真鍋庭園は、日本初・日本最大規模を誇るコニファーガーデン(針葉樹庭園)です。庭園に一歩足を踏み入れると、緑のグラデーションを感じさせる樹木と世界中から集めた植物、エゾリス・野鳥、鯉の泳ぐ池や落差のある滝、築100年以上の和風建築物である「真正閣」、真っ赤な屋根が印象的な「赤屋根の家」など、別世界が広がります。JR帯広駅・とかち帯広空港のどちらからも車で約20分という気軽に行ける場所であるにも関わらず、日常からかけ離れた映画や絵本のような庭園で、ゆったりとした時間と森林浴を満喫してみませんか?
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真鍋庭園とは?
旭川大雪-富良野-十勝を結ぶ250kmの街道は、北海道ガーデン街道と名付けられ、北海道の風土を生かした個性的な8つのガーデンが点在しています。そのガーデンの1つが帯広の真鍋庭園です。
この庭園は、真鍋家初代が、明治29 (1896)年に香川県から入植して以来、代々受け継がれている庭園です。昭和6(1931)年から樹木の「輸入・生産・販売」を営む農業者「真鍋庭園苗畑」としての運営が始まり、現在は5代目が引き継いでいます。
写真上の入口看板には、「50th」「120th」という文字が見えます。庭園が一般公開された昭和41(1966)年から50周年、初代が入植した年である明治29(1896)年から120周年にあたる平成28(2016)年に付けられたもので、さりげなく歴史を感じさせます。
帯広の場所は、北緯42度。夏は平均気温約20℃、冬は-30℃以下になることもあるため、北欧や北米から輸入した数百種もの樹木を輸入・販売・研究し、当初は、造園業者用の見本庭園としていましたが、昭和41(1966)年から一般公開されるようになりました。
100年以上の庭園は、現在も発展継続中!
25,000坪という広大な庭園は、日本庭園、ヨーロッパガーデン、風景式庭園の3つのテーマをメインに構成された回遊式庭園です。写真のように、緑の濃淡でエリアが緩やかに区分けされています。拡大図は、こちらをご覧ください。
初代から受け継がれたこの庭園は、今なお発展継続中で、長い年月をかけて世界中から数千品種におよぶ植物コレクションを収集し続けており、開園50周年を迎えた平成28(2016)年には、「モンスターガーデン」なるものも登場しています。
入口とチケット売り場
こちらは国道に隣接している駐車場です。美しい樹木で仕切られ、駐車場から別世界が始まります。クリスマスツリーのような木の間にポッカリと開いた空間が入口です。
完全に植物と一体化しているチケット売り場。チケットを買う前から期待が膨らみます!
真鍋庭園の散策コース
日本庭園、ヨーロッパガーデン、風景式庭園の3つのテーマに分かれている庭園は、散策路によってかかる時間の目安が案内されており、滞在できる時間と相談しながら園内を回ることができます。
- エゾリスコース:約30分
- キタキツネコース:約45分
- ノウサギコース:約60分
散策中も順路矢印の上に、各コースのキャラクターによって所要時間目安が表示されているので、参考になりますね!
コースは、上の写真にあるように、紫色のラインがエゾリスコース、それに黄色のラインをプラスしたものがキタキツネコース、さらに赤色のラインをプラスしたのがノウサギコースとなります。拡大図は、こちらをご覧ください。
今回は、全てを散策する約60分のノウサギコースをご紹介します。
日本庭園
ノウサギコースを進むと日本庭園が見えて来ます。こちらは日本庭園の全景です。
創建時からあり、鯉が優雅に泳ぐ「鯉の池」
日本庭園エリアに入るとすぐに、滝口が見えて来ます。滝口から湧き出た水が流れ込み、大きな池になっています。この池は、庭園の創建期からあり、120年以上にわたり地下約350mから自噴し続け、水を供給しているそうです。
この地下水は約14℃のため、冬の厳寒期には-30℃にもなる帯広の庭園でも凍ることなく、鯉が元気に泳ぎ回るほか、鳥や昆虫などにも快適な潤いを与えています。また、4月には睡蓮が咲き、彩りを添えるそうです。
和風建築物「真正閣(しんしょうかく)」とは?
日本庭園の注目の建物である「真正閣」。この建物は、明治44(1911)年に当時の皇太子殿下(後の大正天皇)の行啓時に、帯広中心部に御在所として建てられたものです。その後、様々な用途で使用されましたが、昭和37(1962)年に解体されることが決まったことをきっかけに、真鍋家が現在の場所に譲り受けました。「真正閣」という名前は、先々代の真鍋正明さんのお名前から命名されたそうです。
奥の「真正閣」は一般公開していませんが、手前の建物は、中に入ってみることができます。丸い窓から見える景色は、違った印象を与えてくれます。
しっとりとした和の空間
日本庭園には赤い和傘が欠かせませんね。また、「真鍋庭園」と緑の文字で書かれた木製看板が、この庭園の雰囲気にとても合っていて絵になります。
日本庭園には、松などの深い緑色の樹木、盆栽のような枝振りの樹木、モミジなどのほか、苔の生えた岩、足下には砂利が敷き詰められるなど、しっとりと落ちつきのある空間となっています。わびさびを感じる美しさです。
ヨーロッパガーデン
日本庭園を通り抜けるとヨーロッパガーデンが見えてきます。このエリアは、「赤屋根の家」、「様々な種類の樹木」、「展望デッキ」などバラエティに富んだ見所が満載です。では、順に見て行きましょう。
チロルハウスをモチーフにした「赤屋根の家」
写真の奥に見える赤い屋根の建物は、オーストリアのチロルハウスをモチーフにして、昭和52(1977)年に、真鍋家4代目が住居用に建てた木造建築です(※内部非公開)。赤い屋根と欧米から来た樹木との相性がピッタリで、絵本や童話の世界に迷い込んだような感覚になります。
高低差、緑のバリエーション、形状が美しい樹木
更に進むと様々な種類の樹木たちに出会えます。
日本庭園の深い緑色の樹木とはまったく違う色合いの樹木が植えられています。まさに北欧の映画で見覚えがあるような気がします。そして日本庭園とは違い、こちらは道が芝生になっており、庭園のコンセプトが細部まで設計しつくされた、まさにプロの仕事を感じさせます。
明るい黄緑色とグレーがかった緑色、青みがかった緑色、深い緑色など、一口に木の緑といっても、多くのバリエーションがあることに驚かされます。
色のバリエーションだけでなく、地を這うような這い性コニファー、クリスマスツリーを想像させる立ち性コニファーなどの高低差、また、こんもり丸い形、地吹雪のような形、円錐形、枝垂れている形などを利用して計画的に配置されており、見る角度や光の当たり具合で、様々な表情を楽しめます。
展望デッキやソファーなど、視点を変えるのも面白い
樹木エリアを抜けると、ソファーなど腰掛ける場所があります。目線が下がり、景色が違って見えます。
更に進むと「展望デッキ」が見えて来ます。石の階段を登って上から庭園を見渡すことができます。
「展望デッキ」からの様子。全体を俯瞰してみることができ、印象が変わります。
彩りを添える花たち
緑中心の洋の空間に配置されている花たちによって、控えめな彩りがプラスされています。