スロベニアの首都・リュブリャナから50キロほど北に車を走らせると、ヴェリカプラニナ、つまり「大きな高原」に到着します。標高約1,600メートル。ここには、スロベニアで最も美しい高山草原が広がっています。自然はもとより、遊牧生活を送る牛飼いたちの集落が作り出す独特の風景が見もの。欧州での生活が長い筆者ですが、こんなにも印象的な風景を見たのは後にも先にもこれ一度きり。特に夏場にリュブリャナに来る方には、日帰りでぜひ足を伸ばしていただきたいスポットです!
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澄みきった空気と雄大な山景色でリフレッシュ
ケーブルカーでコトコトと
リュブリャナからドライブすること2時間足らず。駐車場に車をとめたら、早速山を登りましょう!徒歩で登ることもできますが、観光や家族連れには年中稼動しているケーブルカーが便利。冬場はスキー場のリフトとして活躍します。
途中で一度、ケーブルカーを乗り継ぎます。乗り継ぎ地点で既に美しい風景が広がり、澄みきった美味しい空気をいっぱいに吸えば、期待もどんどん高まります。
さらに登っていくと、眼下には見かけない造りの家々が……。雄大な山景色には、思わず息を呑んでしまいます。
可憐な高山植物たちの彩り
ケーブルカーを降りて足もとを見れば、可憐な高山植物たちが。種類はさほど多くなく、私が来たときは5~6種類が、短い夏を精一杯生きんと咲き誇っていました。摘んでしまっては可哀想ですので、目で楽しみたいですね。
道しるべにも味があります。
これは珍しい!夏の牛飼いたちの集落って?
高山植物や山景色に心癒されながら、少し岩の多い道を進んでゆきます。するとこんな風景が……!
このあたりでは、夏の間だけ牛飼いたちが放牧のために牛を連れてくる伝統がわずかながら残っており、彼らの夏の間の家々が集落になっているのです。
それにしても、なんて印象的な風景なんでしょう。あまりにも実際のインパクトが強すぎて、写真と文章で伝える限界を感じます。
教会もありました。牛飼いたちの家と同じ造りになっているようです。お散歩中の牛さんのお尻と。
牛飼いのお宅にお邪魔してみよう
歩いていると、非常に乾燥していて日差しが強いので喉が渇きますが、ところどころに無料で飲料水をいただける場所があるのでご心配なく。子供連れの私たちにはとてもありがたかったです。
それどころか、牛飼いたちのお宅にお邪魔して、彼らが作る乳製品を味わうこともできます。例えば、こんな看板が目印です。
私たちが訪問したお宅のご主人は、英語が通じない様子。フランス語、スペイン語、日本語と知識のあるあらゆる言語を試しましたが、いずれもできないようでした。
それでも、お互いにほんの少し語彙のあったドイツ語で、一生懸命コミュニケーションしようとしてくれました。さらに、子供たちにとても親切に対応してくれただけでなく、ご厚意でお宅の中まで見せてくれました。
独特の味わいのサワーミルクや自家製ヨーグルト、保存の効きそうな肉料理などをいただきます。
慣れない私たちには食べやすいとはいえませんでしたが、ご一家のあたたかいおもてなしこそが、最高のごちそうでした。
ヴェリカプラリナでは、他のどこの場所でも見ることのできない珍しい風景を眺め、親切な牛飼いたちと忘れられない体験をすることができます。山が好きな方に限らず、ここでしかできない思い出を作りたい方には是非来ていただきたい場所といえるでしょう。