新城市

仙人が建立した古刹。愛知県【鳳来寺】を訪ねる

取材・写真・文:

訪問エリア:43都道府県

2021年2月5日更新

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写真:やまざき にんふぇあ

愛知県新城市の奥三河にある鳳来寺。本堂まで続く参道の階段は1,425段もあり、登山コースとしても人気があります。建立した利修仙人は、人間離れした逸話で知られています。今回は鳳来寺を、周辺の見どころと合わせて紹介します。

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鳳来寺の基本情報

  • 写真:やまざき にんふぇあ

アクセスは?駐車場は?

名古屋から高速で90分のところにある鳳来寺は、標高695メートルの鳳来寺山に建っています。山を登る車道が整備されており車で楽に訪ねることもできますが、せっかくなので正面から1,425段の石段を登って訪ねることをお勧めします。

石段のすぐ手前に駐車場がありますが、駐車代が400円かかる上に石段にたどり着く前にも見どころが多くあるので、さらに1キロほど手前にある奥平仙千代の墓(後述)横の観光客向け無料駐車場にとめると良いでしょう。

歴史は?

鳳来寺は、前述したように利修仙人がおよそ1,300年前に建立しました。父親を殺された源頼朝がかくまわれたり、徳川家康の母が、子どもができないことを悩んでいのった結果家康が誕生したり、徳川四天王の一人である井伊直政が幼少期を過ごしたりと、歴史上の偉人も多く関わっています。

創建者について

創建者は利修仙人です。天皇の病気を治した、3匹の鬼を従えていた、龍や鳳凰と親交があった、308歳まで生きた、などの逸話を残す人間離れした人物です。

歴史に翻弄された奥平仙千代の墓

  • 写真:やまざき にんふぇあ

それではさっそく、鳳来寺の石段に向かって歩いていきましょう。

前述の無料駐車場で車をとめると、すぐわきに1つの墓が建っています。これは奥平貞能(亀山城の城主)の次男であり、奥平貞昌(長篠城の城主。後に信昌に改名)の弟でもある、奥平仙千代の墓です。

父親が武田信玄に降伏した時人質になりますが、その後離反して徳川家康についたため、武田勝頼により処刑されました。わずか13歳で、元服もすんでいませんでした。

奥平仙千代の墓
新城市 / その他スポット
住所:愛知県新城市門谷笠川地図で見る
電話:0536-32-0162(長篠城址史跡保存館)
Web:https://www.okuminavi.jp/search/detail.php?id=511

鳳来寺参拝の目印。樹齢1,400年のねずの木

  • 写真:やまざき にんふぇあ

鳳来寺方面に進んでいくと、やがて左手に古木が見えてきます。これは樹齢1,400年のねずの木で、今でこそ周りの建物で目立たなくなっているものの、かつては鳳来寺参拝の目印にされていたといいます。

愛知県指定天然記念物でありねずの木としてはほぼ例のない高さですが、弱って大部分が枯れており、支えの柱が建てられています。元は13メートルもありましたが、1996年に回復させるために切りつめたため、9メートルの高さになりました。

鳳来寺よりも歴史が長く、鳳来寺の目印として生き続けた古木だけに、今後も長生きしてほしいものです。

ねずの木
新城市 / 自然・景勝地
住所:愛知県新城市門谷地図で見る
電話:0536-29-9393(一般社団法人 奥三河観光協議会)
Web:https://www.okuminavi.jp/search/detail.php?id=510

鳳来寺東照宮を建立した太田資宗の石塔

  • 写真:やまざき にんふぇあ

ねずの木を通り過ぎると、今度は右手に石塔が現れます。これは浜松城城主の太田資宗の石塔です。

太田資宗が徳川家光の命令で鳳来寺に東照宮の建立を進めていた時、平澤家という一家の元に滞在していました。太田資宗が亡くなった時、平澤家は太田資宗の慰霊のために石塔を建てたといわれています。

市内では最大クラスの巨大な石塔で、平澤家により代々管理されています。

太田資宗の石塔
新城市 / その他スポット
住所:愛知県新城市門谷地図で見る
電話:0536-29-9393(一般社団法人 奥三河観光協議会)

ついに1,425段の石段に到着

  • 写真:やまざき にんふぇあ

奥平仙千代の墓から1キロほど歩き、表参道の入り口に到着しました。ここからは1,425段の石段を登っていくことになります。

  • 写真:やまざき にんふぇあ

仁王門。現在のものは1651年の完成です。額の「鳳来寺」の字は、利修仙人が聖武天皇の病気を治した時、妻の光明皇后がお礼に書いたものを使用しているとされます。

  • 写真:やまざき にんふぇあ

門から少し歩くと見えてくる傘杉。樹齢800年で、高さは60メートルもあります。

  • 写真:やまざき にんふぇあ

源頼朝が一時期ここにかくまわれていたとされる僧坊、医王院。鳳来寺は当時は一時的に衰退していましたが、源頼朝が礼として再興させたといわれています。江戸時代には参道に21もの僧坊が建っていましたが、廃仏毀釈(はいぶつきしゃく)や火災などにより、現在残るものは医王院をふくめ2つのみとなっています。

  • 写真:やまざき にんふぇあ

入り口から1時間ほどで本堂にたどり着きます。1914年に焼失し、1974年に再建された寺の歴史に比べて新しい建物です。

  • 写真:やまざき にんふぇあ

こちらは東照宮です。江戸幕府三代将軍の徳川家光が日光東照宮に参拝した時、鳳来寺参拝のおかげで祖父(家光)が誕生したと知り、鳳来寺にも東照宮を建てることにしました。1651年、徳川家綱の時代に完成します。

不思議な伝説を残す仙人が建て、源頼朝や江戸幕府に愛されてきた鳳来寺。少々道のりはけわしいですが、余裕を持って石段を登っての参拝に挑戦してみてください。

鳳来山東照宮
新城市 / 神社 / パワースポット
住所:愛知県新城市門谷鳳来寺4地図で見る
電話:0536-35-1176
Web:http://www.tees.ne.jp/~horaitosyogu/
鳳来寺
新城市 / 寺 / 穴場観光スポット / ハイキング
住所:愛知県新城市門谷字鳳来寺1地図で見る
電話:0536-35-1004
鳳来寺山
新城市 / 自然・景勝地 / 絶景 / 紅葉 / パワースポット / ハイキング
住所:新城市門谷字鳳来寺地図で見る
電話:0536-32-0022

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http://85irimusume.doorblog.jp/

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