富山の鋳物メーカー「能作(のうさく)」をご存ですか?全国の百貨店や雑貨店などでも錫の酒器や食器、真鍮の風鈴が並んでいるので、見たことがある方も多いのではないでしょうか。「能作」の本社では、工場見学や製作体験をしたり、ファクトリーショップやカフェもあるので、見て、感じて、作って、使って、鋳物の魅力を存分に味わえますよ。
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能作とは?
富山県高岡市にある「能作」は、日本を代表する鋳造工房の一つです。高岡市の鋳造技術は400年以上の歴史があり、高岡市で生産される銅器は「高岡銅器」と呼ばれています。日本における銅器の生産額の約95%を占め、梵鐘(ぼんしょう)などの大きいものから、銅像などの細かい作品まで、その多彩な鋳造技術は全国的にも有名です。
能作は1916年創業。創業当時は仏具、茶道具、花器を中心に製造していました。2003年に錫100%のテーブルウェアの製造を開始し、錫のカゴや酒器、花器をはじめとしたインテリアやテーブルウェアは、いまや世界中から注目を集めています。
「能作」本社
2017年4月に新社屋がオープン。約4,000坪の敷地内には、工場やオフィスのほか、能作の製品が並ぶ「FACTORY SHOP」、能作の食器を使って飲食ができるカフェ「imono kitchen」、鋳物の製作体験ができる「NOUSAKU LAB」など、見どころ満載です。
エントランス
エントランスを入ってすぐに花器がずらっと並びます。これは、「そろり」という茶席で使用される一輪挿しで、高岡の100人の職人がそれぞれの技術を生かし製作したもの。
色鮮やかなもの、ゴールドに輝くもの、落ち着いた色合いの渋いものなど、様々な作品があり、一つ一つ見ていると時間を忘れます。ちなみに、作品が欲しくなった場合は予約して購入することができます。
圧巻!木型のディスプレイ
天井まで一面にずらりと並んでいるのは「木型」。これは実際に使われているもので、職人がここからピックアップしていくそうです。何に使われる木型なのか、想像しながら見るのも楽しいですね。
限定品も手に入る「FACTORY SHOP」
エントランスを抜けて、左手にはファクトリーショップがあります。
定番の錫でできたカップや花器、カゴや箸置き、真鍮の風鈴をはじめ、本社工場限定販売の商品も並んでいます。
アウトレットコーナーもあり、少し安く手に入るので自分用のお土産におススメです。
実際に錫のコップを使って水を飲んでみることもできます。冷水を入れたコップを持つとひんやりとして、錫の熱伝導率の良さを実感できますよ。
伝統技術を体感できる工場見学「FACTORY TOUR」
約60分、スタッフが工場内を順番に案内し、それぞれの現場で解説してくれます。
まず最初に、能作の商品で使われている「錫」や「真鍮」、鋳造方法や加工技術について、説明を聞きます。
工場内はスタイリッシュで明るく、洗練されています。天井の照明は、東京スカイツリーの照明を担当したデザイナーがデザインしたそうで、細部までこだわりを感じます。
こちらは、錫製品を作る現場。
能作の人気商品、錫の酒器が出来上がったところ。
筆者が訪れた時は、溶かした金属を鋳型に流し込む様子も見られ、金属が高温で緑色や白色に見えました。
真鍮でできた商品。まだ磨く前なので表面はざらざらしています。
こちらは磨きの工程を担当する現場。
職人が磨いていく様子はとても繊細で、思わず息をのみます。
工場内の各工程を示すサイン。工程を漢字1文字で表現しています。このサインも真鍮でできています。
普段目にすることのない鋳造作業の様子を間近で見られ、現場の匂いや音、温度などを肌で感じられて、能作のものづくりへの真摯な姿勢をうかがえました。参加する価値は大いにありますよ。工場見学は無料で、事前に予約が必要です。