兵庫県六甲山地の中央に位置する摩耶山は、日本三大夜景スポットの一つ。ですが、山頂付近の掬星台展望台は、昼間も神戸港を一望できる絶景スポットなんです。今回はJR新神戸駅から、布引の滝や登録有形文化財の布引ダムを経由し、六甲全山縦走路である天狗道を登って摩耶山の頂上を目指す、トレッキングルートをご紹介します。
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日本近代登山発祥の地、六甲山
阪神タイガースの応援ソング『六甲おろし』で有名な六甲山ですが、正式には六甲山という名前の山はなく、西は明石から東は宝塚まで30キロ超に渡って連なる山々の総称を指します。また「新日本百名山」「日本三百名山」「ふるさと兵庫50山」の一つでもあります。
古代より日本では、山岳信仰の考えに基づく信仰登山が行われていましたが、現代のようなレジャーを主目的とした登山は、1874年、3名の外国人によって六甲山で初めて行われたそうです。そのことから、六甲山は日本近代登山発祥の地ともされています。
そんな六甲山には、須磨から宝塚まで続く公称56キロの六甲全山縦走路があります。新田次郎の小説『孤高の人』のモデルとなった登山家・加藤文太郎が歩き始め、今ではこのコースを1日で歩く「六甲全山縦走大会」も毎年開催されています(2020年はコロナウイルスの影響により大会中止)。アップダウンを繰り返すハードなロングトレイルながら、毎年4,000名もの参加者が集まる人気の大会です。
摩耶山ってどんな山?
そんな六甲山の中央に位置する摩耶山。弘法大師空海が、天上寺に釈迦の生母・摩耶夫人(まやぶにん)像を安置したことが名前の由来です。標高702メートル。頂上付近にある展望広場は「手で星を掬(すく)える」ぐらい標高が高いことから、その名も掬星台(きくせいだい)と呼ばれています。
北海道の函館山、長崎県の稲佐山と共に日本三大夜景に選ばれているほどの夜景スポットです。昼間はこの展望広場から神戸港が一望でき、ハイカーや家族連れで賑わう憩いのスポットとなっています。
JR新神戸駅から摩耶山~掬星台までのルート紹介
今回は、以下の流れに沿って進むルートを紹介します。なお、括弧内は移動時間の目安で、休憩時間は含んでいません。
- ①JR新神戸駅→布引の滝(15分)
- ②布引の滝→布引ダム(15分)
- ③布引ダム→市ヶ原(20分)
- ④市ヶ原→摩耶山頂(1時間30分)
- ⑤摩耶山頂→掬星台(5分)
①JR新神戸駅から布引の滝
今回のコースのスタートとなるのは、JR新神戸駅。登山口まで電車やバスを乗り継いで行かなければいけない山も多い中、駅から直接アクセスできるのも、このコースのおすすめポイントです。
まずは布引の滝を目指します。布引の滝は、雌滝・雄滝・夫婦滝・鼓ヶ滝(つつみがだき)の総称。「日本の滝百選」にも選ばれています。途中、雌滝と雄滝の分岐点があり、右側が雄滝方面、左側が雌滝経由雄滝方面へ進むルートとなります。布引の滝全ての滝を楽しみたい方は、左側の雌滝経由雄滝方面の道を進みましょう。今回は、右側の雄滝方面ルートを進みます。
スタートから15分ほどで、雄滝に到着。マイナスイオンをたっぷり浴びて、自然のパワーを吸収しましょう!
②布引の滝から布引ダム
布引の滝から5分ほど行くと、見晴らし展望台があります。
こちらにはお手洗いやベンチがありますので、小休憩するのにもちょうどいい場所です。
そこからさらに10分ほどで布引五本松堰堤(布引ダム)に到着です。
布引ダムは、明治33年に完成。水道専用としては日本最古のコンクリートダムであることから、平成10年には国の登録有形文化財の指定を受けています。
③布引ダムから市ヶ原
市ヶ原には櫻茶屋や自動販売機、お手洗いがあるので、この先から始まる本格的な登山に備え、休憩するのに最適な場所です。なお、ここから掬星台までお手洗いや自動販売機はありません。茶屋の反対側にある階段を降りると、BBQや川遊びを楽しむ人たちにも人気の広々とした川原があります。