農学部
農学部は、札幌農学校からの伝統のある学部として、現在の研究だけでなく、歴史の紹介も充実しています。重要文化財である「札幌農学校第2農場」の紹介もあります。
獣医学部
獣医学部は、対象が動物ということもあり、標本の種類が盛りだくさんです。エゾシカの剥製や齧歯類、水中ほ乳類、食肉類、長鼻類など、様々な動物の骨格標本が展示してあります。
経済学部
経済学部には、ミクロネシア・ヤップ島で使われていたお金が展示されています。右の写真がお金を拡大して写したものです。左の写真のパネルと比較すると、その大きさがおわかりいただけると思います。
法学部
ギリシア神話の女神であり、司法や裁判の公正さの象徴・シンボルとしての女神像の展示が印象的です。
教育学部
教育学部らしく、沢山の書籍が展示されています。
北大の探求心 -研究センター・学内共同施設-
12学部の紹介が終わると、次に「北大の探求心 -研究センター・学内共同施設-」の展示があります。
北方生物圏フィールド科学センター
やはりここでも、北国の大学だということを再認識します。森林、耕地・緑地、水域という多岐にわたるテーマを研究しているそうです。写真は、北海道小樽市の中心部から約15km離れた忍路湾にある、忍路臨海実験所という実験施設で使用していた電話だそうです。
地震火山研究観測センター
地震の多い日本では欠かすことのできない研究が、活発に行われていることが分かります。多くの説明が書かれています。
アイヌ・先住民研究センター
本州から北海道に赴任したアナウンサー泣かせと言われる、アイヌ語を語源とする地名の説明があります。その他、歴史や文化・伝承について、多くの展示物があります。
総合博物館
総合博物館では、天井に届くほどの巨大なマンモスの原寸大模型や、感じる展示室として発掘されたものなどに実際に触れることが出来るように展示されています。マンモスは、近くで見ると本当に巨大です!
産学・地域協働推進機構
産学協働研究の詳細が紹介されています。工学部でも紹介されていた、ロケット開発についての展示が目を引きます。