奈良県橿原(かしはら)市の本薬師寺跡では、毎年夏から秋にかけてホテイアオイの花が咲きます。8月末頃には見頃となり、薄紫色の涼しげな花が休耕田一面に咲く、素晴らしい景観が楽しめます。大和三山を望むのどかな場所で、観賞してみませんか?
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ホテイアオイとは
ホテイアオイは、南アメリカ原産の水生植物です。葉柄が浮袋のように膨らむため、水に浮いて生育し、初夏から秋ごろにかけて薄紫の花を咲かせます。国内でもホームセンターの園芸コーナーなどで販売され、観賞用やメダカ・金魚の水槽に入れる水草などに利用する人が多いです。
橿原市の本薬師寺跡でホテイアオイを鑑賞しよう
本薬師寺について
橿原市にある本薬師寺(もとやくしじ)は、奈良市の西の京にある薬師寺の前身のお寺です。天武天皇が皇后(後の持統天皇)の病気平癒のために祈願して、天武9年(680年)に建立に着手しましたが、その途中で崩御したため、持統天皇がその遺志を継いで完成させたそうです。
平常遷都にともない、寺は奈良の西の京に移築されたとされていましたが、現在では別々に造られたという説が有力なため、こちらの寺は「本薬師寺」とよばれるようになりました。
かつては金堂や東西2つの塔が存在していましたが、今日では建物の礎石や小さなお堂があるだけとなっていることから、本薬師寺跡と呼ばれています。
休耕田一面に咲くホテイアオイ
本薬師寺跡のホテイアオイは、毎年6月下旬頃、橿原市が地元の小学校の生徒と協力して、休耕田に植え付けを行っています。夏には成長した株が美しい薄紫色の花を咲かせますが、その数は約14,000株と多く、非常に見ごたえがあります。
休耕田には、あぜ道や外周の細い道路があり、そこを歩きながらホテイアオイを鑑賞できます。これらの道には柵がありませんので、花の鑑賞や撮影に夢中になって田んぼや水路に足を踏み外さないように注意しましょう。
花の見頃のピークには、休耕田が薄紫色のじゅうたんで覆われたような、素晴らしい景観となります。8月末から9月の上旬はまだまだ暑さが厳しい日も多いですが、涼しげな薄紫色の花を眺めていると、一瞬その暑さを忘れてしまうかもしれませんね。
本薬師寺跡からは、古くから和歌などに詠まれた大和三山の畝傍山(うねびやま)、耳成山(みみなしやま)、香具山(かぐやま)を眺めることができます。東側に見えるのが畝傍山、北側が耳成山です。円錐形に近い特徴的な姿をしているので、すぐに分かるでしょう。香具山は西側にありますが、なだらかな丘のような形状のため、少し分かりにくいかもしれません。
ハスの花やヒガンバナも見られます
本薬師寺跡で見られるのは、ホテイアオイだけではありません。休耕田の一角にはハスも植えられており、やや赤みがかった桃色の美しい花を咲かせます。
ハスの花は、関西では初夏から咲くので、こちらのホテイアオイが見頃を迎えるころには終わりかけているのですが、筆者が訪れた9月上旬には、まだ少し咲いていました。
ほかにも、9月中旬ごろからはヒガンバナも咲き始めます。この頃に訪れると、ホテイアオイとヒガンバナの両方の花が鑑賞できそうです。
ホテイアオイの見頃と開花状況
本薬師寺跡のホテイアオイの例年の見頃は、8月末から9月下旬頃です。8月に入った頃から開花し始めますが、まだまだ花は少ないです。開花状況は、橿原市の公式ホームページに掲載されますので、チェックしておでかけしてみましょう。ホテイアオイは、天気の良い暑い日に花をよく咲かせるそうですよ。
本薬師寺跡へのアクセス
電車・バスで
近鉄橿原線「畝傍御陵前」駅下車、徒歩約9分。または、近鉄橿原線「大和八木」駅、「橿原神宮前」駅などから、かしはらしコミュニティバスに乗車、「飛騨町」バス停下車、徒歩約12分です。
※かしはらしコミュニティバスは、平日は橿原神宮前駅からの運行はありません。
車で
大阪方面から
阪和自動車道「美原ジャンクション」より南阪奈道路を経て大和高田バイパスへ。バイパス終点「四条ランプ」を越えてすぐの「小房」交差点を右折し、国道169号線吉野方面へ。畝傍御陵前駅の前にある交差点を左折。約400メートルで臨時駐車場に。
京都・奈良市方面から
国道24号線「兵部町」交差点を左折し、国道169号線へ。「小房」交差点を過ぎ、畝傍御陵前駅の前にある交差点を左折。約400メートルで臨時駐車場に。
※駐車場は満車になることがあります。なるべく公共交通機関でお越しください。また、シーズンが過ぎると駐車場は閉鎖されます。その際は、畝傍御陵前駅の東側にある市営駐車場を利用してください。