世界で有数の美術館が集結しているアムステルダムには、珍しいミュージアムもあるのが特徴で、今回はそのひとつである大麻をテーマにした博物館を紹介します。大麻と聞くとドラッグという悪い意味で受け止められてしまいますが、この博物館では医薬品や産業における歴史や文化についてもお伝えしています。
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アムステルダムの大麻博物館
世界で初めて大麻を専門に取り扱う博物館は、1985年にオランダ人の起業家であるベン・ドロンカーズ氏(Ben Dronkers)が友人と共に、アムステルダムの歓楽街に設立しました。大麻博物館では喫煙用の大麻だけでなく、医学的な用途や産業として使われている麻の歴史と文化についても紹介しています。
博物館では英語の音声ガイドも用意されているので、数多くのコレクションについての説明を聞くことができます。怪しい雰囲気など無く、ごく普通の博物館なのでご安心を!
博物館のコレクションは館長のドロンカーズ氏が世界中を旅した時に収集したもので、その数は7,000点以上にもなります。ちなみに2012年になると、スペインのバルセロナにも博物館が設立されました。
アムステルダムでは「大麻博物館」と「大麻博物館ギャラリー」2ヶ所の展示スペースで構成されており、大麻博物館の建物ではレクリエーションと医療品としての歴史的な事実を、コレクションを通じて紹介しています。この後にお伝えするギャラリーでは、麻の素材の役割についての展示を行っています。
まず最初に、大麻博物館館内の前半では数多くの絵や何百年も前のパイプなどのコレクションが展示されており、長い歴史における大麻と人類との関わりが紹介されています。
その中にはシェークスピアも大麻を吸っていた可能性があると言われ、彼の自宅で発見されたパイプも展示してあります。
コレクションの中には、オランダ中世の黄金時代における東インド会社(VOC)のロゴが描かれた陶器もあります。タイルに描かれた絵にもパイプで喫煙している様子が伺えます。
日常生活における大麻との関わりを、たくさんの絵を通して知ることもでき、巨匠レンブラントと同期の画家による作品にも、当時の喫煙の様子が描写されてます。
レゲエ音楽の神様とも言われるボブ・マーリーのコレクションも!彼も大麻を喫煙していたミュージシャンとして知られていますね。
館内を進むと、ガラス張りの一室で実際に大麻草を栽培しているので、どのような植物なのかが分かります。
またこちらでは、大麻は何世紀も前から、鎮痛作用のある薬として使用されている事を伝えています。医薬品の中には日本の神薬も展示してありました。
- 大麻博物館
- オランダ / 博物館・美術館 / 博物館
- 住所:Oudezijds Achterburgwal 148, 1012 DV Amsterdam地図で見る
- Web:http://hashmuseum.com/
大麻博物館ギャラリー
大麻博物館から50メートルほど離れた場所に「大麻博物館ギャラリー」があり、併せて見学ができます。こちらでは、植物の麻(ヘンプ)としてのさまざまな用途を紹介しています。
17世紀におけるオランダの造船では、木材の次に最も多く使用されていた素材で、帆船の帆やロープなどに麻が使用されていました。
手織り機などの道具と糸やロープも多数展示しており、産業としての重要性も紹介しています。
日本のコレクションもいくつかあり、麻で作られたお面や紙、麻織物も展示。その昔、日本でも大麻草は各地で栽培されていて、麻繊維を使用した衣類や武士の防護具にも使用され、しめ縄にも用いられていました。
世界有名ブランドのルイヴィトンやラルフローレン、そしてスポーツブランドのアディダスも麻繊維を使った商品を制作しているのが見られます。
産業用途に目を向けると、オランダの企業が開発した世界で初の電動スクーターには、フレームの素材の90%に麻繊維を使用しており、その詳しい紹介もあります。
意外かもしれませんが、こちらは自動車メーカーのメルセデスベンツやBMWの紹介。ドアパネルの部品に、強力で軽量な麻繊維が使われているのが分かります。
※ユーロから日本円への換算は、1ユーロ=約120円で計算しています。
※どちらのギャラリーからでも入場できますが、別の館へ入る際にチケットが必要になるので、くれぐれも無くさないように!
- 大麻博物館ギャラリー
- オランダ / 博物館・美術館 / 博物館
- 住所:Oudezijds Achterburgwal 130, 1012 DT Amsterdam地図で見る
- Web:https://hashmuseum.com/
最後に
大麻に詳しくなくてもこの博物館に来れば、大麻植物の幅広い用途を知る事ができ、長い歴史の中で日常生活の一部であったことが分かります。アムステルダムで珍しい博物館を探しているのでしたら、穴場の珍スポットとして訪れてみるのも良いでしょう!