みなかみ町(利根郡)

日本一のもぐら駅・土合駅で異空間体験【群馬】

取材・写真・文:

福島在住
訪問エリア:30都道府県

2023年12月12日更新

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写真:Olive

日本一のもぐら駅として親しまれ、関東の駅百選に認定されている土合駅は、下り線ホームが地下70mにある珍しい駅です。上から見ても下から見ても、圧倒されるほど階段が続く光景は、果てしなく続く地下空間のような不思議な世界です。

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土合駅(どあいえき)とは?

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土合駅は、群馬と新潟の県境に位置し、みなかみ町湯桧曽(ゆびそ)の群馬県最北端にあります。JR東日本旅客鉄道の群馬と新潟を結ぶ上越線の駅です。土合駅の最大の特徴は、上り線と下り線のホームの高低差。下り線のホームの標高は583m、駅舎の標高は653.7mで、駅舎と下り線ホームの標高差は、なんと70.7mもあるのです。地下70mのトンネル内にホームがあることから、通称「もぐら駅」と呼ばれるようになり、観光客が訪れるようになっています。

なぜ「もぐら駅」が誕生したか?

その昔、東京から新潟へ鉄道で行く場合は、高崎から信越線で長野・直江津を経由するか、郡山から磐越西線で会津若松を経由する方法しかなく、かなり遠回りでした。時間にして急行列車で11時間以上を要しました。1922年(大正11年)から工事が始まり、約9年の時を経て、1931年(昭和6年)8月に上越線水上~越後湯沢間が全線開通。その際に誕生したのが、谷川連峰の真下を貫く清水トンネルで、全長9,702mの山岳トンネルでした。

  • 写真:Olive

この開通によって、7時間ほどで新潟へ到達することが可能になったのです。この時に、信号場として開設されたのが土合駅のはじまりです。信号場とは、列車の行き違いや待ち合わせ用に待避線や信号機が設けられた場所のことです。しかし、まだこの時点では、単線だったため地上にホームがありました。その後、交通量の大幅増加に伴い複線化となり、1967年(昭和42年)新清水トンネル内に下り線の地下ホームが設置されたことで、日本一のもぐら駅が 誕生しました。

もぐら駅を探検してみよう

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駅舎の前が駐車場になっていて、50台ほどは駐車できるようになっています。駅舎は、谷川岳をモチーフにした三角屋根になっており、赤い屋根が印象的です。入り口には、手作り感あふれる「ようこそ日本一のもぐらえき土合へ」の看板が迎え入れてくれます。

  • 写真:Olive

土合駅は現在無人駅で、誰でも無料で入場できるようになっています。駅舎内をまっすぐ進むと突き当りになっており、1.越後湯沢・小出・長岡・新潟方面と2.水上・高崎・大宮・上野方面のサインがあるので、1の新潟方面、左手に進んでください。

連絡通路を抜けると

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24段の階段を含め、140m強の連絡通路を進みます。通路は、国道291号線をまたぎ、湯桧曽川のせせらぎを聞きながら進んでいきます。2分弱歩くと、いよいよ長い階段の始まりです。開発当初は、設置も予定していたようですが、エスカレーターやエレベーターは設置されていないので、338m、462段の階段を上り下りしなければいけません。

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上から下を見下ろすと、まるでタイムトンネルに自ら迷い込んでいくような錯覚を覚えます。以前はだいぶ薄暗かったようですが、現在は照明設備もあるので、怖い感じはしませんでした。実際に下ってみると、傾斜は緩やかなので、それほどきつくはありませんが、下っていくほど気温が低くなっていきますので、季節によっては、1枚羽織るものがあるとよいでしょう。

トンネル内のホームは何もない

  • 写真:Olive

地下鉄を考えれば、地下のホームはたくさんあるので珍しくもないのですが、それでも深さを考えると、一番深い都営大江戸線の六本木駅で42.3mですから、土合駅はダントツの深さになりますね。一応現役の駅なので、待合室も設置されていますが、一日5本程度の電車が来るのみで、当然ながらキオスクもないし、トイレもありません。

  • 写真:Olive

「日本一のもぐら駅」という希少性と人の少なさ、静けさ、地下空間独特のひんやりとした空気感などが、土合駅でしか味わえない魅力と言えるでしょう。それでも筆者が訪れた週末には、観光客が入れかわり、立ちかわり訪れていました。

下りてきたなら帰らねば!

  • 写真:Olive

電車を利用して移動される方は別として、下りホームから改札口までは、合計486段の階段を上って帰ることになります。下から上を見上げると、気が遠くなるほど、最終地点が見えない長い階段に、圧倒されますが、10段ごとに表示があり、残りの段数を考えながら、登ることができます。途中には、休憩できるベンチも数か所用意されています。季節によっては、階段を上ることで、気温も上昇し、上着を一枚脱ぐことになるかもしれません。

土合駅
みなかみ町(利根郡) / 駅 / インスタ映え / 穴場観光スポット
住所:群馬県利根郡みなかみ町湯桧曽218-2地図で見る
電話:0278-62-0401

駅舎内のカフェ「駅茶mogura」

  • 写真:Olive

階段を上り、駅舎内に戻って立ち寄りたいのが、入り口わきにあるカフェ「駅茶mogura」。実は、土合駅を訪れた際に、とても賑わっていて面食らった場所です。

  • 写真:Olive

きっぷ売り場の表示がそのまま残されていて、老若男女に子供までいて、いったいここはなに?と思ったら旧駅務室を改装したカフェでした。ホットサンドやカレー、チーズケーキなどが提供されています。また車掌さんの帽子を借りて記念撮影もさせてもらえます。

カフェモグラ
みなかみ町(利根郡) / カフェ・喫茶店
住所:群馬県利根郡みなかみ町湯桧曽,カフェモグラ地図で見る
Web:https://www.instagram.com/doaivillage/

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この記事を書いたトラベルライター

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日帰りドライブから、国内、海外を問わずお出かけするのが大好きです。ずっとタウン重視でお買い物に夢中の旅でしたが、10年ほど前にアメリカ・サンフランシスコに在住。国立公園めぐりをしたことをきっかけに、自然も大好きになりました。少し歴史を知ってから出かけると楽しいこと、美味しい食べ物や綺麗な風景に出会えると幸せなこと。小さな情報が、誰かの楽しい!や嬉しい!につながったらいいなと思っています。これからも、いろんなところへ出かけて、たくさんの情報を発信してゆきたいと思っています。少しでも参考になれますように!

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