アドリア海に面したスロベニア。風光明媚な多くの港町の中で、最も美しいと言われるのがピランです。小さな街は、オリーブオイルの香り漂うレストラン、ヴェネツィア風の建築物、どこか開放的な雰囲気を纏う人々であふれており、至る所にイタリア文化の影響を強く感じます。この街を訪れた旅人は、誰もが「ピラーノ」とイタリア風にその名を呼んでみたくなることでしょう。特筆すべきは街並みだけでなく、アドリア海に沈む夕日。その美しさと言ったら、日々のストレスで固くなった心が、ほぐれて蕩け出しそうなほどです。
この記事の目次表示
イタリアの洗練と、港町の解放感を味わおう
イストリア半島の先端にあり、地理的にイタリアの目と鼻の先に位置するピラン。
20世紀半ばまでは住民の過半数がイタリア人で、イタリア語が公用語だったという歴史を持ちます。フェリー便が毎日数本往復するなど、特にヴェネツィアとは今でも強い結びつきがあります。
イタリアの影響を強く受け洗練された街並みと、小さな港町特有の開放的でのんびりとした雰囲気がミックスされているのが魅力です。
- 出典:commons.wikimedia.orgRichard Huber (CC Attribution-Share Alike 3.0)
ご覧ください。半島の先端にあることがよく分かる写真です。オレンジと白色に統一された街並みが真っ青なアドリア海に映え、なんと美しいことでしょう!
街歩きの起点、タルティーニ広場
街の中心は、ピラン生まれの音楽家・タルティーニの名を冠したタルティーニ広場。
タルティーニは、18世紀にイタリアのバロック音楽をリードしました。広場にある彼の銅像の奥に見える城壁は、オスマントルコの侵入を防ぐために建てられたもの。
ヴェネツィア建築の影響を受けた古い建物も多いので、ひとつひとつファサード(建物の正面)を眺めるだけでも楽しいです。
こちらは、趣きのあるピンク色の壁が一際目を惹きつける建物です。
てっぺんのエンジェルが目印。聖ジョージ・パリッシュ教会
街の中で一番大きくて、背の高い建物が聖ジョージ・パリッシュ教会です。
塔の上にやや目立つエンジェルが立っています。羽まで丁寧に彫刻が施された、非常に美しい天使像です。
- 出典:commons.wikimedia.orgKim S (CC Attribution-Share Alike 2.0)
見晴らしの良い教会の敷地内からは、真っ青に光輝くアドリア海をすぐそこに一望できます。
- 聖ジョージ・パリッシュ教会
- スロベニア / 社寺・教会 / 教会
- 住所:Adamiceva ulica, Piran, Slovenia地図で見る
あえてのぶらぶら歩きを楽しもう
ピランは人口5,000人ほどと小さな街。ぶらぶらと当てもなく歩いても迷うことはありません。
小さな通りに迷い込んでみれば、カラフルな建物の壁の裏に、住民の豊かな生活の息遣いをすぐそこに感じることができます。
「おや、こんなところに」といった場所にセンスの良い雑貨屋さんやレストランがあったりと、思わぬ発見があること請け合いです。
心もほぐれて蕩け出しそう。アドリア海の日没の絶景
ぶらぶらと街歩きを楽しみ、お気に入りの雑貨店やカフェなどを見つけているうち、あっという間に夕方が来てしまうはず。
夕暮れ時は、ピランが最も美しい時間帯です。
教会塔のエンジェルがこんなシルエットになって浮かび上がる頃合いになったら、ぜひ海辺に向かってみて。
筆者は個人的に夕暮れ時が好きで、旅先でもよく好んで眺めるのですが、ピランで見たアドリア海に沈む太陽はこれまででも最高のひとつです。
ピランのすべてが夕陽色に染まって溶けだしてゆくかのような夕暮れ。
それを眺めているうち、日々の雑事に囚われて固くなった心が、街と一体になって解きほぐれ、蕩け出してゆくかのような感覚を味わえます。
不思議で心地よい感覚でした。
深い深いリラックス感の余韻に浸りながら、街を振り返ってみましょう。
昼間とは全く違った表情に、もう一度新たな感動が待っているはずです。