アメリカのフロリダ半島北西部、クリスタルリバーには、毎年冬になると野生のマナティーがやってきます。マナティーは非常に穏やかで、人間に対しての警戒心も薄い動物。日本では水族館でしか見ることができませんが、ここクリスタルリバーでは野生のマナティーと出会えます。運が良ければ一緒に泳いだり、触れ合ったりすることも。のんびりした動きと愛くるしさに癒されること間違いなしのマナティースイム、一度体験してみませんか?
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マナティーってどんな動物?
マナティーと聞いても、その姿をぱっと思い浮かべられない方もいるかもしせません。マナティーは、ジュゴンと同じカイギュウ目に属している草食動物です。
「アメリカマナティー」「アフリカマナティー」「アマゾンマナティー」の3種に分類されますが、今回ご紹介するのは、その中でも最大種のアメリカマナティー。最大体長390cm、体重は1,500kg!
大きさに恐怖心を持ってしまいそうですが、その性格は非常に穏やかでのんびり。個体数が少ないため、絶滅危惧種に指定されています。
同じカイギュウ目のジュゴンと混同されがちですが、見分ける上での一番の特徴が尾びれ。ジュゴンは魚のような三角形をしていますが、マナティーは丸くしゃもじの様な形です。
また、ジュゴンは海の底に生えている草を食べるため、口が下向きですが、マナティーは水面に浮いている水草を食べるため、そこまで下向きではありません。
冬の間の生息地、クリスタルリバー
毎年11月~3月頃の冬の間、フロリダ半島北西部に位置するクリスタルリバーに野生のマナティーがやってきます。
マナティーはとても寒がり。普段はメキシコ湾岸の浅瀬に生息していますが、冬になると水温が下がるため、年間を通して暖かい水が湧き出しているクリスタルリバーのキングス湾で過ごすのです。
マナティースイムツアーに参加しよう!
毎年この時期には「マナティーと一緒に泳ぎたい!」と、世界各地から観光客がやってきます。
11月~3月の期間限定で、日本の旅行会社やダイビングショップが主催しているツアーもあります。マナティースイムがメインのツアーや、1日だけのオプションツアーなど、自分の予定に合わせて申し込みましょう。
筆者の場合、日本で事前に旅行会社H.I.S.のオプショナルツアースイム・ウィズ・マナティーを申し込みました。ホテルまで送迎があり、出発前に日本語で注意事項を説明したDVDを鑑賞させてもらえたので、内容がきちんと理解できて安心でした。
マナティーを水中ウォッチング!
朝早い時間、ダイビングショップに到着し、ウェットスーツとシュノーケルをレンタル。準備が整ったら、ボートに乗り込でいざ出発です。
じっと目を凝らしながら、マナティーの姿を探します。
ボートに乗り始めて20分ほど経った頃、ついにその姿を発見!船の上から見ただけでも興奮してしまいます。
この後も2~3箇所探しましたが、なかなかマナティーには出会えません。
マナティーを捜索するエリアは、ボートを運転してくれる船長さんによって異なるようです。筆者たちのボート以外にも数隻この日は出航していましたが、筆者たちの船長さんはなるべく他のツアー客のいないスポットを中心に探してくれていました。
結局、他のスポットではマナティーは見つからず。最後に保護区として区切られているエリアにマナティーがいるとのことで、そこでついに水中へ!
出発してから1時間近く時間が経っていましたが、マナティーをワクワクしながら探していたので、全く長く感じることはありませんでした。
待ちに待ったマナティーが数メートル先に!
マナティーは、あまりアクティブに動くことなく、基本的には水中にじーっとしていて、時折呼吸のために水面に浮かんでいきます。
マナティーの親子にも遭遇できました。
マナティーが近くまで遊びに来てくれるかも!
マナティーを観察する上で注意しなければならないことがいくつかあります。「自ら近づいて行かないこと」「無理やり触りに行かないこと」「2頭以上でいる場合、その間を決して割いて泳がないこと」など。マナティーに触れ合うためには、マナティーの方から近づいてくるのを待つしかありません。
従来、人間に対しての警戒心が薄いので興味を持って近づいてきてくれることもあります。これはもう運次第。「マナティーと遊びたい!」という強く念じれば、その想いが届くかも!?
筆者たちが観察していた場所は、保護区域に当たる場所でロープで境界線が張られていました。そのため、一定の距離までしか近づけなかったのですが、なんとマナティーの方からこちらへ泳いで来てくれたのです!私たちの気持ちが通じたとしか思えません!
近くまで来てくれた!という私たちの興奮とは裏腹に、どこまでもマイペースでのんびりしたマナティー。ゆーったり泳いでまた元いた場所へ帰って行きます。近くで見ると、皮膚が意外とゴツゴツしているなーと思ったら、なんとマナティーの祖先は象なんだとか。
おわりに
マナティー以外にも、透明度の高い水質のため魚の群れを見ることができるなど、シュノーケリング自体を楽しむことができます。
ほぼ流れがないため、船酔いすることはありませんが、1回のダイブで30~40分ほど水中にいるため体が冷えてしまいます。船に上がったらすぐに体を拭けるようにタオルを準備しておき、ウェットスーツの上からでも羽織れるような上着も持参することをオススメします。
筆者たちの場合、2箇所で水中観察を行いましたが、寒さや体力を理由に途中でボートに上がって自由に休憩することもできました。無理なく楽しんでくださいね。
日本では決して出会えない野生のマナティー。しかも、運が良ければとても間近で見て、触ることもできるフロリダでのマナティースイム。泳ぎが苦手な方も、事前に伝えればガイドさんがサポートしてれますので、ぜひ挑戦してみてください。