「山陰の小京都」の異名を誇る島根県・津和野。津和野藩亀井氏の治めていた城下町であり、鯉の群れが泳ぐ水路、1,000の鳥居を持つ稲荷神社、畳敷きの教会、西周や森鴎外の生家、そしてSLなど個性的な見所を多く有しています。今回は島根県の山間にある小さくて個性的な町、津和野の魅力的なスポットを選りすぐって紹介しましょう。
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鯉の群れが水路を泳ぐ殿町通り
駅から徒歩10分足らずのところにある殿町通り。なまこ壁の前の水路には色とりどりの鯉が泳いでいて、城下町らしい雰囲気を残しています。
ここはかつて武家屋敷があった通りで、津和野藩筆頭家老である多胡家の武家屋敷の門(写真)、西周や森鴎外なども学んだ藩校養老館など、歴史を感じさせる建物が建ち並んでいます。
教会なのに畳敷き。津和野カトリック教会
城下町の面影を色こく残す殿町通りの中で一際異彩を放っているのは、やはり津和野カトリック教会でしょう。1931年に建てられた教会であり、教会特有の長椅子がなく、畳が敷かれているのが特徴です。
- 津和野カトリック教会
- 島根 / 教会
- 住所:鹿足郡津和野町後田ロ66-7地図で見る
- 電話:0856-72-0251
- Web:http://www.sun-net.jp/~otome/
キリシタン殉教の地。乙女峠マリア聖堂
ここで少しだけ殿町通りを離れて、津和野駅から徒歩20分ほどのところにある乙女峠へ向かってみましょう。
1866年、明治元年。新政府は長崎の隠れキリシタンを津和野の乙女峠にあった光琳寺跡に収容し、キリスト教を捨てるようせまりました。ですが5歳の少女「もりちゃん」を含む36人(37人とも)の隠れキリシタンは改宗を受け入れず、殉教しました。彼らを追悼するために建てられたのが、この乙女峠マリア聖堂です。
聖堂のステンドグラスにはキリシタンがどのような拷問にあったかを説明する絵と文章が書かれており、今でもなお多くの信者が訪れます。
鯉の泳ぐ米屋。鯉の米屋(吉永米店)
駅のほど近くに一軒の米屋があります。
この米屋では中庭で大量の鯉を飼っており、100円で餌を買って与えることができます。店内には昔懐かしいプラッシーや手作りの飴などが売られています。
どこまでも続く鳥居。日本五大稲荷神社の1つ、太鼓谷稲成神社
殿町通りを抜けて少し歩くと、大量の赤い鳥居がトンネルのように続いている石段が見えてきます。これは、太鼓谷稲成神社の参道です。鳥居の数は約1,000本。石段は263段もあります。
太鼓谷稲成神社は、津和野藩の7代目藩主が京都の伏見稲荷神社を分霊したことから始まりました。日本五大稲荷神社の1つで、「稲荷」ではなく「稲成」と書く、少し変わった名前の神社です。
建ち並ぶ鳥居に圧倒されがちですが、この神社の絶景はそれだけではありません。神社山門前から下を眺めると、津和野特有の赤い瓦屋根が並ぶ町並みを一望できます。石段を登り終えたら山門をくぐる前に、ぜひ一度眼下に広がる風景をチェックしてみてください。
- 太皷谷稲成神社
- 島根 / パワースポット / 神社 / 縁結びスポット / インスタ映え
- 住所:島根県鹿足郡津和野町後田409地図で見る
- 電話:0856-72-0219
- Web:http://taikodani.jp/
森鴎外と西周。二人の天才が生まれ育った家
明治〜大正時代を代表する作家、森鴎外。そして江戸時代末期〜明治時代の哲学者、西周。彼らはいずれも津和野の出身であり、何とお互いの家が向かい合わせになっています。
森鴎外の家がこちらです。彼は1862年に津和野で生まれ、10歳までの最も多感な時期をこの家で過ごしました。
すぐ向かいにある、西周の家。彼は1829年津和野に生まれ、1833年から1853年までをこの家で過ごしました。主屋は一度火事で失われ再建されたものですが、西周がこもって勉学にはげんだと言われる土蔵は当時のまま残されています。
- 森鴎外旧宅
- 島根 / 建造物 / 歴史的建造物
- 住所:島根県津和野町町田イ230地図で見る
- 電話:0856-72-3210
- Web:http://www.tsuwano.net/www/contents/1000000440000/...
- 西周旧居
- 島根 / 建造物 / 歴史的建造物
- 住所:津和野町後田ロ13-2地図で見る
- 電話:0856-72-3210
- Web:http://www.tsuwano.net/www/contents/1000000439000/...
新山口駅〜津和野駅を結ぶSLやまぐち号
最後に、交通手段についても少しふれたいと思います。津和野を訪れる時か新山口駅方面に帰る際、片道どちらかはぜひSLやまぐち号に乗りましょう。
SLやまぐち号は春〜秋の土日祝日に新山口駅〜津和野駅を往復する蒸気機関車です。
昭和12年に製造され、そのスタイルの良さから貴婦人の通称を持つC57系1号機と、昭和14年に製造され、ポニーの通称を持つ小柄なC56形160号機の2種類の機関車が働いています。
車内は1両ごとに明治風、大正風、昭和風、欧風、展望風などとテーマに沿ったレトロな内装になっています。座席や照明だけでなく、床や天井、網棚に至るまで変えており、一両違うだけでまったく別の機関車に乗っているかのようです。津和野駅付近の田園風景の中をこの機関車で走ると、数十年前にタイムスリップしたような気分にひたれます。
ちなみにこの機関車ですが、地元の方にも愛されているようで、農作業をされている方々がかなりの確率で仕事の手をとめて、手をふってくれます。窓を開けてふり返してあげましょう。ただし、煙が車内に入ってしまうのでトンネルに入ったらすぐに窓を閉めてくださいね。
乗車の1か月前からJRみどりの窓口でチケットを販売開始します。観光シーズンは早々に売り切れるので早めに買いましょう。
- 津和野駅
- 島根 / 駅
- 住所:島根県鹿足郡津和野町後田地図で見る
- 電話:0856-72-0072
- Web:https://www.jr-odekake.net/eki/top.php?id=0801917
関連リンク
- 津和野
- 島根 / 町・ストリート / 女子旅 / 重要伝統的建造物群保存地区
- 住所:島根県津和野町地図で見る
- 電話:0856-74-0021
- Web:http://www.town.tsuwano.lg.jp/