日本一のもぐら駅として親しまれ、関東の駅百選に認定されている土合駅は、下り線ホームが地下70mにある珍しい駅です。上から見ても下から見ても、圧倒されるほど階段が続く光景は、果てしなく続く地下空間のような不思議な世界です。
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土合駅(どあいえき)とは?
土合駅は、群馬と新潟の県境に位置し、みなかみ町湯桧曽(ゆびそ)の群馬県最北端にあります。JR東日本旅客鉄道の群馬と新潟を結ぶ上越線の駅です。土合駅の最大の特徴は、上り線と下り線のホームの高低差。下り線のホームの標高は583m、駅舎の標高は653.7mで、駅舎と下り線ホームの標高差は、なんと70.7mもあるのです。地下70mのトンネル内にホームがあることから、通称「もぐら駅」と呼ばれるようになり、観光客が訪れるようになっています。
なぜ「もぐら駅」が誕生したか?
その昔、東京から新潟へ鉄道で行く場合は、高崎から信越線で長野・直江津を経由するか、郡山から磐越西線で会津若松を経由する方法しかなく、かなり遠回りでした。時間にして急行列車で11時間以上を要しました。1922年(大正11年)から工事が始まり、約9年の時を経て、1931年(昭和6年)8月に上越線水上~越後湯沢間が全線開通。その際に誕生したのが、谷川連峰の真下を貫く清水トンネルで、全長9,702mの山岳トンネルでした。
この開通によって、7時間ほどで新潟へ到達することが可能になったのです。この時に、信号場として開設されたのが土合駅のはじまりです。信号場とは、列車の行き違いや待ち合わせ用に待避線や信号機が設けられた場所のことです。しかし、まだこの時点では、単線だったため地上にホームがありました。その後、交通量の大幅増加に伴い複線化となり、1967年(昭和42年)新清水トンネル内に下り線の地下ホームが設置されたことで、日本一のもぐら駅が 誕生しました。
もぐら駅を探検してみよう
駅舎の前が駐車場になっていて、50台ほどは駐車できるようになっています。駅舎は、谷川岳をモチーフにした三角屋根になっており、赤い屋根が印象的です。入り口には、手作り感あふれる「ようこそ日本一のもぐらえき土合へ」の看板が迎え入れてくれます。
土合駅は現在無人駅で、誰でも無料で入場できるようになっています。駅舎内をまっすぐ進むと突き当りになっており、1.越後湯沢・小出・長岡・新潟方面と2.水上・高崎・大宮・上野方面のサインがあるので、1の新潟方面、左手に進んでください。
連絡通路を抜けると
24段の階段を含め、140m強の連絡通路を進みます。通路は、国道291号線をまたぎ、湯桧曽川のせせらぎを聞きながら進んでいきます。2分弱歩くと、いよいよ長い階段の始まりです。開発当初は、設置も予定していたようですが、エスカレーターやエレベーターは設置されていないので、338m、462段の階段を上り下りしなければいけません。
上から下を見下ろすと、まるでタイムトンネルに自ら迷い込んでいくような錯覚を覚えます。以前はだいぶ薄暗かったようですが、現在は照明設備もあるので、怖い感じはしませんでした。実際に下ってみると、傾斜は緩やかなので、それほどきつくはありませんが、下っていくほど気温が低くなっていきますので、季節によっては、1枚羽織るものがあるとよいでしょう。