南足柄市

道了尊の天狗伝説が息づく大自然の禅寺 神奈川県【大雄山最乗寺】

取材・写真・文:

トラベルライター

2021年2月2日更新

22,509view

お気に入り

大雄山最乗寺は小田原市隣の南足柄市にあり、道了尊(どうりょうそん)とも呼ばれる曹洞宗の寺です。多くの僧が修行する禅の道場であり、天狗が守護する寺としても古くから信仰されてきました。秋の紅葉や初夏のあじさいの名所にもなっている自然豊かな寺で、近年はパワースポットとしても知られています。この記事では、最乗寺の中でもおすすめの見どころを紹介します。

この記事の目次表示

最乗寺の歴史と道了尊の由来

  • 写真:トラベルライター

最乗寺は、室町時代の応永元年(1394年)に了庵慧明(りょうあんえみょう)が創ったとされています。了庵は曹洞宗大本山の總持寺(そうじじ)など様々な寺の住職を勤め、50歳を過ぎて故郷の相模国(神奈川県)に帰り、最乗寺を創建しました。優れた禅僧として名高く、弟子も多かった了庵の下に集った一人が、道了です。

  • 写真:トラベルライター「一擲石」 力持ちの道了が石を運んでいる途中で了庵に呼ばれ、用事を済ませるために投げ捨てた石といわれています。

道了は修験道の僧で、滋賀県の園城寺(三井寺)に勤めているときに最乗寺を創る話を聞き、空を飛んで了庵の元へ来て、土木工事の面で多大な貢献をしたと伝えられています。そして、了庵が75歳で亡くなると、道了は「今後は大雄山を護り、人々を救済しよう」と宣言し、姿を変えて山中に身を隠したといわれているのです。

このような由来で、最乗寺では、道了大薩埵(どうりょうだいさった)=道了尊も祀られています。現在の最乗寺は、山形県の善宝寺、愛知県の妙厳寺(豊川稲荷)と共に曹洞宗の三大祈祷所といわれる寺の1つであり、神仏習合の信仰である修験道の色を残しながら、曹洞宗の僧侶を養成する道場として禅を修行する場ともなっています。

最乗寺の見どころ紹介

広い境内の最乗寺には多くの見どころがありますが、ここでは特に見逃したくない場所を紹介します。

本堂

  • 写真:トラベルライター

本尊は釈迦牟尼仏で、脇に文殊菩薩と普賢菩薩があり、お堂が開いているときは、靴を脱ぎ上がって焼香することも可能です。この先の御真殿や奥の院でも同様に、開いていれば焼香ができます。通常は午後3時ごろまで開いているそうです。

最乗寺 本堂
南足柄市 / 建造物
住所:神奈川県南足柄市大雄町1157地図で見る
Web:http://www.daiyuuzan.or.jp/

多宝塔

  • 写真:トラベルライター

多宝塔は江戸時代の文久3年(1863年)に建立された建物です。最乗寺は大正・昭和と2度の火災で多くの建物が焼失してしまいましたが、この多宝塔は残ったため、最乗寺で一番古い建築物となっています。

最乗寺 多宝塔
南足柄市 / 建造物
住所:神奈川県南足柄市大雄町1157地図で見る
Web:http://www.daiyuuzan.or.jp/

金剛水堂

お寺が創られた600年ほど前に道了が掘った井戸から水が湧き、それが現在も涸れることなく湧き続けているといわれる場所です。こちらのお水は飲むこともできます。

最乗寺 金剛水堂
南足柄市 / 建造物
住所:神奈川県南足柄市大雄町1157地図で見る
Web:http://www.daiyuuzan.or.jp/

洗心の滝・不動堂

  • 写真:トラベルライター

滝の上に不動堂、脇に水神の祠がある滝は、その名のとおり心が洗われるような空間です。水は箱根の明神ヶ岳から流れてきているとのこと。ちなみに最乗寺は、その明神ヶ岳を登るハイキングコースのスタート地点にもなっています。

  • 写真:トラベルライター

不動堂は午後2時頃まで開いているそうで、中では清瀧不動尊と、脇の天祐不動明王・愛染明王を間近でお参りすることができます。関東三十六不動をまわっているかたは、ぜひ開いている時間に訪ねてください。

洗心の滝
南足柄市 / 自然・景勝地 / 滝
住所:神奈川県南足柄市大雄町1157地図で見る
Web:http://www.daiyuuzan.or.jp/
最乗寺 不動堂
南足柄市 / 建造物
住所:神奈川県南足柄市大雄町1157地図で見る
Web:http://www.daiyuuzan.or.jp/

結界門と橋

ここまでは、主に禅の修行をする場でした。結界門をくぐると、道了尊や天狗が住まうという山岳宗教の雰囲気が感じられる場になります。

  • 写真:トラベルライター

結界門の橋は、真ん中が通行できません。これは「御供橋(ごくうばし)」といい、寺の僧が道了尊へお供えをするときにだけ使用する橋になります。ですので、通常は両脇の「圓通橋」を渡ります。

  • 写真:トラベルライター

結界門の先は浄域とされます。門の両脇で2体の天狗が守護していますね。向かって右側は長い鼻の鼻高天狗、左側はくちばしのある烏天狗です。

最乗寺 結界門
南足柄市 / 建造物
住所:神奈川県南足柄市大雄町 結界門地図で見る
Web:http://www.daiyuuzan.or.jp/index.html

御真殿

結界門から右へ階段を上がると「御真殿」です。中では本尊の「道了大薩埵」つまり道了尊と、大天狗と小天狗が祀られています。

  • 写真:トラベルライター
  • 写真:トラベルライター

御真殿の脇には、天狗の履き物である下駄がたくさん!下駄は左右一対が揃って使える物ということで、夫婦和合のご利益もあるとか。

最乗寺 御真殿
南足柄市 / 建造物
住所:神奈川県南足柄市大雄町1157地図で見る
Web:http://www.daiyuuzan.or.jp/index.html

次のページを読む

南足柄市の旅行予約はこちら


この記事で紹介されたスポットの地図

関連するキーワード

※記事内容については、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。

あなたにオススメの記事

トラベルライターインタビュー Vol.3 Emmyさん

【トラベルライターインタビューVol.3】一人旅を応援する記事を多数執筆!Emmyさんならではの人気記事執筆のコツやその原動力に迫ります